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いい加減長くなってますので、これで最後です。 半ば趣味とお節介の話〜。
似ている、同じようなもんじゃん、としか見ていなかったマルセイユ版の中に、それでも「これはええわ〜」というものと、「これは好みじゃないな」というのが生まれました。 最初は「なかなかいいな」と思ったものが、他のものが増えてくるにつれ、あまり魅力的に感じなくなったりもします。しかしそれもまた一時的なことで、少し視点が変わると、また面白いと思うようになるのかもしれません。
以下、とりあえず今の私の好きなデッキと、マルセイユ版も試してみたいけどどれがいいかなと思うかたに、おすすめのデッキでも紹介してみます。 順番は、マルセイユ初心者へのおすすめ順。おすすめの理由も記しますが、どんなデッキがフィットするかは人それぞれなので、一参考意見としてご覧ください。 タイトルの横の★が、「マルセイユ版の中での気に入り度」です。(最大5)
「ユニバーサル・マルセイユ」 ★★★ 現代的なものが良いなら、これかなと思います。 おすすめの理由は、まず、ワンドの形が「普通にワンド」で見分けやすいこと。それから、小アルカナの下に小さくローマ数字が入っているので、上下が分かりやすいことです。 正逆を取る人であれば、上下が分かりやすいのは便利ですし、それに、片付けるときに元通りにできます(笑) こだわらない人はどうでもいい要素ですけど、几帳面な人には大事なポイントかも。 このデッキは彩色が水彩のような感じで、少しやわらかくなっています。小アルカナの背景にも共通した色が塗られているため、見た目での判別はますます簡単。 ちょっと気になるのは、このデッキのべースになっているクロード・バーデル版というのは、マルセイユ版の中ではマイナーっぽいということ。それから、たぶんこの復刻版、色の数が減らされています。 でも、あんまりこまかいこととか伝統とかにこだわらないなら、見やすいし、使いやすいし、それになにより、ロ・カスラベオのスタンダードなデッキなので、値段が安いのに紙質は非常に実用的。 ガイドブックつきのものもあるので、英語がそこそこ読めるかたは、それを頼んでもいいかもしれません。
「mamanmiyukiタロット」 ★★★★★ クラシックなものの雰囲気は好きだけれど、線のかすれ、色のはみ出しなどの粗さが気になるというかたには、これがオススメです。 20313年7月に完成した、個人製作のデッキです。ベースはピエール・マドニエ版で、基本的には線画をトレースして作られたものですが、人物の表情などは作者のmamanmiyukiさんのこだわりで描きこまれています。 サイズが小さく、紙質も実用的。場所を取らないので、普段の保管ももちろんとして、持ち歩きたい人にもいいですね。 古いマルセイユ版というのは版画+ステンシル彩色です。そのため、古さそのままの復刻版は当時の印刷技術の粗さもあって見づらいですし、ロ・スカラベオなどで復刻されたものは機械的なきっぱりした線画と着色になっています。その点このデッキは手書き+水彩。機械的になりすぎない手書きのあたたかみがあります。 基本的に上下は分からないタイプですが、裏面もまた手書きであり、「デジタルで反転させてつないだ」ということがありません。そのためよく見れば上下が分かります。
「ヘロン社のニコラ・コンヴェル版」 ★★★★★ 紙質が良く、サイズも少し小ぶりなので、非常に扱いやすいデッキです。また、カードにはすべて、大アルカナも小アルカナも、下部に小さなスタンプが押されています。小アルカナも使って、正逆とる占いの場合には大変便利。 価格は少し高めですが、それでも4000円程度で手に入りますし、国内の通販サイトでも扱っているところが多いのもポイントです。 オールドスタイルな見た目が気に入るなら、真っ先にこれをおすすめしたいですね。あと、コンヴェル版は、現在流通している多くのマルセイユ版のベースを務めている、おそらく最もメジャーなデッキです。できるだけ伝統的なものを、改変の少ないものを、というこだわりがあるかたには、入手のしやすさとメジャーさを合わせて、これがテッパンかな。 このデッキは紙の地色がベージュで、使われている色もシック、落ち着いた色合いです。そのため全体的に柔らかく、目に優しい感じ 愛好者の多い、大いなるスタンダードではないかと思います。
「カモワン・タロット」 ★★★ "カモワン流"という追加の知識は、別になければないで構わないものとして、ただデッキだけ見た場合、非常に現代的で馴染みやすいのではないかと思います。 このデッキは人物の顔も少し現代的に描き変えられていますし、色の数が他のデッキよりも多く、カラフルで、明るい印象です。カードの下部にクレジットが入っているため、上下も分かるようになっています。 また、他のデッキよりも視線の向きを明確にしてあるため、「視線を追う展開法」という、あまり日本では知られていないスプレッドを使うのもやりやすいですね。 ちなみにこのカモワン・タロットは、コンヴェル版をもとに、「マルセイユ版が本来持っていた秘儀的な絵を復活させた」と謳われています。それを信じるかどうか、納得して受け入れるかどうかは、使う人次第。もし"カモワン流"というのに興味があれば、公式サイトもありますし、スクールもやっているようなので、学べる場が用意されているのは嬉しいところかも。
「ジーン・ドダル版」 ★★★★★ ここから先のものは、初心者におすすめはしません。単なる私のお気に入りです。 このドダル版も、もちろん気に入ればこれで占って良いのですけど、他のマルセイユ版との共通項が少ないので、汎用性が低いかと思います。 しかし私にとっては、「マルセイユ版おもろ★」と思った決定的なデッキがこれ。とにかく顔が面白いというだけの理由なんですけど、ユルキャラ系というか、変顔オンパレードというか。あちこちでニヤニヤできるので気に入っています。現代的に復刻されたバージョンで手に入れましたが(オリジンに近いほうも欲しい……だがこれが相当難しい……)、デカ目で可愛いし、色使いも明るくて、どうにもコミカルな印象。 なんというか……デザイン系にある可愛らしいデッキ、美しいデッキは、そう感じてもらうようにと意図して作られた、商品価値としての可愛さ・美しさという感じです。しかしドダル版に感じた可愛さって、「そう思わせようとしてこうした」ものじゃ100%ないだろうから、どうしようもないんですよね。「なんでこんなの可愛いとか思ってんだよ自分」に、どんな言い訳もできません。「いやもうだってなんか可愛いじゃん、変な顔してて」ってこれしか言えない。 たいがい失礼なこと言ってる気もしますが、予定調和のないところで突然陥ったフォーリン・ラヴ★だったわけです。
「ピエール・マドニエ版」 ★★★★ こちらは価格や実用面で少し厳しいかなと思います。 これは、古典的なマルセイユ版の連続復刻プロジェクトとして、「できるだけ当時のものをそのまま」というコンセプトで復刻されたものです。 価格が5000円オーバーで決して安くはないし、紙が少し厚いためシャッフルも少しやりづらいですね。数量限定での復刻なので、いずれは在庫が尽きてしまうでしょう。そのときに再販されないとしたら、価格が高騰する可能性もあります。 そういった点で、マルセイユ版にあまり馴染んでいない人が手をだすのは博打です。よっぽど絵が気に入ったのでないなら、他に手に入りやすいもので試してからのほうがいいと思います。 しかし私としては、線のシャープさ、色のかすれ具合、人物などの表情や、いかにも版画らしい印刷の写りなども含めて、クラシカルなのに現代的にも感じられる、非常にお気に入りの外見です。 ただやはり、実用品というより観賞用。そして紙包みのため(外ケースはしっかり丈夫なものです)、出すたび片付けるたび、ものすごく気を使います(笑
つらつらと書いてきました。 ここらでいい加減に終わりにしたいと思います。 マルセイユ版を買おうかどうしようか迷っているかたにとって、なにかになれば幸いです。よし買おうと思ってくださるのでもいいし、やっぱりピンと来ないなぁと思われるのでも構いません。 お付き合いくださった物好……もとい、暇じ……いやいや、奇特なかたには、厚く御礼申し上げます(笑 |