SASHA FENTON TAROT

パッケージデザイン【デッキ概要】

ウェイト版準拠   ☆☆☆☆☆
8、11 力、正義
汎用性 ★☆☆☆☆
サイズ 11.2cm x 6.2cm
紙質 微妙

 サーシャ=フェントンさんが監修している入門向けのタロットセットです。デッキと、紫色のポーチ、それから64Pのフルカラー解説書がセットになっています。
 絵やデザインはほぼオリジナルですが、表現しようとしているものはスタンダードなウェイト番系。ただ、主要エッセンスを抽出して、初心者に分かりやすいようにしている感じで、本来のウェイト版が持っているようなこまかいシンボリズムはだいぶ省かれています。また、小アルカナは準絵札のため、ウェイト版に対する準拠度というのは低く見積もりました。
 小アルカナが準絵札であっても構わないのであれば、複雑なものがなく、解説書もシンプルかつ丁寧で、汎用性も★1くらいはあるかと思います。
 サイズはやや小ぶりですが、紙質はただの厚紙よりは少しマシといった程度。あくまでも入門用として、いずれもっと本格的なものとか、好きなものに買い替えていくこと前提かもしれません。


大アルカナ・裏面 小アルカナ

【カード紹介】

 裏面はごくシンプルで、青紫がどことなく神秘的な印象。
 全体的に、低年齢層や若い女性向けかなというイメージです。(占者だけでなく対象相談者が、でもある) ただ、これで本格的に占うことはできないかと言われれば、クセがないのでTPOはあまり選ばないかもしれません。
 こまかなシンボルを省いて、絵のキーになる部分だけはっきりと描くスタイルは、「モーガン・グレア」などとよく似ているようにも思いました。
 それだけに惜しいのが小アルカナ。ご覧のとおり基本的には絵ナシです。ただ、背景や小物などで分かり安くはなっています。マルセイユスタイルに慣れている人であれば問題ないのですが、シンボルのみの数札を分かりづらく感じやすい初心者には、ちと敷居が高いかもしれません。


カラフルでシンプル【他のカード】

 女帝、ワンドの4、カップの8、ペンタクルのペイジです。
 女帝のカードは私にとって、気にいるかどうかが極端な一枚なのですが、この女帝は美人だし(笑)、カラフルで、明るさや豊かさが分かりやすくていいなと思いました。
 ワンドの4……解説書では、不動産の売買には良いカードだし、休日はうまく過ごせそうというポジティブな意味なのですが、ぱっと見ただけでは「封鎖されて火をかけられた」ようにしか見えないのをどうしたいいんだろうかと。エレメントである火が描かれているのがまずいのです。ワンドの7には描かれていないので、絶対に入れると決まっているものではないだろうに、何故ここに、しかもこの位置に描いたか(笑
 カップの8は後ろのハートがすべてひび割れています。前に進むため置き去りにすべきもの、という意味は一般的なウェイト版の解釈ですが、この解説書では、ソードの3によく言われるような「悲しみ」が言及されていますね。カップ自体が感情のスートなので、思いを断ち切るイメージとしては分かりやすいカードかも。
 コートカードから一枚、ということでペンタクルのペイジです。この出付きではナイトが騎馬でないものの、年齢的にはっきり描き分けられているので混乱はありません。現実的で真面目な若者、お金などに関するニュース、というシンプルな解釈です。


【烏のザレゴト】 ☆☆☆☆☆

 Amazonで見かけたときからずっと気になっていたのですが、分かるのがパッケージだけだし、デッキタイトルもシンプルすぎて検索が難しく、長いこと放置していたものです。サーシャさんのお名前と合わせて検索をかけて画像が分かったので手配してみました。
 準絵札の数札って、「絵があってはイメージが固定されすぎるし、シンボルだけでは読みようがない」という人には丁度いいと思います。
 ただ、このデッキの場合は追加イラストらしきものがほとんどないカードもあるので、その点はちょっと厳しいかも。それから、なにも予備知識がない状態で見たときにまるで違う解釈になりそうなカード多数あります。ここにアップした中では、ワンドの4が私には火事・焼き討ち、さもなければ疫病患者でも放り込んで燃やしたか?みたいに見えてしまったのと、カップの10も洪水で流されていくように見えました。
 スタンダードな意味合いを無視して、自分が感じたものを中心に読むといっても、ここまでスタンダードな解釈から遠ざかったイメージしかないのは、さすがに問題ではないかと……。