それなりにタロットに馴染んだ人が、もう一歩進むために

 学習者向けの入門書よりは、少し専門的な内容になります。
 入門者向けとして書かれたものもありますが、基礎が身についていないと持て余しそうなものとか、少しスタンスが独特なので、基礎ありきで読んでほしいもの、といった感じ。

 

もっと本格的に人を占う! 究極のタロット

表紙画像【書籍情報】

著者 吉田ルナ

出版社

メイツ出版
税抜価格 1500円
初版刊行

2011.11

実ページ数 127

【書籍概要】

 「究極」かと言われると単なる誇大広告だと思いますが、他の書籍に比べては確実に、「誰か相談者を占う場合に、出てきたカードをどう伝えれば良いか」に的をしぼって書かれています。カードの解釈自体はできるけれど、相談者の悩みや迷いを解決する手助けをするという立場から、そのカードについてどんなアドバイスを伝えれば良いか、がポイント。
 カードの解説も、きちんと大枠を掴んだ上で簡単に解説している感じ。ただ、だからこそ私には「スートに共通するもの」などから読みやすく分かりやすく感じましたが、本当の初心者には、解説が足りず少し分かりづらいのかもしれません。が、「人を本当に占い、アドバイスする」という職業占い師的なスタンスの本なので、ズブの素人は読んでもあまり意味はないのかも。
 占いの例はすべて女性向けですが、良書だと思います。

 

もっと本格的にカードを読み解く! 神秘のタロット

表紙画像【書籍情報】

著者 吉田ルナ

出版社

メイツ出版
税抜価格 1500円
初版刊行

2012.11

実ページ数 126

【書籍概要】

 上にある本と同著者の2冊めです。
 ウェイト版のシンボルについての解説を入れつつ、大アルカナは見開き、小アルカナは1枚1ページで解説しています。「恋愛」「仕事」「その他」でピンポイントな解説もしているので、初心者でも使うことはできるでしょう。しかし、同じシリーズということでここに入れていますが、実際には……「どんな人」向けなのかが分からない書籍です。
 最たる理由は、中途半端に触れている生命の樹や占星術への照応。特に生命の樹は、解説しようとすればそれで本が一冊必要になるくらい、理解しようとすればそれでも足りないくらいなので、カードとの対応をただ書かれても、「暗記」以外にはどうしようもありません。
 初心者向けなら生命の樹については触れないほうがいいし、中級者にとっては「何故そうなるのか」の解説がなければ理解のしようがないし、上級者(生命の樹についてもよく知っている人)にとっては端的すぎて意味がなく。
 残念ながら、あらゆるランクの人にとって情報が不十分な感があります。それでもいくらか参考になればそれでいい、という人か、私のような半ばコレクター兼趣味の読書人でないなら、中を見ないで買うのは博打かも……。

 

もっと本格的にスプレッドを極める! 魅惑のタロット

表紙画像【書籍情報】

著者 吉田ルナ

出版社

メイツ出版
税抜価格 1500円
初版刊行

2014.5

実ページ数 126

【書籍概要】

 この著者の本はこれで3冊め。中で最も実用性・即効性が高いように思います。率直に、読んだとき「おっ!?」と思いました。
 「どういう占いではどれを選ぶか」に始まり、厳選した6つのスプレッドについて、5〜8つほどの詳細なリーディングの実例が掲載されています。
 リーディング例は簡潔ながら丁寧。出てきたカードと、端的にそのカードの解釈、それに合わせてリーデイングのコツと、モデルトーク。更に、「ワンモアアドバイス」として、実占で直面しがちなことについて触れています。
 もちろん、あくまでも吉田ルナさんのスタイルに沿ったもので、書かれていることすべてが、誰にとっても頷けるものではないかもしれません。それでも、何一つ役に立たないということはないように思います。
 良書だと思います。

 

この一冊で本格的にできる! タロット占いの基本

表紙画像【書籍情報】

著者 吉田ルナ

出版社

メイツ出版
税抜価格 1500円
初版刊行

2015.6

実ページ数 126

【書籍概要】

 吉田ルナさんの4冊めですが、基本というには少しコアな情報が組み込まれており、ベーシックな部分の充実度がかなり低いように感じました。正直に言えば、これまでに出してきた3冊に比べると迷走している感があります。
 「魂入れ」や「浄化」といった部分は私のようなタイプのユーザーには疑問符がつく点ですが、神聖なものとして扱いたい人にとっては、参考になると思います。
 リーディングサンプルはこれまで著作どおり、端的かつポイントを押さえた分かりやすいもので、充実しています。
 カードの意味についてはかなりあっさりしたもので、大アルカナは各1ページ、小アルカナは1ページに5枚まとめてになっています。このあたりは、本を見ながらリーディングする初心者にとって使いやすいように思います。
 悪い本ではないのですが、これまでの3冊に加えてあえてまだ出した意義は?と言われると、統括としては3冊めがかなり良いものだったので、どうしても疑問が。

 

いちばんやさしい タロット・リーディングの教科書

表紙画像【書籍情報】

著者 手賀敬介

出版社

ナツメ社
税抜価格 1800円
初版刊行

2015.7

実ページ数 287

【書籍概要】

 リーディングに重点を置いた本で、前半がカード解説、後半はサンプルに使われています。それ以外の情報はほとんどありません。
 逆位置については、「正位置とは逆の意味」「正位置の意味が弱まったもの」として捉えています。
 基本的にはシンプルで、生命の木など追加情報もなく初学者向けと言えますが、私が気になったのは、リーディングが少し変則的なこと。サンプルは非常に丁寧で豊富ですが、正位置でも逆位置の要素を強く読んでいたりするため、慣れない人にはかえって混乱を招きそうです。また、あくまで私にとってはですが、「なるほど」と思えるものよりは強引な解釈に思えるものも多く感じました。
 初学者に薦めるためには、もっとスタンダードでシンプルな解説のほうが良いかと思い、分類は中級者向けにしました。

 

簡単でわかりやすいタロット占い

表紙画像【書籍情報】

著者

LUA

出版社

説話社
税抜価格 1000円
初版刊行

2014.12

実ページ数 202

【書籍概要】

 タロットに関する本を渉猟した人であれば必ず覚えがあるに違いない説話社から、「新書で占いについて学べるように」と刊行スタートしたシリーズの第一弾です。
 ハンディや新書サイズ、手頃なお値段。なので初心者に最適……とはちょっと言えないかな、というのが私の感想。
 というのも、カード解説が"絵の解説"だからです。なにが描かれているかを説明していく中で、キーワードとして仕える部分を強調表現した……手前味噌で申し訳ないのですが、私の書いている「意味の覚え方」と同じような書き方です。内容はこんなものよりはるかにまとまっていて良いですよ!
 なので、参考までに↑私のものを読んで、こういう解説の仕方がいいなと思ったら、ぜひどうぞ。大アルカナは1.5ページみっちりと、小アルカナも半ページ分きちんと説明されています。
 難点は「正位置・逆位置」「キーワード」といった分かりやすい解説がなく、長文で表されていることでしょうか。そのため、本物の初心者さんが読んだ場合、覚束ない占いの手引とするのは難しいのではないかと思いました。

 

スグヨミ・フレンドリー・タロット

表紙画像書籍情報】

著者

いけだ笑み

出版社

カイロン出版
税抜価格 2100円
初版刊行

2014.10

実ページ数 159

【書籍概要】

 著者=占者のスタンスがはっきりと出ている解説書です。
 大アルカナはシンボルや描かれているものよりも、背景の部分から解説。それに加えて一般的なキーワードがいくつか添えられているのみ。小アルカナはキーワードのみとなっています。
 その点で初心者には少し敷居が高いように思います。
 一方、スートそのものの性質(カップとペンタクルは安定志向、といったようなこと)や、それゆえのスート同士の組み合わせについて、また、実際の占いの中で逆位置が多いとき、特定のスートが多い場合の読み方などにも触れられており、ある程度基本を身につけた人であれば、参考にできる内容も多いと思います。
 この書籍の"売り"でもあるコートカード同士の相性占いも、各カードの人物像を把握するのに大変役立つのではないでしょうか。
 なお、ベースはあくまでもウェイト版です。
 「占いをすることでかえって行動できなくなるくらいなんて本末転倒」といった、いけださんの姿勢も、私にとっては非常に共感できる一冊でした。……ということは、少しドライな感覚かもしれません。私よりははるかに真摯にタロットに向き合っていらっしゃると思いますが、「占いは"この程度"のものよ。なにより大事なのはあなた自身」といった感じかな。そういう意味で、タロットに対して少し距離を感じる記述があるかも。

 

タロット占い 完全マニュアル

表紙画像【書籍情報】

著者 浅野太志

出版社

総和社
税抜価格 1500円
初版刊行

2014.8

実ページ数 346

【書籍概要】

 ウェイト版についての書籍ですが、ちょっと変わったアプローチをしています。
 カードの色彩について、ナバホ族の色に対する考え方を取り込んでいることと、ウェイト版のベースにあるものをエティヤ(エッティラ)版として、それぞれのカードを解説しています。そういった説にどれほどの信憑性や妥当性を感じるかと言えば、私としては疑問符つきなのですが、そういう視点で見てみること自体は面白く、有意義であるように思いました。
 背景カラーとメインカラーでカードを分類し、それに共通する要素を考えてみることは、自分なりにやってみたらいろいろと発見があるかも。
 そういった独自部分ももあるものの、あまり突拍子もないようなことは書いておらず、カード解説は初心者にも分かりやすいようによくまとまっています。
 ただ、普通に独特の見方であることは否めないので、初学者が内容を鵜呑みにするのはマイナスかも。
 それにしても、このページ数でこの価格は、洋書並のコスパですね。