絵板みたいなノリで、「作成中のものの一部」とか、草稿でもアップしてみようかと思います。
まずは―――冒頭、として書いていたもの、でも。 ただしこれ、あまりにも長くなることと、ろくに所持していないSF的な知識とかそれっぽい知識がダラダラ続くので、ちゃんとした知識のある人が見たら相当陳腐でつまらねーだろうなとも思い、カットすることにした部分です。 実際の冒頭は、こんなことがすべて終わって、第一弾のエネルゴン・マテリアルを、スタースクリームがネメシス号に持ち帰ったシーンからスタートする予定だったり。経緯はダイジェストでお送りする予定。 とりあえず、本編には組み込まれないだろう冒頭、物好きなかたはどうぞご覧ください。
地表はすさまじい磁気嵐に支配されていた。 シールドを展開しても、完全に防げるわけではない。 スタースクリームは真っ先に、地表で活動しつづけた場合の活動可能時間を算出した。そして、この磁気嵐から身を守るすべがないかを探る。 (……人選は間違いないか) 脇を見ればバリケードは地面に手をつき、指先から端末を伸ばしている。 まずはこの地点の環境と状況の把握。いちいち指示せずとも済むのは、楽でいい。 「地下に潜るのが無難だが、どうだ」 問うと、 「磁性の強い岩石でできている。地下ならばおそらく磁場は安定するが、影響も単一になりやすい」 つまり、縦横無尽に嬲られることはなくなるが、特定の影響を強く受けつづけることになる、ということだ。 「この星は極が3つ……ともすると4つ。俺たちの広域センサーはまず役に立たん。物理的なマッピングが必要だ」 「今回はバディで行動するが、地理はそれぞれ記憶しておこう。不慮の事態ではぐれることがあったら、マーカー地点で合流する。移動時にはサインを刻んでおいてくれ」 「了解。それで?」 「そうだな……」 滞在可能時間から逆算し、いつまでにエネルゴン・マテリアルを見つけなければならないかははっきりしている。移動にかかる時間と探索の時間に、バッファを持たせて概算する。期限は、この惑星の公転周期ではなく、ネメシス号にあるセイバートロン標準時で二日だ。 決して長くはない。その短い時間内に、エネルゴン・マテリアルを発見するか、あるいは手掛かりを見出さなければならない。
エネルゴン・マテリアルがどんなモノかは、それぞれだ。固形の鉱物であることもあれば、液体であることもある。ガスかもしれない。あるいは電気的な力のこともある。ただし今回は、持って帰ることができ、保存がきかなければならない。ガスや液体、鉱物ならば、サンプルと一時的な必要分を持ち帰れるよう準備してきた。確実に使えると分かったなら、あらためて採取に訪れればいい。しかし電気エネルギーのようなものの場合は、取り込んで蓄積するための媒体が不可欠だ。今回はその準備まではしていない。 スタースクリームは思考の方向を絞る。 そしてまず、手近な岩石を手にとった。 ただの石だ。精製すればほんの僅かなエネルギーならば得られるが、ネメシス号を動かそうと思ったら惑星一つ分ほどをまるまる消費することになる。 大気中の粒子。 地面。 手近なものをすべて調べる。 そして、 「可能性が高いのは、鉱物か。地表よりも地下。これまでの経験に照らし合わせると、熱量の高い地点で圧縮合成されている確率が高い」 かつてジェットファイアたちと訪れた星が、この星によく似ていた。似ていただけで別の星だが、探索のガイドにはなる。相違点が大きくなるまでは、頼りにしても良い。
スタースクリームは、バリケードとの通信を試みる。言葉は遠まわしで時間がかかる。できれば電気的な信号を直接交換したほうがいい。このコミュニケーション手段は、平時にはまず行わないし好まれないが、こういった状況では言語よりも格段に有効だ。 チューニングには手間取ったが、不可能ではなかった。しかも、通信可能な距離範囲は1キロにも満たないだろう。地形や磁気嵐の強度によっては、もっと狭くなる。しかし、今は問題ない。 可否を問う。許諾のサインが来る。言語であれば数秒かかるやりとりが、ナノ1秒で終わる。 通信の安定を確認し、スタースクリームはバリケードへと、常に確認しておいてほしいデータ種別を送った。同時に、周囲の索敵も依頼する。こういった能力は、斥候であるバリケードのほうが圧倒的に高い。 その代わり自分は、最初の攻撃に対する防衛を引き受ける。バリケードをセンサーとして最大活用し、スタースクリーム自身はその彼を守るのである。 それを提案した途端、知覚回路の一部をリンクされた。
あれこれ言わずとも察して動くのは助かるが、反応が早すぎてスタースクリームが慌てるほどだ。 そしてますます、一人だけ連れて行くパートナーにバリケードを選んだのは正解だと思う。普通は誰も、こんなに簡単にリンクしようとはしない。何故なら、―――簡潔に言うなら今、バリケードの思考と感覚は、すべてスタースクリームに共有されているのである。行うには抵抗があるのが普通だった。気心の知れた探索メンバーであればともかく、初めての共同探査である。特別信頼しているわけでもない相手に、思考や感覚が筒抜けになるなど、普通は御免だろう。 そしてまた驚くのは、送られてくる知覚情報の純度だった。 バリケードは、世界のすべてを「抽出すべき情報」で構成されたものとして把握している。つまり、赤外線カメラを通して「熱」だけを見たときのように、物質特性だけで世界を見ている。物質の特性を、温度や成分などの差異によって適宜区別して知覚する。それ以外の情報を見ない。特性値が同一のものは見分けがつかないが―――目の前に平地と山があっても、それらがまったく同じ物質でできていれば、高さなどは一切感知されない―――、それを彼はサブセンサーで「形」として切り出す。 そしてそれ以外の情報は、なに一つとしてない。 言語的な思考も判断もない。意識のすべて、もっと言ってしまえば存在のすべてを、マテリアル探知のセンサーとして活用し、動いている。スタースクリームは、恐ろしく高性能なセンサーそのものとリンクしているような錯覚に陥った。 こんなハンターに追われたら、逃げられるわけがない。スタースクリームは、かつて彼に追われただろう「敵」を憐れに思った。 |
はて、お次は、この探索行を書き始めたとき、かなり最初にメモした「キモ」のシーンです。 しかしこちらも、たぶんこのまま組み込まれることはありません。 ストーリー中盤、原生生物に襲われて機器的な状況に追い込まれつつあり、様々な疲労もあって情緒不安定になるスタスクです。 これはちょっとモロすぎるというか、弱すぎる……軟弱すぎるので、実際のSS中では、もう少しこういった心情に納得がいくように、変更することになります。
この星を思い出せと師は言った。 だが、故郷の星はもうない。 もう今頃きっと、消えてなくなっている。 記憶の中に刻んだ星も、どうしたことか暗く霞んで、もうほとんど見えることはない。 そして時折、思う。 俺たちは何故、星の運命に抗って、危険な宇宙を越えてまで生きようとするのかと。 星と運命を共にするのが正しかったのではないかと思うことさえある。 生きて、生き延びて、そして、どうするのか。 こんなつらい思いまでして生きて、―――それで?
間近でガシャンと弾倉を取り替える音がして、スタースクリームは我に返った。 見れば隣では淡々とバリケードが武器の点検を行っている。 その手元は素早く正確で、微塵の揺るぎもない。 そして岩陰から微かに頭を覗かせると、高性能なその4つの目で砂嵐の向こうを見据えた。 彼の一挙手一投足には、僅かな動揺も不安も見当たらなかった。
「タフだな、おまえは」 「………………」 「なにを考えて戦ってる?」 「別に」 「相変わらずつまらん返事だな」 「ふん」 「戦って、生きて、どうなると思ったことはないのか」 冷たい目がじっとスタースクリームを見、くだらない、という色だけ残して逸らされた。 そして冷たく尖った声で言い捨てられる。 「泣き言が言いたいなら艦に帰れ。俺はここにマテリアルを探しに来た。それ以外のことはせん」 |
この時点では言語によるコミュニケーション中。通信会話ができなくなったためです。つか、電気信号による会話って、いちいち地の文で書かないといけないし、しかも、そうやって書いているよりも圧倒的に短い、エッセンスだけのやりやりのはずなので、その雰囲気、感覚を伝えるのが難しいんですよぅ。 このスタスクはあまりにもメソメソちっく。なので、分かりやすいシーンではありますが、私が今一つ納得してません。 そんなわけで実際には、故郷がどうのではなく、自分に指揮官は務まらないのではないか、といったことや、メガ様とかじぃじを頼りたくなる気持ちとの間で、葛藤することになる予定です。
はて、次は……たぶん、このまま組み込むんじゃないかなぁという、なかなか美味なシーンでも(←自分で言うな
「スタースクリーム。行け。ここからならネメシスは遠くない。嵐もやんだ。今がチャンスだ」 「無茶言うな。スラスターがまだ回復しきってない。限界まで加速しても、離脱する前に捕まえられる」 「そんなわけがあるか」 バリケードは両腕を速射性のパルスガンに変形させ、身を隠した岩から頭を覗かせて敵までの距離を確認した。4つの目が今までと少しも変わらず、状況と敵を分析している。 そして、まだグズグズとそこにいるスタースクリームを見ると、空を示すように軽く顎を上げた。そして片腕を元に戻し、アームガードからディスクソーサーを展開する。 それらすべてには澱みもなく、焦りもない。ありふれた侵略者の、雑兵を一掃するのと大差ないほどに淡々としていた。 「おまえ……、待て、つまり、俺だけで行けってことか?」 「貴様は馬鹿か。マテリアルを忘れてどうする」 「そうじゃない! おまえはどう……ここで戦う、食い止めるって?」 「1分程度ならは確実に確保できる。それだけあれば十分だろう」
「それはそうだが……、1分では、戻って来れないぞ」 「なにを言っている? 戻る必要などないだろう」 いかにも不可解だと言いたげに、バリケードは目を細めた。
スタースクリームは茫然と理解した。 バリケードはこう言っているのだ。
マテリアルを持って帰れ、その間俺は敵を食い止める、帰還は考えていない。
ありふれた結論だ。特に戦場にあっては。 だがスタースクリームは茫然としていた。 これほど淡々と語られるような内容ではないからだ。 情熱、あるいは悲壮感、覚悟、迷い、なにかそういったものがあるべきではないのか。 これでは、そう、なんの冗談、それとも悪趣味な洒落か、「障害物」を築いて敵を足止めしその間に離脱しろ、ただそう言っているだけにしか聞こえないではないか。 だが、ここに築かれる「障害物」は、命なきガラクタの寄せ集めではなく、生きているバリケードそのものなのだ。 まさかこいつの名前はそういう理由でつけられているのかと、ぞっとした。 敵の足止めに使い、時間さえかせげれば破壊されても構わない、使い捨てられる「障害物」。
「だ、駄目だ! その作戦は却下する!」 「そうか。ならば別の案を出せ。俺は他に策を思いつかん」 「とりあえず……ネメシスから遠ざかってもいい。策を練り直す時間を確保する。あいつらが追ってこれない場所を探すんだ」 「……了解」 今一つ納得いかずとも、指揮官の権限を認めていないわけではないのだろう。バリケードは短く答えて両腕の武器を仕舞った。 |
ポイントは、悲劇性みたいなものを感じているのはあくまでもスタースクリームだけで、バリケードが非常に淡々と、なんでもないことだと感じている点。それを読んでくださるかたに伝えることがだきていれば、成功です。 ただひたすらヒロイックになってしまっていたりするなら、私としては、やっぱりまだまだ表現力とかいろんなものがタリないよなぁという次第。 まあ、こんな一部分だけ見せられても、どうしようもないかもしれませんけどね。
このおはなしは、スタースクリームの葛藤と、バリケードの出自・性質についてと、それをスタースクリームが知る経緯。それから、地球についてメガ様に会ったときのスタスクのための下地、あとは、ブラットさんがいてくれて良かったね! という成分でできてます。 ブラットさんの見せ場はラスト付近ですので、今はまだ秘密。既に書いてはあります。 早いところ、頭から通してアップしたいものですが……さてはて、いつになるやら。 TF3に旧キャラが戻ってきていれば、起爆剤としての威力は倍増だったんだけどなぁ。 |