ぼくらのまちの おまわりさん

 

      ブラックアウトの証言

 

 たとえば、叫び出したいのを必死に押し殺したような囁き声で、
「こ、殺される、殺されちまうっ。助けてくれ、早くっ、早く……!!」
 そんな電話がかかってきたからといって、鵜呑みにはできない。拳銃の弾を確かめて外へ飛び出し、サイレンを鳴らして駆け付けたところで、浮気のバレた馬鹿な男が奥さんから殴られているだけ、なんてこともある。そういうときには思わずその男を射殺したくもなるが、幸いにして実行した者はまだ一人もいない。
 警察官というのは実に大変な仕事で、ある種、街の便利屋さんと変わりなく思われていたりもする。ひどいときには、ガス漏れが発生してどうしていいか分からないと言われて出かけた先で、ガスコンロの不具合を点検させられたりもする。もちろん、適切な業者を呼べば済むことなのだが、そうすると、何故か住民をないがしろにしたことにされてしまったりもして、始末書を書かされる。もちろん、上の者もその始末書が妥当なものだとは思っていないが、皆さまのご意見は真摯に受け止めて、注意、指導いたしておりますという「形」を作りたいのだ。
 そこが小さな田舎町なら地域密着型の駐在さんもいいかもしれない。犯罪と言えば分別のない子供の万引き程度で、事件と言えば隣の家の夫婦喧嘩とか、向かいの家の犬が子供を産んだこと。そういう場所なら、自転車で見回りして、一人暮らしのおばあさんの家に寄ってなにか用事がないか尋ねたり、電球をかえたり庭の掃除をしたりしていても仕事になるかもしれない。しかし、何十万人という住人を抱える大都市の警察官にきめ細かなサービスを求められても困る。
 かつ言えば、いちいちすべてに構っていたら体が4つあっても足りないのだから、くだらない犯罪は起こすなと彼等は思っている。もちろん、くだらなくない犯罪も起こさないにかぎる。電話は一日中鳴らないにかぎるし、拳銃は一生抜かないにかぎる。そもそも持たずにすめば一番いい。

 しかし世の中そうはいかず、だからこそ警察という組織があるのだ。
 あっちのデスクでこっちのデスクでと常にベルが鳴っている電話が、また一つ騒ぎ出した。
「はい、○○警察署です」
 ブラックアウトが受話器をとると、相手は至極落ち着いた声で、町番と店名、そして自分の仕事と名前を名乗った。
「え? アイアンハイド? アイアンハイドか! 久しぶりだな。ブラックアウトだ」
 電話をかけてきたガードマンは、名乗るのを聞いて太い声を少し嬉しそうに弾ませた。しかしすぐに声の調子を元に戻すと、
『それなら畏まる必要はないな』
 とだけ前置きして、痴漢らしき男を捕まえたので来てほしいと告げた。さすがだと思うのは、ブラックアウトが聞きたいいくつかの事項を問わずとも端的に教えてくれることだ。被害者は別室にとどまってもらい女性事務員が事情を詳しく聞いていること、容疑者を見つけて追いかけたスタッフは全員待機していること、監視カメラの確認は現在行っていることなどをさっと並べ上げる。
 付け足して尋ねることなどなにもなかったので、ブラックアウトはすぐに行くと答えて受話器を置いた。
 小さな事件でも、警察官は単独では動かない。ドラマの刑事のように二人一組で、というわけでもなく、その時々に必要な人員を連れて、結局は4、5人で動くことも多い。痴漢騒動の場合も、容疑者に事実確認を行う者、被害者から調書をとる者、店舗スタッフから状況を聴き現場を確認する者など、なんだかんだで3〜4人くらいは最低でも出かけることになる。
 課長に報告して人員を揃えると、ブラックアウトは急いで現場に向かった。

 懐かしい友人との再会を喜ぶのは、後でいい。仕事が仕事だから、事の最中にはどんな無駄口も叩かないほうがいい。そのあたりはアイアンハイドもよく心得ていて、無言でメモを一枚押しつけてきた。連絡先が書いてあるのだろう。だから、仕事が終わったら電話してくれ、久しぶりに飲もうじゃないかということだ。
 それから、連れてきた警察官の一人をアイアンハイドがちらりと目で示すことについても、答えるのは後でいい。
 被害者の女の子、今はおとなしく、ふてぶてしく煙草を吸っている容疑者、監視カメラの映像を確認しているスタッフ、それぞれを確認し、ブラックアウトは指示を出す。
「それじゃあ、俺が被害者の高校生に話を聞いてくる。君は店の人と一緒にカメラの映像を確認してくれ。それから……バリケード、店長さんと一緒に、容疑者の話を確認してきてくれ」
 言った途端、アイアンハイドの視線が訴えてきた。大丈夫なのか、と。
 大丈夫。だとブラックアウトは思う。むしろたぶん適役だろうと。あれでもずいぶん学生時代よりはおとなしくなって、いきなり掴みかかるとか噛みつく(文字通り)ということはないし、自分の職務と立場、世間の常識くらいはわきまえているのである。
 ブラックアウトが頷いてやったにも関わらず、アイアンハイドは心配そうにしながら、バリケードをすぐ隣の喫煙室へと先導していった。

 ブラックアウトは体格がいいが、あまり人に怖がられることはない。怒っているのと泣き出しそうなのとが半々だった女子高生も、話しているうちにリラックスして、よく考えながら状況を説明してくれるようになった。ブラックアウトは椅子にかけた彼女の前に膝をつき、できるだけ頭の高さを同じにして話を聞く。
 彼女の話に嘘はないし、ずいぶんとしっかりした子で、誇張もないと感じた。話の筋道も通っている。
 話によると、最初はなにも思わなかったが、アクセサリー売り場の通路でぶつかったとき、いやらしいと感じたのが最初だそうだ。たまたまぶつかっただけと言えなくもないが、そのときに抱きつくようにされたのだという。それでも決めつけるわけにはいかず、気持ち悪いけれど忘れようとした。しかしその後から、どうにもその男が自分の視界にいたり、後ろを通ったりするのが多すぎる気がしてきた。それで、密着するようにして隣に並ばれ、手が太腿に触れたときには、偶然かもしれないとは思えなくなって、「痴漢」と叫んだらしい。
 男はそそくさと立ち去ったが、出入り口で男性店員に声をかけられた途端逃げ出した。彼女はそこまでは見ていた。あとは、自分の傍に来てくれた女性店員とともに同フロアの倉庫、すなわちここに来て事情を説明していたという。
「そうか。ありがとう。たぶんこの後も警察に来てもらって、調書をとったりするのに協力してもらうことになると思う。面倒かもしれないが、頼めるかな。もしどうしても外せない用事があるなら言ってくれればいいし、そうだな、いったん家に帰って、着替えて、一休みしてからでもいい」
「大丈夫です。でも、やっぱり着替えたいし、一回うちへ帰ります。何時頃、どこへ行けばいいですか」
 容疑者……誤解でないことが判明すれば犯人と顔を合わせるのは嫌だろう。そういう事態は偶然でも起こしたくはない。そこで、電話番号を聞いてあらためて連絡することにした。ブラックアウトは女の子が告げる番号を手帳に書き留め、間違いがないか念を押して確認する。そのうえで、指定着信になっていないかと、こちらの連絡番号を伝える。できれば数日だけでもこの番号を登録しておいてほしいと頼むと、彼女は素直にその場で携帯電話をいじった。
 それから家族に連絡し、簡単に事情を説明して迎えに来てもらうことにしたらしい。
 別れ際には笑顔を見せてくれたので、ブラックアウトも一安心した。

 そうして倉庫を出ると、肩を落として項垂れた容疑者……犯人が、ぎこちない足取りで連行されていく場面に出くわした。向こうも終わったらしい。
 目の合ったアイアンハイドが、小さく肩をすくめて見せる。なにがあったのかは、言われなくてもだいたい想像がついた。
 なにせこれは、三度目なのだ。
 以前にも同じことをしている。一度目はたまたま。二度目は他に人手がなく仕方なく。しかしそのどちらも同じ結果になったので、三度目の今回は意図的に。
 容疑者と、彼を犯人とは決めつけない第三者、そしてバリケード。この組み合わせで狭い空間に閉じ込めておくと、何故か容疑者はパニック状態になって自白してしまうのである。
 分からないでもない。
 誤解だった場合を考えて、第三者が慎重な態度であれこれと確認していくのを、聞いているバリケードの様子といえば……。
 本人にそのつもりは微塵もないのだろうが、それが嘘だと分かったらどうなるか分かってるな、と言わんばかりの冷たさである。室温が一度、また一度と下がっていくように感じて、外に出ると、真夏だというのにあたたかくてほっとした、なんて言ったのは二度目のときのフロアマネージャー氏である。
 身に覚えのある者は、なにをされるか分からないというプレッシャーをだんだんと無視できなくなって、これに耐えるくらいなら正直に言ったほうがマシだと思うらしい。
 今回は、耐えきれずに逃げ出そうとしたのをバリケードが後ろから服を掴んだ途端、失禁してしまったという。拳銃をつきつけられたと思ったらしい。背中に触れたのが拳銃なら服を引っ張られるはずはないのだが、そんな理性は働く余地もない。
 ついでに言えば、監視カメラの映像でも痴漢行為としか受け取れない行動がはっきりし、晴れて逮捕となった。なお、カメラの映像は被害者の証言をそのまま裏付けているので、あとは詳細を確認するだけで、ここからの聴取でごねられることはないだろう。
(傍にバリケードを置いておけばますます素直にはなるだろうけど……)
 さすがにそれは可哀想かなと思うブラックアウトであった。

 


     アイアンハイドの証言

 

 痴漢、という声が聞こえて足早にフロアを横切ると、丁度、店からエレベーターホールへのドアを男が駆け出していくところだった。その後をすぐにスタッフが一人追いかけて行く。アイアンハイドは近くにいた女性スタッフに、痴漢と叫んだ女の子を探して保護するようにと言いつけて猛然とダッシュした。

 ガードマンは地味な仕事だ。何事も起こらないようにするため、防犯のためにフロアにいるのである。出勤すればいつも、決められたフロアを巡回したり、出入り口に立って出入りする客に「いらっしゃいませ」だの「ありがとうございました」だの声をかける、あるいは無言で突っ立っているだけ。
 退屈で、最初の頃は何度も辞めようかと思ったが、今ではそう悪くないと思っている。
 自分の外見や態度があまりフレンドリーでないという自覚はあって、たいがいは怖がられてしまうのだが、こうしていつも決まった曜日、決まった時間、決まった場所にいると、次第に顔を覚えられ、そうすればいつの間にか、客のほうから「いつもご苦労さま」と笑顔で頭を下げてくれたりもする。怖いもの知らずの子供にちょっかいを出されるのも、嫌いではない。店のスタッフたちも少しずつ慣れてくれて、時には、スタッフとは違う場所で休む自分のもとへ、旅行のお土産だからと菓子をいくつか届けてくれたりもする。
 それに、いざとなれば相手がナイフを振り回していようと果敢に立ち向かうアイアンハイドを知っていれば、頼りになるガードマンだと信頼もしてくれる。
 ささやかだが、ここに来るスタッフ、そして客が、余計なトラブルに巻き込まれないようにするのが自分の仕事で、そのためには決して退屈……油断している暇などないのだと、最近は身にしみて分かってきた。だから、二年ほどさぼっていたトレーニングも再開している。

 毎朝のジョギングや、休みの日のワークアウトが功を奏して、アイアンハイドはあっという間に男性スタッフを追いぬき、犯人の背中に辿り着いた。そこで息も切らさず
「誤解なら堂々とそう説明しろ! 逃げれば身に覚えありと見なすぞ!」
 と怒鳴りつけると、男は観念して立ち止まった。
 そこからは、予想していたとおり「疑われてはたまらないと思って逃げてしまった」だのなんだのという言い訳だ。本当ならこんな馬鹿、一発殴って本当のことを吐かせたいが、それがこちらの弱みになることは言うまでもない。腹が立つのを極力抑えて店に連れて戻り、温和で知られた店長に預けた。店長は彼を喫煙室に誘い、二人して笑いながらなにか話していたが、正直、苦々しい。犯人と決まったわけではないにせよ、直感は訴えている。実際にやってるな、と。
 それから状況を確認すると、慣れていないスタッフたちはまだ警察に連絡もしていないという。しかしフロアの女性スタッフは、被害者の女の子を商品倉庫に連れて行き、飲み物を与えて落ち着かせているところだという。
 アイアンハイドは監視カメラの確認を頼みつつ、テーブル上の電話に手をのばした。

 出た相手が旧友とは驚いたが、それなら話はしやすい。必要だろうと思うこと、これまでの経験で尋ねられた覚えのあることを伝えると、ブラックアウトはすぐに行くと答えて電話を切った。彼が警官だというのは、驚きでもあるが、お似合いな気もした。
 それから10分ほどすると、ブラックアウトは何人かの警察官とともに現れた。そこでまた驚いたのは、学生時代「狂犬チワワ」などとこっそり呼んでいたバリケードまでが警官の制服を着ていたことだ。彼と掴みあいの喧嘩になったとき噛みつかれた痕は、実は未だに腕に残っている。どちらかと言えば犯罪者になりそうだったが、幸いドロップアウトはせずに済んだらしい。特に仲が良かったわけではないし、周りが青褪めるような喧嘩もしているのに、アイアンハイドは、何故かほっとしている自分に気付いた。
 しかしである。
 ブラックアウトがそのバリケードを容疑者につけたときは、大丈夫なのかと心底思った。脅すくらいならまだしも、殴りつけたりされては大変である。
 そんな調子ではとっくにクビになっているはずだから、と自分を納得させたが、すぐ隣の事務所でカメラ映像を見ながら、アイアンハイドは気が気ではなかった。

 カメラは店内を広く捉えていた。すべてを隈なくとはいかないが、あちこちで女子高生の姿も容疑者の姿も発見できる。
 そして確かに、アクセサリーを選ぶ被害者の後ろを、彼女をじっと見ながら何度も通ったりするのを確認できたし、通路の曲がり角でぶつかったときには腕を広げ、ぶつからないように止めるのではなく抱きつくようにしているのも分かった。「これはやってるだろ」と別フロアのチーフが呟く。
 被害者は怪しんで場所を離れ、奥のほうにあるコスメ売り場へ行くが、男はそこにも現れて、どう考えても本人には必要のない商品を覗くようにしながら、被害者の隣に張り付いた。
 被害者はそこで男に向き直り、なにかを叫ぶ。これが、「痴漢」という一言だろう。
 男は慌てて立ち去り、間もなく、出入り口を映したカメラに現れる。そこへ男性スタッフが近付くと脱兎のごとく逃げ出した。それから間もなく、アイアンハイドが店を飛び出していく姿が映し出される。我ながら、俊敏なアスリートというより怒り狂った猛牛のような姿である。
 ともあれ、これを見せてどう言い逃れするのか、忌々しくなった。偶然だとか、彼女にプレゼントするのを選びに来たとか、驚いただけだとか、言いようはいくらでもある。痴漢冤罪については近年、いくつか印象深いケースがメディアで取り上げられたり、書籍化、映画化されたりもしているので、ますますやりにくいだろう。
 そんなことを考えて溜め息をついたとき。

「わあぁぁッ!」
 といきなり悲鳴が上がってガタンバタンとすぐ隣の壁が揺れ、その後には
「ギャ―――ッ!」
 絶叫。
 いったいなんだとアイアンハイドは事務所のドアを開けて廊下に顔を出した。すぐ隣のガラス張りの喫煙室では、仰天した顔の店長が壁の隅に張り付き、容疑者は床に座り込み、その傍にはバリケードが腕を組んで立っていた。
「おまえ」
 なにをしやがった、と言う前に、
「すみませんっ、やりましたっ、でも出来心なんです! だから殺さないで!」
 容疑者がわめきはじめて、アイアンハイドは続きを言えなかった。
 カメラの確認にあたっていた警官とともに喫煙室に入ると、異臭が鼻をついた。見れば、容疑者のズボンには色の変色した部分があり、床も少し濡れている。これはもう俺の仕事じゃない、とアイアンハイドは勝手に決めて警官に容疑者を押しつけ、バリケードの傍に詰め寄った。
「おまえ、なにをした」
 迂闊なことをすれば訴えられるのはこっちになる。肩に手を置いただけでも暴力的に威圧されたと言われるし、ちょっと乱暴な言葉遣いが脅されたになる世の中なのだ。
 バリケードは
「なにもしてない」
 無愛想に一言言うだけなので、アイアンハイドは店長を振り返った。
 彼は頷き、
「たしかに、なにもしてらっしゃいません。話を聞いていたのは私ですし、そのかたはただそこに立ってらしただけで、その、急に叫ばれまして」
「嘘だ! 俺を撃とうとした!!」
 床から容疑者……犯人が叫ぶ。バリケードは呆れたように軽く両手を広げ、
「逃げようとしたんで服を掴んだだけだ。撃つもなにも、俺は拳銃を持っていない。誤解を生みやすいんでな。武器にあたるものは基本的に持ち歩かないよう言われている」
 そう言われて見れば、彼は警棒すら身につけていなかった。
 しかし、見上げる容疑者を見下ろす目が、充分アイスピックのような気がするし、殴り合った経験から言えば、彼は素手でも充分以上に強い。
(手を出さなくなった分だけ怖くなったような……)
 手を出せない苛立ちがそのまま内側に凝縮されているのではないだろうか。思わず犯人に同情し、優しく肩に手を置いて立つように促すアイアンハイドだった。

 

 

(おしまい)


 

 ブラットさんも警察官です。おっきいけど優しいおまわりさん。バリケードさんも警察官です。ちっこいけど怖いこまわりさん。……漫才コンビか。ブラバリもありだと思ったのは内緒です。
 スタスクは大学の講師とか研究生かなぁ。探検家っていうのはちょっと身近ではないし、普段は地球の裏側とかにいそうでなかなか登場させられないし。
 ボンクラさん(その略はひどい)とブロウルさんは建築系。ボーンさんは(このほうがいいか)一応建築技師と言って言えないこともないけれど、現場大好きで地下足袋とニッカボッカが一番落ち着くとか。ブロウルはミリ単位の細かい仕事を感覚でできるほど手先が器用だったり、自分ですごいと思ってないけどかなり高い技術持ってる溶接工とか左官さん?
 メガ様は政治家とかじゃないかなぁ。警視総監とかもありでしょうか。
 ジェットじいちゃんこそは探検家で、さすがに年とったので世界最高峰とかに挑むのはやめたかわりに、バイクで大陸横断とか気ままに旅を楽しんでる感じ。

 アイアンハイドはガードマン。ラチェット先生は医者しかないし、オプは……政治家の息子だけど学校の先生とかいかがでしょうか。体育の先生。
 ジャズはフリーターかも。バンドやっててけっこう人気あって、メジャーになるとそれはそれで自分の感性を縛られるからと、チャンスがあってもインディーズ、みたいな。実家金持ちとかもありそうです。いいとこのボンか、さもなきゃひそかに苦労人。どっちかのイメージです。
 バンブルビーはジャズとはほとんど同い年でフリーター中。昔はバンドのボーカルやってたけど声が出なくなってやめた後は、ジャズのバンドでローディのバイトしてるとか。いつもにこにこ。就職は真面目に考えてそうです。

 なお、この「イメージの世界」での体格差は、大きい人たちが210cmくらいで、小さい人たちは130cmくらい。単純な体格差というより、微妙に種族が違う感じで。
 年齢は、じいちゃんが60過ぎなのは確定として、メガ様が40代、ラチェットは30代後半、ジャズとビーが20代前半。スタスクは20代後半くらいで、他は30代前半〜半ばくらいかなぁと思います。
 あと、ここが日本なのかアメリカなのかは聞かないお約束です。微妙にミックスされた異世界です、きっと。

 この話の痴漢騒動はフィクションですが、似たようなことは実際に何度か見たりしています。警察の仕組みについては、あえて調べずに書いているので「そんなことはやらない」というのもあるかもしれません。調べてしまうと、徹底して合わせないとかえって間違いが浮き彫りになるし、それにこだわって筆が鈍るのもイヤなので、あえて調べないのです。ちょっと見た現実から生まれた、空想の中の「おまわりさん」たちです。
 警察に関わると、電話を受けた人の名前も漢字まで含めてフルネームで確認されるし、店長の名前とか、店舗の責任者が社長なのか店長なのかとか、その名前とか、生年月日とか、いろいろ聞かれるんですよね……。
 幸いお世話になったことはなく、調書を作るのに協力したこともないのですが、話を聞くとすごく大変そうです。