地球には「犬」という小さな生き物がいて、それは、地球における支配的種族たる人間の「友」として認知されている。その「犬」という動物のデータベースを見ると、彼等は種類によって性格的な特徴が異なるらしい。 戦略的にはまったく意味のないデータである。信憑性も怪しい。だが、物事を理解し楽しむには、非常に有益なこともある。
撮影の合間の昼休み、エネルギー補給の終わったオプティマスは、仲間たちの内でも最も小柄な二人を遠くから眺め、人間にはちょっと分かりづらいものの、微笑していた。 身振り手振りもせわしなく、あれこれと言い募っているジャズ。 彼の前で廃材に腰かけて、何度も頷いているのがバンブルビー。 なにを話しているのかはここからでは分からないが、まるで、キャンキャン吠えるスピッツと、おとなしく温和なレトリーバーといったところか。 バンブルビーの発声機能が壊れて以来、しゃべるジャズと聞くバンブルビーという役割はより明確化された。 時にはジャズに注意をしようかと思うこともあるが、オプティマスはそのたびに思いとどまり、よく考えてみることにしている。 バンブルビーが話したいと思ったときには、自分なりラチェットなり、時にはディセプティコンチームのブラックアウトなり、ともするとメガトロンなりがちゃんと聞いてやる。ラジオや歌などを組み合わせてしゃべる彼の、ともすると分かりづらくなりがちな話を。バンブルビーはそういう相手を呼びとめるコツをよく知っているから、話したくても話せないというストレスはあまり抱えていないだろう。もちろん、自分の声と言葉でしゃべれないつらさは別として。 とすると、問題は別にある。つまり、ジャズの話を聞いてうんざりしていないか、ということだ。 だがそれも問題はないと判断できる。ジャズはとにかく口数が多くて黙っていられない性分だが、話は明瞭だし話題は多岐に渡る。他愛ない世間の情報から自分の意見、不満、理想、学術的な話、なんでもありだ。そしてバンブルビーは、自分の知らない話を聞くのが大好きなのだ。最近流行りのシンガーから、深遠なる宇宙に対する見解まで、誰かの語る自分にはない意見や風景、それを彼は純粋に楽しんでいる。 だからつまり、どうしても口を挟みたいと思えば待ってくれと言えないバンブルビーではないのだから、一方的に見えても、あれはあれでお互いが心地良い時間に違いない。 よくよく二人の表情を確かめ、やはりそうだと認識しなおして、オプティマスはこれ以上観察するのをやめた。
そしてふと気がつくと、すぐ後ろにはメガトロンがいて、振り返ったオプティマスに 「見慣れた光景だな」 と言って苦笑した。 オプティマスもまた小さく笑って返す。 ディセプティコンにはスタースクリームというスピッツと、ブラックアウトというレトリーバーがいる。ジャズとバンブルビーの関係とは少し違うが、とにかくしゃべり散らす者とおとなしく聞く者で、よく見かける、珍しくない光景なのだ。 「私になにか?」 ともあれ、メガトロンが撮影所の隅にまでわざわざやってきたのは、ただの散歩ではあるまい。尋ねると彼は、 「監督から、午後の撮影についての修正案を渡されてな。確認してくれ」 そう言って電子メッセージを送ってきた。 人間の映画監督から渡された情報は、今オプティマスが受け取ったものほどまとまってはいなかったに違いない。こんなふうに理路整然と、すべてが細分化され、必要な順番に並べなおされ―――、メガトロンにとれば簡単な作業だろうが、それでもオプティマスは、持ってきてくれたことにだけではなく、 「ありがとう。助かる」 と素直に礼を述べた。
メガトロンに感謝を感じるとき、オプティマスには、いつもではないが思い出すことがある。 それは、滅び去った故郷のことだ。 大いなる繁栄を築きあげていたセイバートロン星が滅んだ理由は、彼等の頭脳と科学力をもってしても充分な検証ができていない。検証できたのであれば食い止めることもできたのだろうから、これは当然のことだ。 いくつもの要因が複雑に……非常に複雑に絡み合い、その絡まりをほどくことができず、そして、大勢の民が宇宙への移民を余儀なくされた。 オプティマスはずっと、この事態を招いたのは自分だという思いを捨てられずにいた。 今も傍にいる仲間たちは誰一人としてそんなことは言わないが、そう言った者がかつて一人もいなかったわけではないし、なにより、唯一残ったプライムの末裔、国家元首として、下した決断が間違っていたのではないかと思わずにはいられない。 もし自分がいつか、どこかでなにか、違った選択をしていれば、同胞たちを宇宙に放り出すこともなく、失うこともなかったのではないか。 幸いにも自分たちはこうして新しい星に辿り着き、そこの住人たちに受け入れてもらえたが、それまでには長い時を費やしている。地球基準で言えば数千年だ。それは、金属の体を持つ自分たちにとっては、人間が思うよりは短い時間だが、それでも束の間とは言えない。このままエネルギーを使い果たし宇宙の塵と化すのではないかと、何度となく思ったほどには長い時間である。 実際に喪われた同胞たちも少なくはない。分かっているだけでもかなりの数がいるし、自分の知らないどこかで死んでいった者もいるだろう。それは、自分たちと同種の幸運に恵まれた数よりも圧倒的に多いはずだ。 そんな物思いに耽るとき、たまたまこの星で奇跡的な再会を果たしたメガトロンの、「君のせいではない」と言ってくれた言葉が救いになる。 そんな言葉一つで物思いが晴れることはなくとも、こんな自分を、彼のような存在が許し、認め、支えてくれるのだと思うと、せめて未来に向けてなにか良いものを生み出していかねばと、前向きな気持ちになれるのだ。 オプティマスは今またあらためて、この年長の友を頼もしく見上げるのだった。
「凍らせた後は胸に穴開けろって、人間は俺たちをなんだと思ってるんだ? 治せるから、痛みとして受容されないから、だからなにしようが構わんというわけか? 馬鹿な!」 こんな言葉は、今までに何度聞いただろう。というか、2日ほど前にも聞いたような覚えがある。 しかしブラックアウトは余計なことは言わず、 「まあまあ。メガトロン様ご自身が引き受けたことだし、いいんじゃないのか?」 つい先日も言ったような気がする言葉を口にした。 「良くない!」 やっぱり先日も、スタースクリームはそう答えた気がする。 もし2日前と異なるところがあるとすれば、それは、たまたま同じ場所にバリケードがいることだろう。 だから、数日前には、「困ると思えばメガトロン様がご自分で伝えるだろう」とブラックアウトが答えたのだが、今日は 「やかましい。黙れ、スタースクリーム」 と不機嫌なバリケードの声が割って入った。
スタースクリームが殊更ゆっくりとバリケードのほうを振り返る。バリケードはちらりと視線をよこしただけで、すぐさま手元の武器に目を落とした。 「バリケード。今なんて言った」 最悪なことに、バリケードは返事をしない。言い返してくればまだしも、こういうのをスタースクリームは一番嫌う。 絶対的必要がないかぎり人間のいる敷地内で武器は使うな、とメガトロンに言われていなければ、右手のパルス砲がバリケードのディスクを吹き飛ばしただろう。だが今は、それを横からさっと取り上げるだけで我慢することにしたらしい。 バリケードの顔が斜め上を向き、二人の視線がぶつかったところに緊迫感が生まれる。 このところ、二人はやけに衝突する。たいがいは今と同じパターンだ。それなのに、バリケードのいるところでスタースクリームの話を聞いたのはまずかった。なにか理由をつけて、どこかへ連れだせば良かったとブラックアウトは後悔したが、もう遅い。
とにかく、これ以上険悪な雰囲気になられては大変だ。 ただでさえバリケードは非協力的で「演技」など馬鹿馬鹿しいという態度丸出しだし、スタースクリームはそういう気分をすぐには切り替えられない。となると、この後の撮影でバリケードはますます不機嫌だろうし、スタースクリームはNGを連発するだろう。ペイ監督は相手が誰でも遠慮はしない。そうなると、もうとにかくいろんなことが悪い方向へ転がるに決まっている。 ブラックアウトは仕方なく、困ったときには使えと言われている究極の武器を持ち出すことにした。 「二人とも、落ち着いてくれ。俺たちにとればちょっとした喧嘩でも、人間にとれば大惨事になる。それをメガトロン様が望まないことは、二人とも分かっているよな?」 メガトロンの名前は、こういうとき一番効果的である。本人の使用許可も出ているので、使わない手はない。頻繁に持ち出せる武器ではないが、前回、三ヶ月ほど前に使用したときには効果覿面だった。今回はどうだろう? はらはらしながら見守っていると、スタースクリームはブラックアウトの言葉が的を射ていることを認めたようで、本当はぶつけたいに違いないディスクをバリケードに差し出し、彼が受け取るや否や背を向けて大股に歩きだした。
スタースクリームが待機用のガレージを出て行ったことを確認し、ブラックアウトは心の底からほっとする。 それから、意見しようかどうしようか少し迷ってバリケードを見やった。彼はまた黙々と、ここ何百年も使用していないディスク―――無数の刃が飛び出した殺戮兵器である―――を磨いている。 だがそれも途中で手を止め、バリケードはディスクを右腕のシールドの中に収納して立ち上がった。彼もまた、ガレージを出て行こうとする。ブラックアウトは、なにか声をかけるべきなのかどうか、その背を見やった。 「……悪かったな」 出ていく間際、バリケードがそう残していった。ブラックアウトを自分たちの諍いに巻き込んだことに対する詫びらしい。 ブラックアウトは一人でひそかに嘆息する。 少し前まではこんなふうではなかった。むしろスタースクリームは、ネメシス号の乗員の中では最も、バリケードとうまくやっていたような記憶がある。軽い言い争いをしながらも、お互いに距離を保って、感情的になりすぎることもなく、そう、うまくやっていた。信頼関係もあったように思う。 (二人とも、頼りになるし、いい奴なのに、どうして最近こうなんだ) もう少し自分がしっかりして、割って入るなり、宥めるなりすればいいのかもしれないが、失敗すればますますこじれるだけだ。二人がかりで自分の正当性を主張されたり、まかり間違ってこちらに矛先を向けられたりしたら、とても応じきれない。 そんな弱気が駄目なんだと分かってはいるのだけれどと、ブラックアウトはもう一度、ローターを震わせて溜め息をついた。
こんな時間に意味はない。 バリケードは自分の中に生じる苛立ちを探る。 少なくとも自分にとっては、このくだらない時間はまったくの無意味だ。その無意味なことを続けさせられるのが、我慢ならない。 これまでは、するべきことがないときには、割り当てられた実用的な仕事をこなせばそれで良かった。 しかし今は、わけの分からない娯楽に参加しろと言われる。くだらない馬鹿騒ぎで、役に立たない虚像を作る。あれこれと、どうでもいいようなことをうるさく指定されながら。 まったくもってくだらない。馬鹿馬鹿しい。意味がない。 そう思うとき、バリケードは目に映るすべてを破壊し、粉砕したい衝動を覚える。 俺はそのためにここにいる、という思いとともに。
破壊することが自分の使命、いや、存在理由だ。 戦わない時間は、排すべき対象が現れていない間の準備期間に他ならない。 その、たとえ退屈でも無意味ではない時間を、今はすべて、くだらなく、つまらない、しかも馬鹿馬鹿しく腹立たしい、不愉快なものに変換されている。 だから、こうなる。 物理的な破壊を堪えれば、言葉や態度が攻撃的になって、誰かと衝突するのだ。
こんなに無意味でくだらなく、馬鹿げた時間を過ごさねばならないくらいなら、いっそ戦争でも起こればいいのに。 バリケードはそう思う自分を自覚する。そしてその願望が、他の者には決して受け入れられないものだろうことを思う。 破壊したい、殺したいという欲望や衝動は、他の誰にもないものなのだ。 そして自分が、他のオートボットとは違うモノであることを知る。
誰もいない場所を探し、廃工場の裏手、今はもうなにも入れられていない資材倉庫の脇にそれを見つけた。 室外機らしいものが壁にずらりと並んでいる。それらは錆びて脆そうだが、触れてみると自分が座った程度で壊れることはなさそうだった。 そこに腰掛けて、右腕からディスクソーサーを取り出す。 これを磨きながら、考える。突き出した刃の切っ先のように無駄のない、真実がなにで、どこにあるのかを。
ここにいるのは御免だ。こんなことがずっと続き、それがこれからの自分に与えられた生ならば、とても耐えられはしない。今はまだ口論程度で済んでいるが、いつかきっと、壊してはならないものを壊すだろう。 それはいい。それそのものは、いいのだ。だが、そのとき自分は、ここにいるべからざる者になる。 敵を排除するために生まれた。今まではその役目を果たしてここにいた。だがこのままでは、自分自身が彼等の敵になる。誰も望まない破壊と殺戮をもたらす存在に。 それは―――。 バリケードの手が止まる。 それは嫌だと思うのは、特になんだというわけでもない連中、特に興味があるわけでもなければ、ましてや気に入っているとか好きだというわけでもない、どうでもいい連中のはずなのに、ここにいるなと思われるのは、……スパークが軋むような、嫌な心地がする。
いらないものばかり。 平和も、退屈も、こんなくだらない感情も、なければいいと思うものばかりだ。 それならいっそ、出て行ければいいのに、それも叶わない。 叶うなら、こんな気持ちの悪い星は出て行って、どこか、どこでもいい、誰でもいいし、どんな理由でもいい。破壊の力をぶつけ合う中に紛れ込みたい。そこでならばなにを思うこともなく、自らのスパークが求めるままに生きることができる。 だが実際には、そんなことは無理なのだ。バリケードは飛行能力を持たないし、たとえ飛べたとしても、メガトロンのように単独で宇宙を渡れる者はほとんどいない。中では高い飛行能力を持つスタースクリームですら、この銀河から出ることもできないのである。 それに、セイバートロン星を離れてこの地球まで、数千年の旅の中でも、戦争や殺し合いをするような知的生命体にはまったく会わなかった。生物の本能として縄張りを争ったり、互いを食おうとするものがあったくらいである。それは、バリケードの望む戦いとは違う。
―――こんな自分が、なにより嫌だと思う。 勝手にくだらないことを考えて、目の前の現実から逃げようとしているだけだ。ただ自分が楽なほうへと。
くだらない思索に、あまりにも深く没頭してしまったらしい。 ディスクを仕舞おうとして驚いたのは、自分のすぐ隣に真っ黄色な機体が座っていたことだ。そのブライトイエローの派手派手しさには、驚いてノイズを漏らすだけの威力があった。 「な、なにをしている」 いつの間にかそこにいた能天気なカラーの同胞に問うと、彼は「さあ」とでも言うように首をかしげた。 そのすぐ後に 『そんなことより大事なことがあるんだ』 とラジオドラマの一節らしき音声が流れる。 「俺には関係ない」 答えて去ろうとすると手をとられ、 『君しかいない、僕のことを分かってくれるのは』 今度はなにかの歌の一部だった。 これだから、バンブルビーとの会話は大変だ。発信される音声そのもののニュアンスと、彼が言わんとすることとは必ずしも一致しない。今も、決して別れ話で愁嘆場を演じているわけではないのだが、もともとの歌の内容はそういうことである。だがバンブルビーが言いたいのは、「関係ないなんて言うが、この話をできるのはおまえだけだ」ということだろう。 そんなことがあるとは思えないが、ないと断言できるだけの裏付けもない。 「話があるならさっさとしろ」 無視して去ろうとしたところで、バンブルビーの性格からして、そうあっさりとは諦めないだろう。なにか話があるというなら、それを聞けば終わるのも間違いない。仕方なくバリケードはいくらかの時間を提供することにした。
まったく不愉快だと腹を立てていたのも束の間。 「まったやっちまった」 一人で呟いて、手近な壁にガンと頭をぶつける。とりあえず、壊さないように加減して。だが実に脆い構造体である地球の物体は、それだけではっきりとしたへこみを作ってしまい、スタースクリームは誰かに見られなかったろうかと周囲を確認した。 大丈夫だ。誰もいない。それに、7mも上方のことであるし、撮影に使うわけでもない。たぶん、問題ないだろう。 問題は、こんな壁よりも深刻だ。 バリケード。 地球に着いて以来、以前にもまして攻撃的で剣呑になっている。そのせいで、自分もああして喧嘩をしてしまうし、ボーンクラッシャーはあからさまに関わりたくないという様子になっている。
昔からとっつきにくいタイプだったのは確かだ。基本的に無口で、必要なことしか喋らない。そしてなにか言うとき、言い方などは考慮しない。そのせいで、言っていることは正しくても、相手を怒らせたり傷つけたりして、無駄な争いになることも少なくなかった。 それでも地球に来るまでは、もっと素っ気無かったのだ。淡々としていた。それに、いざというときにはその冷静さ……冷徹さが頼りになったし、彼が突きつけてくる現実は、痛いとしても重要なことだった。 しかし今は、ほんのちょっとしたことで腹を立て、苛立ち、攻撃的になる。だからこちらも、防衛のために強硬な態度をとることになったり、関わることを避けようとしたり、それとも反撃に出てしまうのだ。
こんな不和は、メガトロンも望むまい。もちろん望むわけがない。なんとかならないものかと思っているだろう。 バリケードに協調性がないなら、それを発揮して緩和するのは自分の役回りだ。あまり得意でないとしても、その努力をすべきだし、しているつもりもある。なのについ、売り言葉に買い言葉で、うまくいかない。 メカトロンならばああいうとき、どうするだろうと考える。どう答えただろうか。……まずそもそも、バリケードのいる場所であれこれ話をしようとしないだろう。その時点で自分は配慮が足りない。それに、あのバリケードも、さすがにメガトロンが相手となると喧嘩を売るようなことはない。 (いったいあいつ、どうしたっていうんだ) 少しは分かっているつもりで、オールスパーク、あるいは安住の地を探す旅の途中では、それなりにうまくやっていたつもりがあるだけに、スタースクリームは納得がいかない。自分のなにが悪いのか、バリケードがなにを考えているのか。
「はあ」 と非常に人間的な嘆きの音声を洩らした途端、スタースクリームの視界の中に爆走するパトカーが現れた。 倉庫の角をナイフのようなドリフトでターンし、砂埃を蹴立てて走ってくるのはバリケード。 何事かと思うと、そのすぐ背後に鮮やかな黄色をしたカマロが現れた。こちらも見事な制動で直角の角を急激に曲がり切り、すぐさま加速する。 バリケードはスタースクリームの足を跳ね飛ばさん勢いでぎりぎりのところをすり抜けていき、目前にはカマロが迫った。 事情はさっぱり分からないが、バリケードはバンブルビーから逃げているように見えた。だから、とっさにスタースクリームは姿勢を低くし、カマロの正面に陣取ると力任せに車体を押しとどめた。 「待て待て待て! なにをしている、おまえら!」 バンブルビーは機敏だが、小柄な分パワーはない。スタースクリームの体格と腕力には勝てず、後輪が空転する。地面を削る猛烈な回転音は、間もなく小さくなって消え、次いでカマロは偽装をといて直立形態に戻る。だがそれでも、なにやら切羽詰まった様子でスタースクリームを押しのけようとした。 「いったいなんなんだ。うちのがなにかしたのか?」 力にものを言わせて押さえつけたままスタースクリームが問うと、バンブルビーは少し考えて、―――それとも、相応しい「言葉」を探し、拾うのに必要な時間だったのだろう。 『……突然のことで、政府の対応も充分でなく……、……致命的だ……、……一刻も早く駆け付けないと……、……命が危ない……』 それだけ言って、スタースクリームの背後を指差した。 バンブルビーの断片的な言葉を解釈すると―――、バリケードの身になにかが起こっていて、それは命に関わる可能性もあると……? スタースクリームはF-22に変形し、翼が倉庫の屋根をかすめるのも無視して加速した。
アイアンハイドが落ち着かないのは、不安だからだ。 話す相手を間違えた―――話すべきでない相手にうっかりと話してしまったのではないか。そんな気がする。 事は昨日にさかのぼる。 日々のタスクとして、アイアンハイドはチームの所持する武器の手入れに余念がない。使うことのない武器も、いざ使おうとしたときに役に立たないのでは意味がないのだ。 平和なときにはまるで無駄にしか思えず、そして誰もが無駄になることを願う、この不毛な作業。時に嫌気がさすこともあるが、それでも投げ出さずに、万一に備えること。この忍耐の重要性を、アイアンハイドは強く意識するようにしている。この無為に耐えることができる者こそが優秀なのだと。 この気持ちを分かってくれるのは、ラチェットだけだろうと彼は思っていた。 医師というのも悲しい職業で、閑職であることを喜ぶべき存在である。ただ、彼はそれを心から望んでおり、自分のすることが治療ではなく予防だけになるのが理想だと語る。アイアンハイドは自分の腕を振るう場を求めてしまうという違いはあったが、少なくとも、他の者よりは通じるところがあった。 だからこれまで、少しばかりの愚痴を零したくなった時には、ラチェットをその相手に選んでいた。
だが昨日は少しだけ事情が違っていた。 そこにいたのはジャズだった。口から先に生まれてきたに違いない騒々しい若者は、思慮分別がないわけではないが、ラチェットほど思慮深くは決してない。 思慮深くないと言えばそれは、アイアンハイドが自分で認めているように彼自身もそうで、隣にいるのがジャズだということを特に意識もしないまま、ついうっかりと、今見ているものについての感想を述べてしまった。 「平和になると、俺たちみたいな連中の居場所ってのは、どんどんなくなっていくな」 と。 そんなことはないと、ジャズは彼一流の弁舌でアイアンハイドを慰めようとした。それが慰めとして効果的かどうかは疑問だが、少なくとも、そう思ってくれる気持ちはよく分かった。 だから、彼の口、一所懸命な慰めを封じるためもあって、 「俺にはおまえたちがいる。戦わなくても、なにかと俺をうまく使ってくれる」 と話を打ち切らせた。だがその後で、これこそが余計な一言だった。 「だが、あいつは、どうなんだろうな」 二人が見ていたのは、バリケードだった。
彼が一人で武器の手入れをしているのを見て、ふと思ったのだ。自分のように、ある程度でもいいから仲間とうまくやっていく技能がある者はいいが、彼はどうなのだろう。 ここのところ、特に評判が悪い。人間も恐れて近寄らないし、ディセプティコンのメンバーからも敬遠されている。あからさまに機嫌の悪い態度、苛立ちを隠さないでいれば誰も寄って来ないのは当たり前だ。 しかし、たとえそうだとしても、戦いがあれば彼は優秀な戦士として、誰からも頼られ、認められる存在になる。 だが今は、平和だ。なにかと戦う必要などない。武器を使うこともない。 彼もまた思うのではないだろうか。自分は大した役にも立っていない、ここにいてもいいのだろうか、と。
ジャズは賢い。冷静で、思考の柔軟性もあるし、行動力もある。そういった資質を外にアピールする能力にも長けていて、だからこそオプティマスの副官という地位にもついたし、それを皆が認めている。 だが時折、短絡的で狂騒的な若者、という面が強く出る。 バリケードに対する少しばかり感傷的な言葉を受けて、ジャズは 「悩んでたって仕方ない。解決したいと思うなら、思考と計画立案、それから実行。そうだな、少し考えてみよう」 あまりにも軽く、そう言ってのけた。 これはけっこう繊細な問題だし、土足で踏み言っていい領域ではない。だから、そんなふうに軽々しく扱わないでほしいのだが、「そういったことも考慮すればいいんだろう?」と、やたらと前向きである。 そのまま、アイアンハイドには止めることができず今日を迎えたのだが―――。 (何事も起こらなけりゃいいが) 人間なら胃痛でも起こしていそうな気分で、アイアンハイドは、今のところ静かな撮影所の空を見渡した。
スタースクリームとバリケードが殴り合いの喧嘩をしている。 そんな報告を聞いて、メガトロンはすぐさま車型に変形した。彼は、質量や構造といった問題のため地球の機械には変形しづらく、そのため特にどんな機械もスキャンしていないが、メモリにはいくつかの候補を記録している。その中で、撮影所の敷地をできるだけ高速で、被害を出さずに移動するために最適なのは、細身の車両だ。 それでも、コーナーを曲がるときには長大なボディをぶつけないよう細心の注意を払わねばならない。 目的地は聞くまでもない。少し聴覚センサーの出力を上げれば、金属同士がぶつかり合う耳障りな音が聞こえる。近づけば、土埃が立ち上っているのも見えた。 辿り着いたのは、一応彼等も喧嘩する場所くらいは選んだのだろう。セットからは少し遠ざかった、なにもない空き地だった。人間たちは怯えた様子で、遠巻きに、止めようのない喧嘩を見守っている。 「なにをしている、やめんか!」 本来の姿に戻って声をかけると、スタースクリームは振り上げかけていた手を止め、バリケードはその隙をついてパッと飛び離れた。
お互い、武器を使うほどのことはなかったようだが、殴り合えば装甲に傷がつく。この後の撮影に支障が出ないかどうか、気にしなければならない程度には。 「なにがあってこうなった。スタースクリーム。説明しろ」 「は、はい……、その……」 忠実な部下は、珍しいことに口籠ってしまう。言いにくいのか、適切な言葉が出ないのか。どちらにしても、スタースクリームには稀なことだ。彼はディセプティコン中最も知恵が働くし口も回る。どういった状況であれ、説明を求めれば必要な情報をすべて、ざっと並べ上げるのがいつも彼だ。 「では、バリケード」 言葉を弄するのが苦手だとは知っているが、もう一方に問う。案の定、こちらはいつもどおりに、いつも以上に無口だった。 メガトロンは頭を左右に振る。 説明がしにくい、あるいはしたくないというなら、それもいいだろう。なにもかもを知ろうとは思わない。だが、騒ぎを起こし、軽微とはいえ損害を出したことへの説明責任はある。彼等から自分への、そして、彼等をまとめる立場として、自分から監督への。 こういうときには、一対一で話を聞くのが鉄則だ。皆の前では言いにくいことというのもある。 そして、話を聞き出す相手として相応しいのがどちらかは明白だった。 「スタースクリーム。来い」 バリケードはどうやったところで口を閉ざす。協力する気がないのではなく、責任を感じないからでもなく、そういった手段で自己表現するのが彼はとにかく苦手なのだ。無理強いしてもいい結果は得られない。 「バリケード、おまえは少し休んで、頭を冷やせ。その後で、もし私に言いたいことがあれば、いつでも言いにくるといい」 それぞれに指示を出し、メガトロンは人けのない、そして充分に広い場所を探した。
自分たちに貸し与えられているガレージが丁度良かった。ブラックアウトたちは言われる前に外に出て、その場を作ってくれていた。その中に腰を落ち着けて、さて、と困った部下を見る。 「申し訳ございません。私の短慮のせいです」 スタースクリームははっきりと、澱みなく答えた。そこに投げやりなところはなく、少なくとも今の発言は、彼ができるだけ客観的に状況と自分たちを分析した結果だろうと信ずるに値する。 「なにがあった? なにがあり、どうなって、争いになった?」 「はい。事の起こりは、私の勘違いです。ただ、勘違いさせるべく発言した者もいます」 「ふむ。それは誰だ」 「……バンブルビーです」 「つまり、彼がおまえたちの喧嘩の発端になっている、と?」 「いえ、それは正確ではありません。彼に悪意はなかったと思います。ただ、結果的にああなっただけです」 メガトロンは溜め息をつき、 「おまえが理解する範囲で、できるだけ具体的に成り行きを聞かせるんだ」 と命じた。
スタースクリームが言葉を選び選び語った内容は、聞いてみれば微笑ましいものだった。それと同時に、バリケードが暴力的になるのも、彼の性格からして無理はないと思える。 「つまり、これは彼等の策略だったのではないか、ということだな」 「はい。バリケードが何故バンブルビーから逃げていたのかは分かりませんが、とにかく彼は、バリケードが逃げるように仕向けて、私に発見させたのだと思います」 「それでおまえはバンブルビーを引きとめて話を聞き、何故逃げているのかはともかく、その必死の様子から、バリケードに深刻な問題が発生していると思い込まされて、追いかけたわけか」 「は、はい。それで、その、くだらないとか、馬鹿じゃないかと言われ、ついカッとなってしまい、殴ったりしたわけではないのですが、肩を掴んだら……」 バリケードが拳で反撃してきた、というところだろう。そしてスタースクリームもつい、同じように応戦し、ああなった。目に浮かぶようである。
「困った奴だ」 「申し訳ございません」 「おまえのことではない。バリケードだ」 「いえ、私がよく確認もせず……」 「スタースクリーム」 言い募る部下を、メガトロンはやんわりと、しかし断固として遮った。 「責任や原因は、誰かがむやみに背負えばいいというものではない。この場合は特に」 メガトロンにとっては自明なことだったが、スタースクリームにはよく分からないらしい。彼はどういう意味かと視線で問いかけてきた。 「責任があれば、説明する必要もある。説明しなければならないとしたら、考えざるをえないだろう。おまえが自分を心配して駆け付けてくれたのに、なぜそれを拒絶し嘲るような態度をとったのか。おまえに心配されたとき、どう感じ、なにを思ったのか。振り返ることで、探しものが見つかるかもしれん」 「探しもの、ですか」 「ああ。今はバリケードは、その探しものが見つからないから、荒れているんだ。だがきっと見つかる。少し時間はかかるだろうが」 「はあ……」 スタースクリームは要領を得ない返事をした。
バリケードの苛立ちは、彼の「生まれ」に起因している。メガトロンはそう見ている。 彼はアドバンサー、すなわち、目的特化型のオートボットとして生まれている。生まれた理由は、「戦闘」だ。戦う力を、敵を排する力を求められ、与えられ、生を受けた。そのために、他の者に比べても圧倒的に高い戦闘能力を持っている。反面、戦闘に必要とされない能力は、極端に低い。 その彼にとって、戦いの存在しない環境というのは、すべきことができず、苦手なことばかり求められる、非常に苦痛の大きな場所なのだ。 だが、自分たちの生きる道は、生まれた理由だけで決まるものではないはずだとメガトロンは思っている。 生まれは変えられない。スパークの定めもまた、変えがたいものかもしれない。だがだとしても、原初のプライムの一人が我欲に堕ちて母星を襲ったように、生まれ持った姿とは別のなにかになることもあるのだ。 ならばバリケードも、戦う以外の存在意義を見つけられるはずである。 そしてメガトロンには、その場所としてこの地球は非常に適しているように思えてならなかった。
「心配するな。なにかあれば私が止める。おまえは少し気にかけてやってくれるだけでいい。あれもあれで、たぶんつらい思いをしているはずだ」 スタースクリームならばそれができるだろう。彼は時々感情的になるものの、基本的には思慮深く、相手を思いやる気持ちも強い。だからこそバリケードを冷たくあしらったり、無視すると決めたりできずに、衝突しているのだ。 だから、バリケードを監督する役目を与えるなら、スタースクリームが適任である。ブラックアウトも悪くはない。しかし彼は優しすぎるがゆえに、相手のなにもかもをそのままにして、受け入れようとしてしまう。今のバリケードに必要なのは、その優しさではないだろう。 スタースクリームは神妙に頷く。 「分かりました。できるだけ、メガトロン様のお手を煩わせずに済むよう、努力します」 そんなふうに固く考えたときにかぎって、スタースクリームは失敗しやすい。これでは明日にでもまた喧嘩しそうだと、メガトロンは気付かれないように苦笑した。
「馬鹿者」 オプティマスの拳が、ジャズ、それからバンブルビーの頭に炸裂した。それほど強くはないが、派手な音が倉庫に響く。 ラチェットはアイアンハイドと顔を見合わせ、やれやれと首を振った。まったくこの若者たちは、突拍子もないことを思いつくし、実行するものだ。 「でもたぶん、うまくいったと思いますけどね」 頭をさすりながら、ジャズがささやかな反論を試みる。だがオプティマスは、 「一つの物事を解決するのに、他の問題を引き起こしていい理由はない」 議論の余地はないと言いたげに、ぴしゃりとやり込めた。 「ス……ミマセ、ン……」 こういうときは、無理をしてでも自分の声と言葉で謝るべきだと思うのだろう。ノイズ混じりの不明瞭な声で言いながら、バンブルビーが頭を下げる。これくらいの発声ならば、損傷した声帯にも大した負荷はかかるまい。
オプティマスは腕を組んだ姿勢でもうしばらく二人をじっと見下ろして、やがて溜め息とともに腕組みをといた。 「それにしても」 お説教タイムは終わりと判断し、アイアンハイドが横から呟く。 「この作戦には、バリケードを全力疾走させる必要があったわけだろう? バンブルビー、どうやって奴を走らせたんだ?」 『………………秘密……』 沈黙の後、どこから拾ってきたのか、短い言葉が一つ。そう言われるとなおのこと、罰として聞きだしたくなるではないか。 「ジャズ。おまえの入れ知恵だよな?」 アイアンハイドが矛先をジャズに向けた。ジャズは飄々と、 「どうしよっかなぁ。教えよっかなぁ。やめよっかなぁ」 などと言う。バンブルビーも急におどけて、有名なクイズ番組のシンキングタイムミュージックを流した。 「こいつら!」 半ば冗談、半ば本気でアイアンハイドが二人を捕まえようとすると、その腕をかいくぐって二人は同時にビークルモードに変形し、先を争うように倉庫から飛び出した。その後をアイアンハイドもまた、ピックアップトラックに変形して追いかけていく。 倉庫にオプティマスの笑い声が響いた。
「まったく」 ラチェットが嘆息すると、オプティマスの手が肩に乗った。 「なにが起こるにせよ、取り返しがつかないのでないかぎり、なんとかするのが我々の役目だ」 「無分別は、若さの特権とは思いたくありませんな」 「いいじゃないか。甘えさせてやろう」 そうやって甘やかすから、悪戯放題の我が儘に育ったんだと思ったラチェットだが、今更言っても仕方がない。 「いいでしょう。今回は大目に見るとします」 「そうしてくれ。さて、そろそろ休憩は終わりだな。行こうか」 「そうですね。監督に叱られに行きましょうか」 「……ラチェット。意地が悪いぞ」 「確実に予想される事実を指摘しただけで、意地が悪いと言われても困りますよ」 ラチェットは一足先に倉庫を出た。
(そうだ。悪くはない) 他愛のない悪戯に怒ったり、笑ったりするなど、この数千年できなかったことだ。 ラチェットは、今地球にいる中ではメガトロンに次ぐ年長で、豊かで平和な時代も、それからの戦乱も、混乱もよく知っているし鮮明に覚えている。 ジャズとバンブルビーが生まれたのは、フォールンの襲撃の後。オプティマスが唯一のプライムとなり、更にその後、軍部がクーデターを起こし支配体制が変わった後だ。 ジャズもバンブルビーも、プライムの従者候補として、子供の状態で生まれてきた。彼等を育てたのは、オプティマスと自分たちだ。気ままに、やんちゃに遊びまわり、様々なことを学んでいく、今よりももっと小さかった頃の姿を覚えている。 平和な時代。偉大なるプライムの全盛期には及ばずとも、実権を握った軍部、すなわちメガトロンたちは、名ばかりの存在に堕落した評議員たちよりも、はるかに誠実に努力をしたし、貢献もした。 だが彼等はそれから一万年もしない内に、外宇宙からの侵略という危機の時代を迎えた。それからは、絶え間ない戦争の時代だ。 そして、明日も無事に過ごせるかどうかすら定かではない、宇宙を彷徨う時代へ。
ようやく平和が戻ってきた。 たった数年のことだが、今は間違いなく平和だ。 まだ半分は子供と言えそうなくらい若い二人が、死の恐怖に怯えたり、見捨てたくはない者を見捨てて去らなければならなかったりする。そんな悲しい、苦しい思いは、今はもうしなくてもいい。 それはオプティマスも同じことである。たった一人のプライムとして星のなにもかもを背負う。少なくとも今、この地球では、その必要はない。 いつまでもこの星にいることはできず、やがて再び宇宙への旅に出なければならないことは、ラチェットにはよく分かっている。だからいつまでも、甘えた気持ちでいるわけにはいかない。 だがだからこそ今しばらくは、プライムらしくあれだの、くだらない真似はするなだの、言うのはやめよう。 死の影に怯えなくていい時間は、医師として生まれた自分にとっても、幸福で平穏なひとときなのだ。 「なんだ、ラチェット、先に行ったんじゃなかったのか」 「なぜ私が先に行き、監督の怒りの第一声を聞かなければならないのです? 先に行くのは、貴方ですよ」 「ラチェット……」 「さ、行ってください」 疲れた様子で歩き出すオプティマスの後について、ラチェットは小さく笑った。
(なしくずしに終わる)
2009年に書いた「最初の実写映画パロディ」を、2011.8.17、その後に書いた話の設定を踏まえて、大幅に改稿しました。 しかし、、「なにが言いたいんだと言われても、脳内に生まれた設定をとにかく叩き出してみただけだというのと、妄想したキャラクター性を文章にし、彼等を動かしてみたかっただけで……! あと、ほんの少しでも彼等が、撮影現場にいるような、そんな感覚を持てる部分があったらいいなぁと思ってるくらいです」という、最初に書いたあとがきの気持ちは、そのまんま(笑
なお、バリケードが何故逃げたのかは、ヒ・ミ・ツ、です。 アニメ版のファンのかたも、映画版のファンのかたも、それぞれに「自分の思う彼等」はあると思いますし、それは私の書いたものとは違うと思います。 それでもいくらかは、楽しんでいただけたでしょうか。 |