魔夜峰央タロット

パッケージデザイン【デッキ概要】

ウェイト版準拠 ☆☆☆☆☆
8、11

正義、力

汎用性 ☆☆☆☆☆
サイズ 12cm x 7cm
紙質 普通

 たぶん今40代くらいのタロットファンであれば、こんなデッキがあったことを知っている人も少なくなかったと思います。復刻を熱心に望んだのも、おそらくそれくらいの年代のファン……タロットおよび魔夜峰央さんのファンではなかったかと。
 そして、出版社側にもそれを切望する人がいて、魔夜さんも乗り気になってくださったおかげで、ついに復刻が叶ったのがこのデッキ。
 しかし以前に出版されたものは、ガイドブックがセットになった、書店でよく見かけるケース入りだったはずで……。というのも実は私自身が、それを見たことがあり、入手機会もあったからです。それは後の余談ででも。
 タロットカードとして見た場合、魔夜さんの独特の和風要素が強く加わり、また魔夜さんならではの美少年要素も強いため、誰でも使える、すぐ使えるというものではないように思います。やはり根本的には、魔夜峰央という日本にも世界にも2人といない、独自の絵柄と世界観を持った稀有な漫画家の世界を楽しむものではないでしょうか。
 紙質は普通。やや厚めに感じます。ただ、コーティングは甘いので、傷はつきやすそうな感じ。サイズはちょっと大きめのはずなのですが、持ってみると意外にそれを感じません。


大アルカナ・裏面 小アルカナ

【カード紹介】

 画像では決して表現できないのが、出版社のかたもこだわり抜いたという、このデッキのゴールドです。茶色く見える部分はすべてゴールド。このゴールドを再現するために苦労したことは、発売前後の頃にコラムとしてネットで見かけました。
 西洋的な美少年、美青年、美女とともに、日本の妖怪、落語といったものにも造詣の深い、そして魔夜さんならではの描線、描画よるタロットの世界。あまり、デッキとしてどうのとか、解釈がどうのって形で解説したくない感じですね。
 スタンダードなウェイト版やマルセイユ版、あるいはトート版の知識やイメージを前提とするかぎりには、そのままでは使えないのもその理由も一つです。


魔夜節全開

【その他のカード】

 戦車、吊るされた男、ソードのペイジ、カップのクイーンです。
 戦車は兜を身につけた武者が竜に乗る姿。戦「車」というものはないし、それを引く二頭の動物や幻獣といったものもないので、無理に伝統的なデッキの解釈に当てはめるのもどうかという感じ。これはこれで、見た目の印象から素直に読んだほうが面白い気がします。
 吊るされた男はまあほら、魔夜峰央さんといったら、美少年の裸体の一つや二つや三つや四つ、出してなんぼというより、出さなきゃダメかなって。
 そんなわけで、きっちり着物を身につけてはおりますが、ペイジ……前髪のお小姓も出しておくべきだろうと。……なんかデッキの紹介としてはどうなんだって選抜基準ですが気にしません。各スートのペイジはまさにどれもお小姓です。
 美しいのは少年、青年だけでなく女性もそうなので、クイーンも一枚。鶴が舞い飛ぶ空を背に、そっと両手にハートを支える長い黒髪の美女……良いですな。

 このデッキは、2枚めの愚者の一部分と、ハート、ダイヤのマークが赤いのを除けば、すべて白・黒・金だけで描かれています。その三色の配分、バランスもまた、素人ではこうも落ち着きよくならないだろうというプロの技。色の再現にこだわったのも、おかしなゴールドではどぎつくなったり死んでしまったりするからかもなぁなんて考えてみたりもするのでした。


 【烏のザレゴト】 ★☆☆☆☆

 小〜高校生ときに一番仲の良かった女の子が、何故かこの古いバージョン、ガイドブックつきのセットを持っていました。その子はタロットなんかやらないのに、何故持っていたのかは謎です。特に魔夜さんのファンってこともなかったし。
 私がぼちぼち人を占って楽しみはじめた頃に、その子が「うちにあるのあげようか?」と言って見せてくれたのが、それでした。
 そして私はその当時から「パタリロ!」など魔夜さんの作品には触れていましたし、好きだったにも関わらず(最初マライヒを女だと思ってたけどな!)、何故かガイドブックだけもらってデッキは断り、しかもそのガイドブックも、数年ほどして処分してしまったのです。
 今にして思えばなんとモッタイナイことをしたのかと!! まるっともらって残してあれば、コレクターズ価格でげふんげふん。いえ、たぶんそうだったら、勿体無くて手元にずっと置いてた気がします。
 ガイドブックだけもらったのは、やはりパラパラ見てみたときに分かりやすいとか、なにかピンと来ることが書いてあったためだと思います。
 この新しいカードのみのものにも小冊子の解説書はついていますが、ごくシンプルなキーワード4つ程度のものにとどまります。どうせならガイドブックも含めて復刻してほしかったと思うのは、贅沢でしょうか。