TAROT DE MARSEILLE 〜 PIERRE MADNIE 1709 〜

パッケージデザイン【デッキ概要】

8、11 正義、力
汎用性 ★★☆☆☆
サイズ 12.3cm x 6.6cm
紙質 良い

 限定3000個で作られた完全復刻版だそうです。
 ピエール・マドニエ版というのは、マルセイユ版のデッキを時代で分類したとき、Type1と2のちょうど境目にくるものらしく、歴史的に非常に価値があるといわれています。Type2の最も古いものがこれ、なのかな。
 なんにせよ、復刻に際しては当時のデッキを可能な限りそのまま再現するというコンセプトで、コーティングされた丈夫な箱の中には、紙包みのカードがおさめられています。
 また、パッケージの奇術師を見ていただくと分かりますが、「線画を印刷した後、重ねて置いておいたら上(下)の紙の線が写った」ところまで再現されているみたいです。右肩の上にあるぼんやりした線がそう。
 カードサイズは普通で、紙質までは当時のものを真似しなかったのか(笑)滑りの良い、きちんとコーティングされたものになっています。
 限定版ということで、手に入る先がだいぶ限られてきているようです。国内のメジャーな通販サイトでは、「カードの履歴」さんか「魔術堂」さんでどうぞ。ペンタクルにも置いてありますが、何故かここだけ3000円くらい高い……。
 ちなみにこちらは公式サイトです。ここから購入することもできます。


大アルカナ・裏面 小アルカナ

【カード紹介】

 裏面は四角と丸を組み合わせたようなシンプルなデザインです。
 このデッキでは、青のかすれが非常に印象的です。ソードのナイトがこの中だと一番よく分かるでしょうか。
 奇術師のベストは画像では色が潰れてしまっていますが、きちんと赤と青。袖は緑になっています。
 当時のデッキの再現ということで、ステンシル彩色による色のはみ出しや、隣の色への重なりなんかもそのまま再現したのでしょうねぇ。


クラシック、だけどどこか現代的【その他のカード】

 いつもどおり愚者、恋人、月、ソードの7です。
 描線自体はけっこうしっかりしていて、ここがぼやけているようなことはありません。復刻のコンセプトが「当時のものを再現する」であって、「現代に残っているカード」の再現ではないからかと思います。
 色の中では赤も目立ちます。他の色に比べてマットにベタっと塗られて見えるのがこの色。緑は、画像では分かりづらいと思いますが、下の線が見える程度には透明度があります。
 現代的に復刻したときに水色で表現されるところを、かすれたブルーで描いているのかな。ブルージーンズみたいな感じの色合いで、ものすごく好きな感じ〜。

 ちなみにType2というのは、天使が目隠しをしておらず、頭髪がある。月の顔が正面ではなく横向きになっている、といった特徴を持つデッキのことです。
 これより以前のドダル版では、天使はパゲて目隠しをしていますし、月は正面顔です。
 とすると、ピアトニック社から発売されているものは、この過渡期にあるもの、ということなのでしょうか? 


【烏のザレゴト】 ★★★☆☆

 私好みです。かなり気に入ったデッキです。
 そして、完全復刻版ということで、なにやらおごそかな気持ちで開封してしまいました。紙包みとか、だっておしゃれだし、傷んだら勿体無いもーん。
 版木の職人芸と、印刷による大量生産、その両方を味わえる、当時の雰囲気が分かるようなデッキです。いや、そんなの私の勝手な思い込みかもしれませんけれど、精緻さと、行き届かない雑把さ(はみ出しとか)がどっちも感じられる気がするのです。版画による黒い部分も、現代印刷ではないし、さりとて「現存しているカードの風合い」でもない、まさに「印刷したらこんな感じ」な感じだなぁと。