TAROT DE MARSEILLE (NICOLAS CONVER)

パッケージデザイン【デッキ概要】

8、11 正義、力
汎用性 ★★★☆☆
サイズ 11.3cm x 6.1cm
紙質 良い

 ヘロン社から出ているニコラ・コンヴェル版です。オリジン(1760年制作)に近い描画のものですが、色合いは全体的にソフトになっています。
 全体的に明るく柔らかい色調で、特に私には、明るい水色が印象的。それと同時に、非常にマットに塗りつぶされてしまっている濃いグリーンもまた目につきます。この緑と、肌色がピンクからベージュ寄りになったのがこの版の特徴だそうです。
 こういう「古い絵」は、あまり合わないかなぁと思っていましたが、やはり一つくらいはちゃんと手元に取り寄せて、ナマで見てみたい。そんな思いから、ご縁を得たかたから購入しました。そうして実際に見てみたら、かなりのお気に入りになりました。柔らかく目に優しい風合いです。
 愛用者・愛好者の多い、非常にメジャーなデッキです。実用に向いたサイズ、紙質で、クラシカルな絵のものが良いのであれば非常に魅力的。ですが、線の掠れや色のはみ出しなどを、味と受け取れるかどうかがあるので、けっこう好みに左右されそうです。
 カードサイズはやや小ぶりで、紙質も良く、非常に使いやすいと思います。


大アルカナ・裏面 小アルカナ

【カード紹介】

 裏面は淡めの茶色。カラーチャートの色でいくと、ゴールデンロッドと言うのが近いでしょうか。模様から縁までの幅が広いのが新鮮★
 本来黒であったろう部分は、焦げ茶色にかすれています。それが顕著なのが死神の地面。真っ黒なものに比べると、茶色でなんだか威圧感がなく、柔らかい感じ。
 緑はかなり濃く(奇術師のハットのツバの上、袖、タイツ、ワンドなど)、他の色に比べて下の描線を完全に消してしまっていますね。もともとのオリジンではもう少し薄い色だったのかな。
 相変わらずこまかいことが気になるのですが、小アルカナのローマ数字。例によってペンタクルにはついていません。そしてカップ……ここに出しているのが「X」なので見た目で分かりませんけど、ソードとワンドはカードの内側を下にして書かれているのに(下のソードの7参照)、カップはカードの外側が下になっています。何故?
 あと、このデッキ、カードの下部に小さくハンコみたいなのが押してあります。博物館とかの収蔵印? それとも落款みたいなもの? ともあれ、おかげで上下が分かる……T▽T  数字振られたりするより、絵の中に馴染んでいて目障りでもないし、とても嬉しいv


目に優しい色合い【他のカード】

 愚者、恋人、月、ソードの7です。
 透明感のないマットな緑が目立つ感じです。全体の色の中では自己主張が強いですね。一方で水色は淡く透明な感じ。
 黒が強烈にならないので、ソードのカードもソフトです。きっぱりした色もいいけど、このかすれた風合いもいいですね。
 おそらくですが、オリジンの線画をもとにしてはいるものの、色彩などはアレンジの入ったリカラード版。線画もすっきりしているように思います。
 トータルで見ると、色みも含めてほんわりした優しい表情の人物が多いように思いました。


【烏のザレゴト】 ★★★☆☆

 デッキを収集していて分かりましたが、私には、ある程度数、すなわち経験をこなさないと感じられない味があります。マルセイユ版自体、1個持っていたときには「ふーん」だったのが、複数集めてやっと、これはああだ、こっちはこうだと圧倒的に面白くなりました。
 このオールドタイプの絵のデッキは、手に入れてみるまでは「あまり好きじゃないかも……」だったのが、手にとってみたら思いの外いい感じで、何度か使ってみたら「なんかこれラクでええわ〜」という結論に。
 まず、色合いが優しくて目が疲れません。それから、サイズが手頃で扱いやすく、紙質がいいので頻繁に使うことに抵抗がない感じ。このあたりの実用性も大事なんです、はい。
 あと、当たる・当たらないは私の場合気にしないというか、自分にそんな力があると信じることができないのですが、このデッキで占っていると、質問に対して読みにくいカードがあまり出てこないような感じ。偶然か、気のせいなのか、そのあたりはなんとも言えませんけど。
 かなり気に入ったこのデッキの、私的なマイナスポイントはべったりした緑でした。