先に書いた「決まり事」についてです。
【78枚】 まず、タロットは「大アルカナ」と呼ばれる22枚のカードと、「小アルカナ」と呼ばれる56枚のカード、合計78枚で成り立っています。 デッキ(一組のカードセットのこと)によっては、特別なカードが追加されて枚数が多いこともありますが、基本は78枚です。
【大アルカナ】 大アルカナと小アルカナ、より重要なのは大アルカナのほうです。そのため、国産の入門者向けのセットでは、ガイドブックと一緒にあるのは、大アルカナ22枚だけのことが多いですね。 大アルカナにはそれぞれ、「魔術師」「悪魔」「太陽」といった名前がつけられています。 そしてそれらのカードが表すのは、ずいぶん大きなこと。漠然としたこと。 「生み出す力」「厳然たる秩序」「内省的な探求」……ちょっと小難しい言葉を使うと、こんな感じ。もう少し馴染みのある言い方にすると、「母親のようなもの」「父親や社長のような存在」「引きこもりの賢人」という感じでしょうか。それぞれ、「女帝」「皇帝」「隠者」と呼ばれるカードの大まかなイメージです。 そして、大アルカナに描かれているもの、そのテーマは決まっています。これもタロットの決め事の一つで、どんな絵でも好きなように22枚あればいい、というわけではないのです。
【小アルカナ】 なんだか特別な感じのある大アルカナに対して、小アルカナはトランプにとてもよく似ています。 まず、マークが4種類。このマークのことは、カード世界(タロットでもトランプでも)の専門用語では「スート」といいます。つまり4つのスートがあるのです。 それから、それぞれのスートごとに、カードは14枚ずつあります。 数札10枚+人物札4枚の組みわせです。 4つのスートそれぞれに14枚ずつ、14×4=56枚というわけです。
【小アルカナ:スート】 トランプだとスペードとかダイヤになっているスート。 タロットでは、一般的には棒・剣・杯・金貨が使われています。 ただ、この呼び方は英語だけでもいくつかあったりしますし、国によっても様々。更に、デザイン優先のデッキになると、全然違う絵をあしらっているものもあります。 英語の場合で代表的なのをざっと挙げておくと、棒はワンド・バトン・ステイヴ・ロッドなど。金貨はコイン・ディスク・ペンタクルといったあたりが一般的です。剣はソードの他、ダガー、ナイフといった名称になっていることもあります。カップは……英語の中ではあまりバリエーションがなく、それほど目立つ別の呼び方はないような。
【小アルカナ:数札】 エース(1)から10までの数字が割り振られたカード。 これらはタロットの専門用語だと、「ヌーメラル・カード」とか「ピップ・カード」と呼ばれたりします。 しかしこれらの呼び方は、タロットに馴染みのない人にはまるで耳慣れない言葉ではないでしょうか。なので私はだいたい「数札」という言い方をしています。 でも学習用の参考書を読もうとすると、まずどちらかは出てきます。
【小アルカナ:人物札】 トランプだと、キング・クイーン・ジャックの3人が描かれている人物の札。タロットでは、4人になります。 描かれているのは、王・王妃・騎士・小姓。 中世ヨーロッパの宮廷の人々です。なのでこの人物札は、宮廷のカードという意味で「コート・カード」と呼ばれます。こっちの呼び方は覚えておかないと、ヌーメラルカードなんて単語よりもよく出てきますよ。 キング・クイーン・ナイトあたりは呼び方がだいたい固定されていますが、小姓については、ペイジと呼ぶデッキと、ネイヴと呼ぶデッキがありますね。 また、トートのタロットにおいては、ナイト・クイーン・プリンス・プリンセスと名付けられています。でも4人なのは一緒です。 |