タロットとはなんぞや?

 このページでは、「タロット」と呼ばれるものの、ごく基本的なことについて説明します。
 とはいえ、だいたいどんな入門書にも書かれていることです。とりとめもない私の解説なぞより、きちんとした本をご覧になってください(笑
 でも一応タロットのコーナーとして、当たり前のことくらいは書いておくか、というのがこのページです。

 まずは、「タロットってなんなの?」というところから。

 ものすごく大雑把に言えば、「占いカード」です。
 ただ、占い用のカードとしては、「オラクルカード」と呼ばれるものもあります。
 オラクルカードとタロットカード、どう違うのか?
 私の感覚だと、タロットもオラクルカードの一種です。ただ、タロットカードにはいくらかの決まり事があって、その決まり事がある程度守られていないと、タロットとは呼べないと思います。
 また、タロットと呼ばれるカードには、15世紀のヨーロッパに遡る歴史があります
 この2つが、タロットカードかオラクルカードかを分けると言えるでしょう。

 また、オラクルカードは占いのため、スピリチュアルなガイダンスのためのカードですが、タロットカードは占いのためだけでなく、魔術的な背景を持つものもあります
 このあたりはタロットの歴史のほうで触れていますので、ここでは省略しておきます。

タロットの基本的な構成

 先に書いた「決まり事」についてです。

【78枚】
 まず、タロットは「大アルカナ」と呼ばれる22枚のカードと、「小アルカナ」と呼ばれる56枚のカード、合計78枚で成り立っています。
 デッキ(一組のカードセットのこと)によっては、特別なカードが追加されて枚数が多いこともありますが、基本は78枚です。

【大アルカナ】
 大アルカナと小アルカナ、より重要なのは大アルカナのほうです。そのため、国産の入門者向けのセットでは、ガイドブックと一緒にあるのは、大アルカナ22枚だけのことが多いですね。
 大アルカナにはそれぞれ、「魔術師」「悪魔」「太陽」といった名前がつけられています。
 そしてそれらのカードが表すのは、ずいぶん大きなこと。漠然としたこと。
 「生み出す力」「厳然たる秩序」「内省的な探求」……ちょっと小難しい言葉を使うと、こんな感じ。もう少し馴染みのある言い方にすると、「母親のようなもの」「父親や社長のような存在」「引きこもりの賢人」という感じでしょうか。それぞれ、「女帝」「皇帝」「隠者」と呼ばれるカードの大まかなイメージです。
 そして、大アルカナに描かれているもの、そのテーマは決まっています。これもタロットの決め事の一つで、どんな絵でも好きなように22枚あればいい、というわけではないのです。

【小アルカナ】
 なんだか特別な感じのある大アルカナに対して、小アルカナはトランプにとてもよく似ています
 まず、マークが4種類。このマークのことは、カード世界(タロットでもトランプでも)の専門用語では「スート」といいます。つまり4つのスートがあるのです。
 それから、それぞれのスートごとに、カードは14枚ずつあります。
 数札10枚+人物札4枚の組みわせです。
 4つのスートそれぞれに14枚ずつ、14×4=56枚というわけです。

【小アルカナ:スート】
 トランプだとスペードとかダイヤになっているスート。
 タロットでは、一般的には棒・剣・杯・金貨が使われています。
 ただ、この呼び方は英語だけでもいくつかあったりしますし、国によっても様々。更に、デザイン優先のデッキになると、全然違う絵をあしらっているものもあります。
 英語の場合で代表的なのをざっと挙げておくと、棒はワンド・バトン・ステイヴ・ロッドなど。金貨はコイン・ディスク・ペンタクルといったあたりが一般的です。剣はソードの他、ダガー、ナイフといった名称になっていることもあります。カップは……英語の中ではあまりバリエーションがなく、それほど目立つ別の呼び方はないような。

【小アルカナ:数札】
 エース(1)から10までの数字が割り振られたカード。
 これらはタロットの専門用語だと、「ヌーメラル・カード」とか「ピップ・カード」と呼ばれたりします。
 しかしこれらの呼び方は、タロットに馴染みのない人にはまるで耳慣れない言葉ではないでしょうか。なので私はだいたい「数札」という言い方をしています。
 でも学習用の参考書を読もうとすると、まずどちらかは出てきます。

【小アルカナ:人物札】
 トランプだと、キング・クイーン・ジャックの3人が描かれている人物の札。タロットでは、4人になります。
 描かれているのは、王・王妃・騎士・小姓
 中世ヨーロッパの宮廷の人々です。なのでこの人物札は、宮廷のカードという意味で「コート・カード」と呼ばれます。こっちの呼び方は覚えておかないと、ヌーメラルカードなんて単語よりもよく出てきますよ。
 キング・クイーン・ナイトあたりは呼び方がだいたい固定されていますが、小姓については、ペイジと呼ぶデッキと、ネイヴと呼ぶデッキがありますね。
 また、トートのタロットにおいては、ナイト・クイーン・プリンス・プリンセスと名付けられています。でも4人なのは一緒です。

よく出てくる専門用語

 タロットをやろうとすると、いくつかの専門用語を覚えることになります。

 まず、カードを混ぜることを、日本ではだいたい「シャッフル」と呼びます。テーブルの上にカードを裏返しに置いて、ぐるぐると撫でるようにかき混ぜるやり方です。こうすることでカードはバラバラになり、上下も入り交じることになります。
 ちなみにこの混ぜ方、海外では「ステア」と呼ぶこともありますね。その場合「シャッフル」とは、トランプをきるみたいな混ぜ方(片手にまとめて持って、逆の手でそこから少し抜き出して上に重ねる、これを繰り返すやり方)をさしていることが多いようです。
 シャッフルもステアも、日本語なら「混ぜる」という意味ですね。

 それから「カット」。これは、シャッフルし終わって一つにまとめたカードを、2〜3つに分けて、また1つに戻すことをさします。
 だいたいの場合3つに分けます。そして最初と順番が同じにならないように、また1つに戻します。
 これを日本語になおすこともないような気もしますけど、訳するなら「切り分ける」でしょう。

 そして、タロットを決まった形に並べていくこと、その並べた形を「スプレッド」と言います。「展開する」「展開」という意味になります。

 さて。
 シャッフルをすると、ぐるぐるかき混ぜられたカードは上下もばらばらになります。
 タロット占いでは、めくったカードがきちんとした向きか、それとも逆さまか、これによって、同じカードでも意味が変わることもあります。
 "こともあります"というか……「どっちで出たかで、意味を変えて読む」と決めている人もいる、という感じかな。
 それについてはまた後で説明するとして、きちんとした向きのことを「正位置」、逆さまのカードのことを「逆位置」と呼びます。

 そして、出てきたカードがどんなことを意味し、示しているのか、読み取ることを「リーディング」といいます。

正位置と逆位置

正位置 逆位置
 左にある2枚の画像、左側が「正位置」で、右側が「逆位置」です。

 カードをシャッフルすると上下がぐるぐる入れ替わって、めくったときにこんなふうに、まっすぐに出てきたり逆さまに出てきたりします。
 この、逆さまに出たカード、つまり「逆位置」で出た場合、占う人によっては、「正位置」のときとは違う意味をとることがあります。
 どんな意味になるかは、たくさんあるいろんなガイドブック、入門書を見ればすぐに分かります。たいがいは、正位置とは逆の意味になったり、あるいは、正位置のようにはうまくいかない、中途半端な感じの意味だったりしますね。

 それよりちょっと覚えておいてほしいのは、「逆位置」を使わない占い師さんもいることです。
 逆位置を使うか使わないかは、人それぞれです。どっちが正しいとは、私は考えていません。占う人が、自分が本当に納得のいくように、逆位置を使う・使わないを決めればいいと思っています。

占い以外にも使われるタロット

 最後に、タロットの使い道についてです。

 タロットカードは占いに使えるカードです。たぶん、初心者さんは「占いのためのカード」だと思っているのではないでしょうか。
 でも実は、そうとは限らなかったりします。
 詳しいことは私なぞが語るより、そこまで興味を持たれたのであれば、ぜひ専門書をご覧ください。
 ここでは、占いに使うだけじゃないよということにだけ、触れておきます。

 カードの絵を使って瞑想したり。
 出てきたカードから自分を振り返って反省したり、なにか気づきを得たり。
 カードの絵に込めれた意味を読み解き、魔術的なイニシエーションに使ったり。
 心理学的なアプローチで、自分の心の、自分でも気付かない部分を探っていったり。

 いろんな使われ方をしています。
 最初は占いのために手に入れたとしても、惹かれるままに長く使っていると、占い以外の面白さを発見することも、きっとあるでしょう。