むかしむかし、ふかい森のおくに、ちいさな家がいっけん、ありました。 そこには、ひとくみの夫婦と、ひとりのおとこのこがすんでいました。 少年は、いつも真っ赤なずきんをかぶっていたので、赤ずきんと呼ばれていました。 はでで悪趣味な金のふちどりいりのずきんだったので、くちのわるい町のこどもたちがそれをからかうこともありました。するといつも赤ずきんは、もんどうむようでたたき斬るか、とくいの洗脳術でいいなりにしてしまうのでした。
そんな平和なあるひのことです。 「雹や、雹や、赤ずきんや。このパンとワインを、東の森のおばあさんにとどけておくれでないかい」 おかあさんが、赤ずきんこと「雹」に、やきたてのパンと、年代物のワインの入ったかごをさしだしました。 「己でいけ」 にべもない雹のこたえに、おかあさんは隻眼をほそめ 「無双突き!」 不意をうたれた雹は、かごごと、表にまで突き飛ばされてしまったのです。
しかたなく、雹はいわれたとおり、おばあさんのところへとどけものをすることになりました。 しぶしぶと森の小道をあるいていると、木立のすきまから、きれいなおはなばたけがみえました。 「ふん。みやげの一つでもくれてやるか」 ずいぶんとふゆかいそうに、雹はいいました。 しかし、じつは、「おばあさん」にあいにいくのが、ほんとうはたのしみでならないのです。 「おばあさん」というのは「赤ずきん」とおなじような、ただの呼び名です。ほんとうは、雹の双子の弟なのでした。なぜ「おばあさん」なのかは、かみさまもごぞんじありません。
雹は、きれいなお花をたくさんつみました。 するとそこへ、いっぴきの金色のおおかみがやってきました。 「おじょうさん、ボクとお茶でもしませんか?」 いいながら、おおかみはまっかなバラの花束をさしだします。 「何年前のナンパのてぐちだ。時代おくれの犬が」 雹は花束をたたきおとしました。 おおかみはそれでもこりずに 「花をつんでいるのかい? だったら、もっとおくにいけば、もっときれいなおはなばたけがあるぜ」 ひたすらモーションをかけまくります。 おおかみのことはどうでもよかったのですが、もっときれいな花、にはこころをうごかされ、雹は、ロイと名乗ったおおかみのあとについていきました。
案内されたところは、ほんとうにきれいなおはなばたけでした。 雹は、このみのうるさい「おばあさん」こと恭介のために、いろどりをかんがえ、丈のバランスをかんがえ、花えらびに余念がありません。 夢中になっている背中をながめながら、ロイはかんがえました。 (このぶんじゃ、ボクがむりやりせまったら、あの刀できりころされてしまいそうだな。よし。だったら、さきまわりして、ばあさんのいえでまちぶせするか) そうして、こっそりとロイはぬけみちをたどり、いちはやく恭介の家にたどりついたのでした。
ここからが大事なところです。 ロイは慎重に家のまわりをうかがい、裏口のドアをみつけると、そこからはいることにしました。 「はあぁぁぁ、クロス、カッター!」 こっそりと中にはいったとたん、なにかがロイへとなげられました。 「うおっ!?」 あわてて床にころがり、それをかわすと、ロイのまえには、恭介がにおうだちしていたのです。
それから、せまい家のなかでとんでもない乱闘がくりひろげられたのですが、そんなことは、雹のしるところではありません。 雹はたっぷりと時間をかけて、満足のいく花束をつくりあげました。 これならきっと恭介もよろこんでくれるだろうと、すこしうきうきしてあるきはじめました。 かよいなれた道をたどり、恭介の家にたどりつくと、雹はすこしかおを赤くして、三回、ノックをしました。 しかし、返事がありません。 「恭介? いないのか?」 ドアのノブはかるくまわります。 鍵をかけわすれる、というまけなことは、しない恭介です。 なんなんだろうとおもって、雹は家のなかにはいってみました。
恭介はいつもどおり、部屋にいましたが、ベッドのなかにうもれています。 「どうした。具合でもわるのいか?」 これでは今日はおあずけかな、とおもっていると、 「ああ、すこしね」 返事がありました。 「声が……?」 「ごほっ、ごほっ。その、かぜをひいて」 「? いつもより、からだがおおきいような……?」 顔も体もみえませんが、シーツのもりあがりかたが、いつもよりおおきいような気がします。 「厚着しているからな」 「ん? 髪、脱色でもしたのか?」 「ああ。ちょっと」
どうも、今日の恭介はへんです。 「恭介?」 ちかづいて、雹はごういんに、恭介のからだをあおむけにさせました。 恭介はあわててシーツをひきあげて、顔をかくしてしまいましたが……。 りっぱなものが、ぴょこんとシーツをもちあげています。 「……かぜをひいても、やる気だけはじゅうぶんなんだな」 苦笑して、雹はそれを、シーツのうえからつかみました。 「うっ」 「……? いつもより、おおきいような……」
雹が首をかしげたときです。 ばさっとシーツがはねあがり、おどろくまもなく、雹はむりやりベッドにひきたおされてしまいました。 そこにいたのは、金色のおおかみでした。 「きさま!」 ちからまかせにおさえつけられると、腕力ではロイにはかてません。 雹がもがいているすきに、ロイは、恭介のおどうぐばこのなかから、丈夫なロープをとりだし、雹をベッドにしばりつけてしまいました。 「さーて、これでゆっくりたのしめる」 ロイはしたなめずりしながら、雹のふくをぬがせていきます。 まもなく下着までとりさられて、雹はうまれたときとおなじかっこうにさせられてしまいました。
「くだらんまねを」 精一杯こわい声をだしてみますが、ロイはにやにやわらいながら、雹のはずかしいところへと手をのばしました。 さわられただけで、雹のそれは、あっけなくかたくなってしまいます。 十日くらいまえに恭介と喧嘩してから、ずっとしてもらっていなかったので、本当は、もうがまんができないのでした。 だから、醍醐おかあさんが「おばあさんの家におつかいにいきなさい」といったとき、本当はとってもうれしかったのです。 ロイはいじわるなかおをして、わざと、きもちいいところをさわろうとせずに、おなかやあしばかりさわります。 雹はずっとがまんしていましたが、それももう限界でした。
「はやく……っ、してくれっ!」 それを聞いて、ロイは「勝った」とばかりにわらい、自分のりっぱなものをとりだしました。 「ぬらさないとつらいからな。ほら」 ロイは雹のくびのあたりにうまのりになり、おおきなそれを、雹のくちにちかづけます。 雹はいっしょうけんめいにそれをくわえようとしましたが、なんということでしょう。雹ががんばって口をあけても、はいらないのです。 こんなもので「される」のかとこわくなるいっぽうで、はやくこれがほしい、とからだがうずいてきます。 「ちゃんとできたら、すぐにいっぱいにしてやるよ」 ロイは背をまるめて、雹のみみもとでささやきました。
「ちょっとまったーっ」 そのときです。 ものすごい音がして、クローゼットのなかから恭介がとびだしてきました。 ぜーぜーと肩でいきをしています。 「す……すごいな。まさかあのザイルを、かみきったのか?」 ロイはひやあせをながしました。 「にいさんに、なんてことするんだーッ!」 恭介はかるくジャンプします。 しかし、幻影ブレイカーはださないままちゃくちし、鼻をおさえました。 恭介だって、ずっとずーっと、がまんしていたのです。 最高のごちそうを、準備万端ととのったじょうたいでみせられたら、たまりません。
「……そうだ。どうせなら、二人でやろう」 ロイは、いかにも名案をひらめいたというような、うれしそうなかおをしました。 「二人がかりなら、あんなこともこんなことも、そーんなことまで、してやれるぞ?」 ロイは森でいちばんかっこよくて、いちばんかしこいおおかみでした。 恭介ではなく、じらされて泣きだしそうになっている、雹にたずねるのです。 「……はやく、してくれ……」 うさぎさんのようなまっかな目になみだをためて、雹はロイと恭介をみました。
恭介が、いやだといえるはずもありません。 そういうわけで、まずはロイが「している」あいだ、恭介がくちでしてもらうことにきまりました。 雹は、いっぱいにみたされてしあわせそうです。 いつもの恭介のよりおおきいロイのものでしたが、雹のおしりはおいしそうにのみこんで、はなそうとしません。 でも、おおきいのはいいけど、やはり双子のせいでしょうか。恭介がしてくれるほうが、きもちいいような気がします。 でも、いまはそれをいうことができません。 口のなかは恭介のものでいっぱいですし、そんなことをいったら、ロイはおこってしまうでしょう。 (たまには、うわきもいいしな) とりあえず、恭介にはあとでいってあげようときめました。 それから、ロイにも。 そのひは夜おそくまで、雹はしあわせいっぱいでした。
そんなわけで、それからの雹はずっとずーっと、しあわせにくらしたということです。 おしまい。
(探さないデクダサイ……) |