THE HERO

「英雄」なんて呼ばないでよ
「世界」のためなんかじゃない
「世界」なんて僕には よく分からないくらいでね

「みんな」のことなんか 知らないよ
だって「みんな」って誰さ?
隣の席のアイツのことは僕 大っ嫌いだったりしてね

それでも僕が戦おうとするのは いたって簡単
実にシンプルな理由だよ

好きな人は 好きだもの
好きな人が泣いてるのは イヤだもの
下校の途中にさ やっと握ること 許してくれるようになった彼女の手
なくしたくはないんだよ

「世界」なんて知らない
「みんな」なんてどうでもいい
僕はただ 僕の好きな人のためなら
頑張ってもいいかと思うだけ
だって 好きな人がいなくなったら 哀しいからね
寂しいからね

悪い奴はやっつけてあげるよ
それは「世界」のためになることだろう
「みんな」のためになるだろう
だけど僕は 正義の味方じゃ ないんだよ

ここだけの話だけど
ママの財布から一万円くすねたこともあるし
自転車パクっちゃったりね
万引きもね うん 一回だけだけどさ 実は
横断歩道がなくても道路は渡るし 信号赤でも気にしない
小学生の頃には 隣のクラスの奴 ひどくからかったこともある
今なら イジメって言われるだろうね
僕は絶対 ヒーローなんかじゃないんだよ

僕はただ おかしな力をもらっちゃっただけの
いいこともするけど 悪いことだってする
ごくふつーの人間なんだ
「世界」も「みんな」も知ったことじゃない
好きな人がいなくなったり 泣いてたりしたらイヤだから
ちょっとここらで一つ 頑張ってみるだけなのさ