淹れる前に

1.ほしい道具

 最低限、カップ。当たり前です。他にあるといいものは、キャディスプーン、ティーポット、クリーマー、ストレーナー、ティーコージーなどなど。……と名前を挙げても「は?」かと思いますので、一応ご説明を。
 キャディスプーンというのは、茶葉をはかる専用のスプ―ンです。一杯3g、これが一人分になります。
 ティーポットは急須と同じようなものと言えばいいのですが、形にはこだわってください。丸っこいもののほうが良いのです。お湯を注いだ時、中で対流が起こりやすい丸いものを使いましょう。
 
クリーマーというのは、ミルクを入れておく入れ物のことです。牛乳パックから直接じゃダメなのかと言われそうですが、別にそれでも悪かありません。ただ、雰囲気が……という以外に、ホットで楽しむならば、せめて牛乳も室温よりやや高めくらいにはしておきたいもの。だから、こうして用意するわけです。
 ストレーナーは茶漉しのこと。
 ティーコージーというのは、ポットにかぶせる保温用の帽子みたいなものです。
 なお、紅茶というものはその色も楽しむもの。特にストレートやアイスで飲むならば、使う器は内側が白地のものや、透明なガラス製がいいでしょう。


2.使う水は水道水

 ミネラルウォーターのほうが良さそう、と思っても、それは大きな間違い。紅茶に向いている水は、空気をたくさん含んだ硬水。ミネラルウォーターは軟水であることがほとんどなので、紅茶には向きません。
 カルキ臭などが気になるのであれば、蓋をせずに3分ほど沸騰させればOK!


3.道具は全てあたためるのが基本

 カップもポットもクリーマーも、使う道具はあたためておくのが基本です。沸かしたお湯をたっぷり注いで、しっかりとあたためておきましょう。
 なんでやねん?
 紅茶の風味と香を守るためです。急激な温度差にあてられると、せっかくの紅茶の美味しさや香が壊れてしまうので、できるだけ前の環境と後の環境を同じにしてあげようというのです。だから、保温するためのティーコージーなんてものもあるのです。


4.茶葉の選び方

 さて、貴方が淹れたいのはストレートティ? レモンティ? それともミルクティ? ホットでしょうか、アイスでしょうか? それぞれに、相応しい茶葉というものがあります。
 まず特殊なものからいくと、ハーブティやフレーバーティ(茶葉に果物の風味をつけたもの)。これらは香などを楽しむためにも、ストレートで飲むのが当然。スパイスなどを加えるとしても、それは元の味や香を壊さずに、更なる調和を求めてのこと。
 後は大きく分けて、ストレートやレモンティにして飲むならば、あっさりとして渋みも少なく癖もないもの
がおすすめ。特に名前のないもの、と言ってもいいかもしれません。
 ミルクティにしたいならば、使うのは濃い目でまろやかな味を出してくれる茶葉がいいでしょう。代表的なものは
ウバアッサムになるかと思います。
 ダージリンという名前もよく目にするかもしれませんね。これは若干、渋みの強い茶葉です。その渋みを楽しむためのものなので、できればストレートでいただきたいところ。苦すぎると思ったら、ミルクで緩和するのもアリです。
 あと、ちょっと誤解されがちなのがオレンジペコー。オレンジ味ではありません。いたってノーマルです。むしろ飲みやすさを求めたブレンドティ。アレンジペコーというのは、実は茶葉の大きさの名前であって、味の判断にはならないのです。ご注意ください。味は比較的あっさりと飲みやすいものが多いかと思います。
 他にもいろいろと茶葉の種類はありますが、皆さんが当たり前に聞いたことがあり、スーパーでも取り扱っているようなものは、だいたいこの三種類くらいではないでしょうか。


4.茶葉の等級

 大事なのはこれ。しかし等級といっても、上等か下等かということではありません。これは、茶葉の大きさのことを意味します。
 前述している「オレンジペコー」とは、茶葉の等級を示す言葉なのです。
 オレンジペコー(OP)は、茶葉そのものがとても大きなもの。一個が1cm近いくらいのものです。小さくなっていくにつれ、ペコー(P)、ペコースーチョン(PS)、スーチョン(S)と呼ばれるようになります。これがまず基本。
 更にちょっと細かく分類して、ブロークンオレンジペコー(BOP)というのは、OPの茶葉を半分くらいにカットしたものを意味します。だから一個5mmくらい。
 ブロークンオレンジペコーファニングス(BOPF)となると、BOPをふるいにかけた時に落ちてくる1mmくらいの小さなカケラのこと。
 ティーバッグに使われているのは、ダスト(D)といって更に小さいこともあります。
 ……と、こんな名前は覚えなくてもいいのですが、大事なのはその紅茶の茶葉の大きさです。
 OPだと3〜5分くらい蒸らしますが(ポットでお湯を注いで待つ時間)、これがBOPFくらいに小さくなると、2分程度にまで短くなります。ティーバッグに使われるDだと1分がせいぜい。
 紅茶で大事なのは、この蒸らし時間。ちゃんと大きさを確かめて、蒸らし時間を調節することが大切なのです。