ちょっとしたキャンペーンで日本に行った時、キッドと万太郎がおかしなクイズをして遊んでいた。 父親たちが現役だった頃に流行ったものらしく、 「食べるならどっちだ? う○こ味のカレーとカレー味のう○こ!」 とかいう下品で下劣で頭の悪そうなものだ。 どちらも選びたくない二択で、あえて選ぶならばどちらにするか、という遊びらしい。 たまたまその場に居合わせて、たまたまそんな会話を聞くことになってしまったケビンは、こんなバカな話で盛り上がれるなんて、こいつらはアホかと思いながらげんなりしていた。
だがその翌週、キャンペーンを終えて帰ってきたケビンは、ウォーズマンを相手に同じゲームを持ちかけていた。 仕方ないな、と子供を宥める調子で付き合ってくれるウォーズマンに、前振りとして無難なクイズを出す。 こういうものはなかなか自分で創作できるものではないので、万太郎たちから聞いたものをそのまま真似するだけだ。無論、口にするのも憚られるような言葉が必要なものはカットである。 そうして 「そんなものまで選ばないとならないのか? 勘弁してくれよ」 と少しばかり盛り上がった頃を見計らって、思い切って尋ねた。
「それじゃあ、一晩寝るしかないとしたらどっちだ? お、俺か、俺の親父……」
「うん、ロビンだな」
「か」を言うより早い即答だった―――。
泣きながら自分の寝室に走りこんでいったケビンを見送って、ウォーズマンは首を傾げた。 (あいつ、自分の体格分かってるのか?) 同じベッドにいたら、狭くて寝られそうもないじゃないか。 溜め込んできたストレスのせいかあまり寝相は良くないのだから、壁側で押しつぶされるか、空間側で蹴り落とされるか、どちらかだろうと想像したウォーズマンは、無論、オカシナ意味でなど考えてはいないのだった。
(負けるなケビン!) |