はぐれケビン純情派

「親父――――ッ!!」
「ドアは静かに、手で開けなさい」
「天誅ッ!!」
「どこでそんな言葉覚えてきたんだ。私が嫌いなのは知っているが、いきなり殴りかかることもあるまいに。決闘がしたいなら手袋の一つでも送ってから……」
「問答無用! 死にさらせ害虫!!」
「害……っ!? おまえがそう来るなら私も容赦せんぞ!」
 その日ロビン家では、親と子の熱く激しく容赦ない拳で語る触れ合いが、夜遅くまで続いたという。

 ケビンが父親のもとへ殴り込みをかけた原因は、その日の昼、キン肉マンとテリーマンがなにげなくかわした会話である。

 

「そういえば、バラクーダと名乗っていた時のロビンは怖かったな」
「そうじゃのぅ。ウォーズマンを鞭で打ったりしていたからのぅ」
「嫌がるのを無理やりさせてたんじゃなかったか? ほら、たしかあの時の……」
「ああ、あれか。たしか、十人だか二十人だかの、凶悪な死刑囚が相手じゃったっけ?」
「たしかそうじゃなかったかな。自分は高みの見物決め込んでな」

 

 ―――ケビンがなにをどう想像して誤解したかは、言うまでもない。

 なお、そんな誤解をしたことが本人に知れて、十日間口をきいてもらえなかったことも付記しておこう。

 

(めげるなケビン!)