スカイリム取材記 4

 

【シルバーハンドを狩りに】

 気がつけば、これを「狩り」だと思っているわたくしがここにおります。狩猟の民(※1)としての性分というものは、決して抜けないようでございます。
 スコール様の死に激昂したアエラ様より、「レドラン家の隠居所」なる場所にいる、シルバーハンドの頭を殺すようおおせつかりました。ここは、ファルカス様とともに【ウースラドの破片】を取りに行くときに発見した洞窟でございます。
 しかしまずはホワイトランへ戻り、戦利品を売却し、リディアを連れてくることといたしましょう。

 ……と勇んで向かったものの、ダンジョンというほど深くもなく、そこにいたシルバーハンドはほんの6人程度。戦利品も大したことがありませんでした。身ぐるみ剥いでも、わたくし一人で持ててしまいましたね。
左奥に調理鍋。こんなところで炊事でございますか…… それにしても、こんな洞窟の中で、せんべいのような寝袋を使って休み、ひっそりと生活するなど、わたくしには到底我慢できそうにございません。シルバーハンドがウェアウルフ狩りの集団であるというなら、なにもこそこそと隠れ暮らさなくても構わないように思うのでございますが……。
 やはりなにか、やましいところがあればこそ、人目を忍ぶようにしているのではないのでしょうか?
 たとえば、「ステンダールの番人」、すなわちデイドラ(※2)狩りの番人たちは、れっきとした建物の中に暮らしていらっしゃいます。シルバーハンドもまた、なんらかの土地と建物を所有し、悪しきウェアウルフの恐怖から近隣の民を守るという立場にあることも、できるはずなのでございます。
 なんにせよ、どうにも消化不足でございましたし、先立って【ドワーフの弓】を手に入れ、鍛冶スキルもこの武器を強化できるようにいたしましたので、つい、マンモス2頭と巨人を獲物に定めてしまいました。イソルデ様から【マンモスの牙】を手に入れてほしいと頼まれておりましたのも、これで解決できることになります。
 しかし、さすがにタフでございますね。弓で先制し、その後も走って距離を離しては振り返って射る、という戦法で成功いたしましたものの、まだまだ、一射で決着させるには隠密のスキルも弓のスキルも、そしてまた手持ちの武器の性能も十分とは申せませんようで。

 さて、ジョルバスクルに戻って報告いたしますと、次は、「ロストナイフ洞窟」の隠れ家から、同胞団襲撃の計画を盗み出してくるようにと指示されました。
 ……どうにも、ウェアウルフであることを厭うコドラク様側ではなく、そのことを祝福と考えるアエラ様、今は亡きスコール様の側でばかり働いているような気がしてなりませんが……。
 次は、いったんアエラ様のお話は後に回して、ファルカス様かヴィルカス様にでも、なにかお仕事がないかうかがってみるといたしましょう。
 ともあれ、ロストナイフ洞窟だけは、片付けてしまうことにいたします。

串刺しにされた死体 ここはギャロウズ・ロックから更に南。まだ足を運んだことのない地でございます。
 千里眼の魔法を使えば辿り着くのに苦労はございますまい。
 入り口に飾ってあります、こういったものは、一種の威圧、威嚇なのでございましょうが、わたくしには、強さを誇示するためというより、弱さを隠すためのように見えて仕方ございません。
 ともあれ、リディアを荷物持ちにして片っ端から身ぐるみ剥いでただ進むのみ!になりつつあるあたり、どうにもわたくしは、本性の記者という役目を忘れつつあるようにも思います。
 馬鹿正直に正面から当たらず、気付かれぬよう身をひそめ、弓で少しずつ戦力を殺ぎつつ、何者かがひそむ恐怖をゆっくりと味わわせる……悪くはございませんね。

 ロストナイフの件が片付いたことをアエラ様に報告に戻りますと、コドラク様がわたくしに会いたいとおっしゃっていたと告げられました。やはりアエラ様のシルバーハンド狩りは、コドラク様には内密に実行しておられたご様子。「私たちの動きを嗅ぎつけられたのかもしれない」とおっしゃいます。
 わたくしとしては、どちらかと言えばコドラク様のお味方をしたいのでございますが……。
 コドラク様を訪ねますと、このウェアウルフの「呪い」を解くため、「グレンモリルの魔女」の首をとってこいと命ぜられました。
 首、でございますか……。すなわち生首。
 しかも聞くところによりますと、我が友たるカジートは、この首を持って帰ったところで同胞団との話がまったく進まなくなり、今もまだ5つの生首を持ち歩いているとか。(※3)
 ともあれ、この冒険は今まででもっとも遠くまで出かけることになりそうでございます。
 馬を買うべきか迷いましたが、騎馬では魔法が使えないこともありますし、千里眼の魔法を頼りながらリディアと二人、ひたすら走って現地に向かいたいと思います。


※1:ウッドエルフは肉食で、一切菜食しない種族だそうです。よって、食物はイコールなんらかの肉。純然たる狩猟民族です。……でもゲーム中では、トマトだろうがなんだろうが食べますけどね。
※2:デイドラとは、いわゆる邪神のことです。しかし完全に悪かというと、単に利己的で気まぐれであり、人間・エルフとは違う倫理観……そもそも倫理というもののないカオティックな性格をしている、不死の存在。時にはただ人をからかい、時には人の手助けをすることもある神々です。
※3:バグです。クエストから戻ってジョルバスクルに入ったとき、ヴィルカスの話を最後まできかずにあれこれ調べようとしたのがまずかったのか、「ついてこい」と言ったヴィルカスは延々とそのまま、何事もなかったかのようにジョルバスクルにとどまり、こちらについてくることもなく、話しかけてもなにも起こらなくなりました。修正パッチが出るまでは、同胞団のクエストラインはここで止まっていたのです……。

 

【グレンモリルの魔女の首狩り】

 同胞団、特にサークルのメンバーが感染している人狼症とはなにか?
 コドラク様のお話によりますと、同胞団の設立は約5000年前。(4000年前とおっしゃっていたかたもいらっしゃいましたが、このあたりは古の歴史でございますので、正確なことは不明なのでしょう) しかし人狼症はここ数百年のことだそうでございます。コドラク様より前の代のメンバーが、手っ取り早く力を手に入れるためにグレンモリルの魔女と取引をしたのが始まり。しかし、いっときだけのものと思ってかわした契約が、実は永遠のものでございました。その結果、人狼化したメンバーは死ぬまで、そして死後も、獣の血に縛られることになったようでございます。
 ノルドの信仰においては、死者の魂はソブンガルデへ行き、そこで安寧を得るとなっております。しかしウェアウルフとして死んだ者は、死後、デイドラの一人であるハーシーンの支配するハンティング・グラウンドへ行き、そこで永遠の狩りに興じることになるとか。
 アエラ様たちは、これを本望と考えていらっしゃいました。しかしコドラク様はソブンガルデへ行くことをお望みでいらっしゃいます。
 この人狼の呪いを解くために必要なのが、グレンモリルの魔女の首なのでございます。

 わたくしといたしましては、獣の力になど頼らなくても問題なく狩りができる以上、安眠を妨げる獣の血など不要。(※1) 喜んで呪いの治療にご助力いたします。これは、そう、アエラ様のお気持ちと同じ。「コドラク様のことは好きだけど、獣の血は私にとって祝福。手放すなんて馬鹿げている」とアエラ様はおっしゃいます。わたくしが申しますならば、「アエラ様のことは好きだけれど、獣の血に頼った狩りや、死後も続く永遠の狩りなど望みはしない」のでございます。
 コドラク様は魔女を皆殺しにしろとおおせでございます。そこまでせずとも、とも思いましたが、呪いを解くためには一人につき一つの首が必要なようでございますね。
 そういえば、初めて同胞団に参りましたときに、コドラク様とヴィルカス様がお話になられていたのは、このことだったのではございますまいか。だとすれば、人狼化を「祝福」とおっしゃったファルカス様はともかく、少なくともヴィルカス様は、コドラク様のお考えを尊重されるようでございます。とすると彼の分もあったほうが良いのかもしれません。であれば、わたくしとコドラク様のものも含めて、最低三つは必要になります。とりあえず首三つ、手土産にいたしたいかと存じます。

 魔女の住処は人里離れた洞窟でございました。ホワイトランよりはるばる西北西へ。ファルクリースへ向かいますよりも更に少し遠くにございます。
 ホワイトランを出立したのは正午。道中、錬金術の素材になる【青い蝶の羽根】のために蝶を追いかけたりもしつつ、……この街道は、【ツンドラの綿】や【山の花】各種の草花も豊富に生えておりますし、蝶もあちこちに飛んでいて、錬金素材集めには大変具合が良いようでございますね。特に、【山の青い花】と【青い蝶の羽根】は、なかなか高価な薬が調合できますから、金策にはもってこいでございます。
 なお、ホワイトランからは、「西の監視塔」の脇を抜け、「グレイムーア砦」を左に進み、ひたすらまっすぐ。そして、看板の立つ三叉路に出ましたら、山道へと向かうのがルートのようでございます。
 その道中、すぐ傍に洞窟の入口のようなものがありましたので、立ち寄ることにいたしました。いえ、正確には草花を採取しながら脇道へ少し入ったところで、男性の声が聞こえたので、もう少しそっと近寄ってみたのでございます。
 すると、「モス・マザー洞窟」の入口には、ヴァルドルという男性が怪我をして座り込んでいらっしゃいました。
 仲間とともにクマを追ってここに辿り着き、追い込んだは良かったけれど、スプリガン(樹木の精霊なような存在でございます)が現れて仲間がやられてしまったそうでございます。ともかくヴァドル様のお怪我を治すため、回復薬を一つ分けて差し上げました。
 仲間の遺体をこのまま放ってはいけない、とおっしゃいますし、少しばかりお力添えをすることにいたしました。
 内部にいるのはクマ一匹とスプリガン3体。そう分かっていれば、そしてこちらにはリディアとヴァルドル様もいるのですから、どうということはございません。難なくヴァルドル様のお仲間の敵を討つことがかないました。
 するとヴァルドル様は、「大したものではないが大事なものだ。初めて狩りに出たときアリ(仲間のお名前でございます)がくれた」とおっしゃって、【ヴァルドルの幸運のダガー】をくださいました。手に馴染み、急所をつきやすそうな良いダガーでございますね。ありがたく頂戴することにいたします。更に、傍には「金の鉱脈」もありましたので、すかさず採掘していくことにいたしました。
 仲間をきちんと葬ったら町に戻る、ファルクリースに来ることがあればぜひ寄ってくれというお言葉をいただいて、さて、わたくしは本来の目的に戻らねばなりますまい。

こんな生首を…… 丁度「モス・マザー洞窟」に向かう山道から、道無き道へそれて少し行くと、いよいよ目的の「グレンモリル魔術結社」がある洞窟に辿り着きました。
 彼女たちの見かけは、ハグレイブンによく似ております。そもそもハグレイブンというものが、人間らしさを代償に魔力を得た魔女のようなものでございますから、ハグレイブンの一部が、グレンモリルという魔女団を作っていると考えて良いのかもしれません。
 中に入りますと、魔女たちは個別に行動しているようでございました。
 ハグレイブンは強力な魔法が厄介な相手。真っ向から戦ってはわたくしが不利でございましょう。その点、一人ずつ別の場所にいるというのは大変好都合でございます。懸念すべきはリディアが突撃し、隠密行動を台無しにしかねないこと。そこで彼女には、魔女を仕留めるまでは少し離れたところで待機するよう申し付けました。
 幸い洞窟は浅く、構造もシンプル。そこにいる魔女もたったの五人。生首を持ち歩く不快感を別にすれば、実に簡単な仕事でございました。
 すべて片付き洞窟から出たのは、23時頃。洞窟に入るときには降っていなかった雪が降りしきっておりました。

 そうしてわたくしがホワイトランに戻ると、ジョルバスクルでは大事件が勃発していたのでございます。


※1:ウェアウルフ化は、他人に変身の瞬間を目撃されないかぎり、特にデメリットがありません。唯一のデメリットは、睡眠によるステータスアップ効果が得られないことです。ウェアウルフ状態で睡眠をとると、「野獣の血が安眠を妨げている」と表示されます。ちなみに、レベルが低い間はウェアウルフ化したときのほうが強いこともありますが、レベルが上がり戦闘特化のスキル構成になっていると、普通に戦ったほうがよっぽど強いのではないかと……。

 

【コドラク様の仇と、破片を追って】

 ホワイトランに戻ったわたくしがギルダーグリーンの広場に差し掛かると、ジョルバスクルの前の階段に人だかりができておりました。アエラ様たちが剣を構えて警戒する傍には、倒れ伏した死体。何事かと思えば、シルバーハンドが同胞団を襲撃したというではございませんか。
 しかも、ジョルバスクルの中に入りますと、そこには変わり果てたコドラク様のお姿が……。といっても無残に切り刻まれたりしているわけではなく、ただ単に身ぐるみ剥がされていたのでございますが。
 更には、集めてあった【ウースラドの破片】もすべて強奪されたとか。
 ヴィルカス様は大層お怒りで、二人で仇を討ち、破片を取り返しに行くぞとお命じになられました。
 わたくしに否やはございません。
 魔女の生首を携えたままというのは気になりますが、ともかく今は、ヴィルカス様とともに行くことといたします。

 それにしても……この報復は、コドラク様がご懸念されていたことでもございました。
 コドラク様はアエラ様やわたくしの行なったシルバーハンド狩りについて、なにも咎め立てはなさいませんでしたが、ご存知ではあったご様子。スコール様の敵討ちとは言え必要以上の血を流しすぎたとおっしゃっていらしたのです。
 とすれば、わたくしの軽率な行動がコドラク様の死を招いたとも申せましょう。コドラク様はソブンガルデへ行きたいとお望みでいらしたのに、それもかなわなかったことになります。
 コドラク様が報復をお望みかどうかは分かりません。しかし放っておけばヴィルカス様はお独りででも乗り込みかねないご様子でございます。

 ともあれ、ホワイトランから「ドリフトシェイドの隠れ家」まではずいぶんございますから、まずは程近いドーンスターの町まで、馬車で移動するのが得策でございましょう。それにしても、このような形で別の町を訪れることになろうとは思いもしませんでした。
 ドーンスターの町に着くなり、ドラゴンの襲撃を受けたりもいたしましたが、町の衛兵の皆様のお力添えもあり、難なく撃退がかないました。
 なお、ドーンスターの首長はストームクロークを支持しているようでございます。今はこれだけを心にとめて、一刻も早く「ドリフトシェイドの隠れ家」へ向かうといたしましょう。

 ホワイトランの周辺と異なり、このあたりはほぼ一面の雪景色でございます。
 千里眼の魔法を頼りにひたすら雪道を進みますと、やがて砦が見えてまいまりした。入り口の杭に突き刺さる狼の頭。シルバーハンドの隠れ家に間違いございません。
 内部は、保管された武器や防具、多数の本、そして虐待されるウェアウルフ。……例によって、檻の中にいるのを出してさし上げたところで、味方してくださるどころか襲われるのがオチ。しかも装備品とて【ぼろぼろのズボン】くらいとあっては、わざわざ出す理由もございません。
シルバーハンドの装備ストックでしょう 助けるだけ損をする囚われのウェアウルフ
拷問台…… 取り戻しました
 中にいるシルバーハンドたちを片付けつつ奥へと進み、シルバーハンドは一掃。持ち去られた【ウースラドの破片】も無事に回収がかないました。

 そしてホワイトランに戻ると、町の入口にてヴィルカス様は、そろそろコドラク様の葬儀の準備もできているだろうから、スカイフォージに来るようにと言い、先に走って行かれたのでございます。
 ―――え? ヴィルカス様でございますか? そうでございますねぇ……突撃してへたり込んでいるのはファルカス様とどっこいどっこいでございますが、わたくしの隠密と弓術スキルが上がっているためか、それでもいい囮にはなってくださったかと……。

 

管理人の呟き:
 「ウェアウルフにならないと、同胞団クエストが次に進まない」「アエラの指示に従ってシルバーハンドを殺しに行かないと、次に進まない」というのが微妙……。このあたりは分岐させられなかったのかと思います。
 ウェアウルフ化しないことを選ぶと、スコール、アエラからではなく、ファルカス、ヴィルカスからの依頼が発生し、その裏側でアエラたちが勝手に動き、その結果だけが、ファルカスらに報告したときに「小耳に挟んだんだが」とかいう形で聞けるとか。
 ウェアウルフ化していても、シルバーハンド狩りに参加するかどうかについては選択できるとか。ハンド狩りに参加していないと、ジョルバスクルに入ることが条件でシルバーハンドの襲撃クエストスタートしたりして、同胞団のメンバーとともに戦うことになるとか。コドラクを助けられる可能性も残ってると良かったですねぇ。「自分なりの意思表明をしつつクエストを進める」ことができず、「クエストを進めるためには否応なくイエスと答えないとならない」のが残念です。
 膨大な数のサブクエがあるので、そういった分岐でまでクエストを増やすのが困難なのかもしれません。オープンワールドのRPGと言うものの、自分の選択が自分の未来に影響を与えることが少なく、シナリオがほとんどの場合一本道なのはちょっと寂しいですねぇ。

 

【コドラクの葬儀、ウースラド】

コドラク様……

点火はアエラ様が行いました

 葬儀は、スカイフォージの巨大な猛禽の足元にて厳かに執り行われました。
 祭壇に安置されたコドラク様を送るため、アエラ様が火を灯されます。
 わたくしはあまりお話する機会もございませんでしたが、コドラク様にはなにか父や祖父のような大きく、強く、あたたかなものを感じておりました。ノルドの苛烈さと、ノルドの深い情愛。それを持たれたかただったと思います。
 同胞団の一員になることには、諸手を上げて賛成したわけではございませんが、ジャーナリズムを離れて、様々な教えを乞えたであろう先人を喪ったことが悲しまれます。
 葬儀が一段落しますと、サークルのお三方はアンダーフォージへと向かわれました。他のメンバーはまだ深く黙祷を捧げ、話しかけられる雰囲気ではございません。
 その中、エオルンド様がわたくしの傍にいらっしゃると、回収してきた【ウースラドの破片】を渡してほしいとおっしゃいました。そして、コドラク様の手元に残った最後の破片をとってきてほしい、と。
 わたくしはコドラク様のお部屋に行き、エンドテーブルの中を探してみました。
 すると中には、【ウースラドの破片】の他に、コドラク様の日記もおさめられておりました。

 ……死者の日記を読むなど、決して褒められたものではございません。ですが、わたくしはうっかりと日記を取り落としてしまい、その際に開いたページの中に、わたくしの名前を見つけてしまったのでございます。それでもなお読まずにおけるほど、わたくしは出来た者ではございませんでした。
 そしてコドラク様が、ウェアウルフの血についていかに悩まれていたか、サークルの面々をどのように見守っておられたのか、そしてわたくしがコドラク様にとってどのような存在であったのかを、知ることとなったのでございます。

 感慨を振り切り、ともあれ今はエオルンド様のもとへ、【ウースラドの破片】を届けねばなりません。
 かつて同胞団を設立した英雄イスグラモルが使っていたという斧でございますから、エオルンド様はこれを再び鍛造しようと思われたのではございますまいか?
 ともあれ、わたくしがついコドラク様の日記など拝見している間に、参列者の皆様もジョルバスクルに戻って来られたようでございました。
 エオルンド様に破片を届けると、サークルのメンバーの待つアンダーフォージへ行くようにと言われました。
 アンダーフォージでは、ヴィルカス様がコドラク様の晩年の望みについてお話ししている最中でございました。
 アエラ様のように、獣の血を自ら望まれるかたもいらっしゃいますが、コドラク様はそうではございません。そして、ウェアウルフであるということについての見解は異なっていても、アエラ様にとってコドラク様は、同胞団の良き導き手であったのも事実でございます。
 コドラク様の望みを、たとえ死後であれ叶えることはできまいか。ヴィルカス様は、かつてコドラク様より聞かされたという、魂を清める方法をご存知でした。しかし、そのためにはイスグラモルの墓に行く必要がございました。しかし、墓の入口はウースラドがないと開かないらしいのです。
 ウースラドは破壊され、もう何千年もの間破片のまま……。
 落胆する彼等とは別に、わたくしはエオルンド様のお考えについて閃いておりました。そして思ったとおり、エオルンド様がアンダーフォージに入って来られると、「武器は道具だ。道具は壊れるものだ。壊れたら、修復すればいい」と頼もしいお言葉とともに、元の姿に戻った両手斧を翳されました。
 ウースラドは、破片を集めたという理由で、わたくしに預けられました。そしてわたくしたちサークルの者は、コドラク様のため、「イスグラモルの墓」へ向かうことになったのでございます。
 なお、街を出たとき、守衛の兵が「コドラク・ホワイトメインは埋葬された。彼の魂は、ソブンガルデの広間にて」、と話されるのを聞いたわたくしは、今はまだそうでないことを思うと、一刻も早くイスグラモルの墓へ行き、コドラク様の念願を叶えて差し上げなければなるまいと思うのでございました。

 ……あの、ところで皆様? 2つだけ、質問してもよろしいでしょうか?
 何故、武器を構えて走って行かれるのでございますか? しかも街中からずっと。
 そして、二番目の質問のほうがより肝心なのでございますが、スカイリムで最も北に位置するウインターホールドの、更に北へある「イスグラモルの墓」まで、まさか皆様、そうやって武器を構えたまま走って行かれるおつもりなのでございますか……?
 申し訳ございませんが、わたくしは馬車でウインターホールドに向かわせていただきますよ?

 

<中・略・☆>

 

 さて、わたくしとリディアはウインターホールドで一泊。5時間ほど眠り、10時頃に出発いたしました。
ヴィルカス様と椅子グラモルの像 北の大地の更に北。流氷の海にある巨大な岩山の麓に、「イスグラモルの墓」はありました。
 わたくしが辿り着いた頃には、走って来たらしい皆様も既にご到着でいらっしゃいました。スカイリムの馬は、シロディールの馬ほど足が速くはないようでございますが、それにしても皆様、大変な健脚でいらっしゃいますねぇ……。
 ヴィルカス様は、共に行けないとおっしゃいます。復讐の念と悲嘆に暮れた心のままでは進めない、と。しかしアエラ様とファルカス様はついてきてくださるようでございますね。
 入り口の正面に立つ雄々しき男性の像、これがイスグラモルの姿のようでございます。その手はたしかに、自然とは言えない仕草で止まっておりました。扉を開けるためには、この手にウースラドを収めれば良いようでございます。
 おそらくは、斧の重量と、その重心などが鍵になっているのではないかと思います。イスグラモルの像にウースラドを返しますと、重い地響きとともに像の背後にあった扉が開きました。
 アエラ様、ファルカス様、そしてリディアとともに先に進むと、腕試しのため、同胞団の幽霊たちが現れます。しかしさすがに、四人も戦い手がいると楽でございますね。
 ……と思ったら、ファルカス様? あの……「ダストマンの石塚以来、あの這いまわるデカいのだけは苦手なんだ。ヴィルカスとともに戻るよ」って……たかが蜘蛛ごときに……ッ!
 こうなったら頼れるのはアエラ様だけでございますが、このかたもなんとか言って、途中離脱しそうな予感がするのはわたくしだけでございますか?
 ともあれ、男二人が先に帰り、進むのは女三人でございます。……まったくあの坊やたちは……。

正面の巨大な顔の像が仕掛け扉かと思いきや かつての同胞団の戦士たちを退けながら進んだ先、それほど意地の悪い仕掛けなどはございませんでした。そもそもが墓であり、ウースラドが鍵になっていたこともあって、盗賊を撃退するようなトラップや、複雑な仕掛けは必要なかったのでございましょう。
 途中で一度だけ、ハンドルのある台座がございました。巨大な顔面をかたどった正面が、扉のように開くのかと期待してハンドルを回しましたが、……金属の柵が動いたような音がしただけで、顔像はなにも……。いったいどこでなにが起こったのかと探してみれば、左手の壁に一ヶ所、元は柵が降りていたらしい通路がございました。なんですか、この虚仮威しは。
 そして、アエラ様。アエラ様は、最後の最後までついてきてくださいました! やはり頼りになるかたでございます。
コドラク様の魂 奥の広間に待ち受けていたのは、コドラク様の魂でございました。
 ハーシーンのハンティング・グラウンドに引っ張り込まれないように、この青い炎、「導き手の火炎」で体をあたためているんだよとおっしゃいます。今ならまだ、コドラク様をソブンガルデへと送って差し上げることができるに違いありません。
 わたくしは、魔女の首を持参したことをコドラク様にお伝えいたました。そして、青い炎に魔女の頭を一つ投げ入れると、コドラク様に重なるようにして、赤く巨大な狼の霊が現れました。これがウェアウルフの源のようでございます。
 アエラ様、リディアと力を合わせ狼を倒すと、コドラク様の魂は獣より解放され、そしてようやく、ずっと望んでいらっしゃったソブンガルデへと旅立たれたのでございます。
 そして最後にコドラク様は、わたくしに、同胞団を導くようにとおっしゃいました。

 そうでございます。コドラク様の日記には、そのことが記されておりました。
 アエラ様は孤独すぎ、ファルカス様は情にもろく、ヴィルカス様は激情家。それゆえに、優れた戦士であったとしても、導き手には向かない、と。
 わたくしのことは、同胞団に参加するより前に、コドラク様は夢で見て知っていたようでございます。夢で共に戦った者が、わたくしであったと。そのこともあったためでございましょう。コドラク様はわたくしを高く評価し、次の導き手はわたくしにしたいと、数年かけてゆっくりと教えていこうと考えていらっしゃった、その矢先に、あの悲劇だったのでございます。

 わたくしは、記者としてスカイリムに参りました。
 しかし、今やアエラ様もファルカス様、ヴィルカス様も、たしかに「盾の兄弟姉妹」であると思っております。
 取材は継続いたしますが、コドラク様の信に答えるためにも、同胞団にはこのままとどまりたく考えております。
 なお、この「導き手の火炎」なる青い炎に、魔女の頭を捧げることで、わたくしの狼憑きも治療できるようでしたので、ついでに使用させていただきました。これでようやく、ぐっすりと休むことができそうでございます。

冷たく際最北端の光景でございます なお、これはイスグラモルの墓へ向かう途次、北の海に出たところで撮影したものでございます。
 ウインターホールドの町から、魔術師大学の脇を抜けると、そこには極寒の海が広がっております。
 おりしも天気は雪。
 このスカイリム地方も、南のほうであれば街道には草花が茂り、蝶も飛び交っておりますが、北の果てはこのように寒く、ホーカー(トドのようなものでございますね)が生きる程度。
 しかし、これより更に北、流氷の海の上に隠れ家を持つ隠者がいるという噂もございます。スカイリムの民は、なんとたくましいのでしょうか。

ホワイトランのあたたかな街並み そうして(高速移動にて)戻ってきたホワイトランは、一転して明るく、なごやかであたたかな雰囲気の町でございました。
 シロディールの鮮やかな景色と比べれば、たしかにスカイリムは寒々しく、色味に乏しい地かもしれません。ですが、だからこそ灯る火のあたたかさ、ありがたみがつくづくと身にしみます。
 スカイリムには、タムリエル最古の都市であると言われるウィンドヘルムもございます。そこは今、ウルフリック・ストームクロークが首長を務めているはず。この歴史のある地方のレポートは、まだ少し続きます。どうか今しばらくお付き合いくださいませ。肝心の内乱がどうなっているのか、さっぱりレポートしておりませんしね!