スカイリム取材記 2

 

【ホワイトランへ向けて】

もう少し読みやすい看板を所望いたします

割れナガに似合いませんね……

 一夜明けて、いよいよホワイトランを目指すことにいたしました。
 看板によりますと……ずいぶん読みにくいものでございますね。しかしかろうじて、ホワイトランは街道を北東へ進めば良いらしいと知れます。(※1)
 一般市民らしく平服で、と思いましたが、街道にもオオカミは出ますし、街中以外でこんな格好をしているのは賢くございません。それから、我ながら似合わないにも程があるかと。ちなみにファエンダル様には、もうしばらくついてきていただくことにいたしました。こうして【鉄の兜】など召していらっしゃると、頼もしい戦士に見えます。

立派な城郭が見えます

 街道を少し行きますと、遠くに立派な城影が見えました。もしやあれが、ホワイトランにある首長の屋敷ではございますまいか? それほど遠くはないようでございますね。
滝を登る小魚も確認できます  流れ落ちる滝には黒い魚影のようなものも見え隠れいたします。滝を昇っているのでしょう。
 もう少し行くと、ホワイトランの街もよりはっきりと見えてまいりました。

 道中、巨人と戦う戦士たちと遭遇いたしました。
 わたくしなどはそもそも近づこうとも思わない巨人を倒したのは、女性戦士がお一人と、男性の戦士がお二人。彼等は「同胞団」なる組織の一員のようでございます。「盾の兄弟」というのは、仲間を示す言葉でしょうか。
 お金でトラブルを解決しているのでいらっしゃいますね。かつてシロディールにあったという、戦士ギルドなるものを思い出します。
 もし同胞団に興味があれば、ホワイトランに拠点があるので寄ってみろとおっしゃいましたが、わたくし、記者でございまして。決して戦士になりたいわけではございません。狩人の互助会のようなものであればいざしらず、金銭と暴力でトラブルを解決するタイプの職業には興味がございませんので、あしからず。

農園主のセベリオ様と使用人 こちらはその巨人と同胞団の争っていた地点のすぐ傍、ベラジア農園の農園主・セベリオ様でございます。ともすると、同胞団のお三方はこのペラジア農園の依頼で来られたのかもしれませんね。
 ちなみに農園では、その農園の畑で育てている作物であれば買い取ってもらうことができるようです。その地の畑の収穫の手伝いということのようですが、よそで手に入れたものでも問題はないご様子。
 通常、売価は買価の半分なのですが、農産物を農園で引き取ってもらう場合には売価と買価が等しいのがポイントでございます。
 せっかくですので、手持ちのジャガイモとキャベツを買い取っていただきました。買値が1ゴールドのため、店では売値がつかない(つまり0ゴールド)野菜も買い取ってもらえますので、どこの農園でなにが売れるかは、少し覚えておいても良いかもしれません。

ホワイトラン遠景 あらためて、こちらの写真がホワイトランの遠景でございます。
 奥に見えます城郭が領主の館でございましょう。その麓に街が広がっております。
 周囲はのどかな草原地帯。
 そう、わたくしはシロディールからスカイリムにまいりましたので、実はこの時点ではまだ、北の大地の本当の厳しさはなにも目にしていなかったと申し上げても過言ではございません。
 今あらためてこの思い出の写真を見ておりますと、スカイリムの内でもやや南寄りに位置し、広けた草原が周囲にあるホワイトランは、ずいぶんとあたたかみの残る光景であるのだと思わずにおれません。
 ともあれ、わたくしにとってはスカイリムで初めての大きな都市。向かう足取りもいくらか早くなりましたことは、よく覚えております。

スカルヴァー様。「サーブル柄」とは、はて? 大きな都市の傍には必ず馬屋がございます。
 こちらの主人はスカルヴァー様でございますね。
 ……馬、でございますか。移動の足としてはぜひ欲しいところでございますが、そうなると、ファエンダル様は? 2頭買わねばならないのではなく?
 どうやらコンパニオンは徒歩になるようですし、価格も1000ゴールドと、決してお安くはございません。
 悩みましたが、少なくとも今は、購入を見送らせていただきたく存じます。
 ちなみにこちらで販売している馬は7歳。「女王アルフシグル」、アリーという名があるそうです。わたくしが購入したときには、好きにつければ良いとのことですが、購入はまた機会にいたしましょう。(※2)

 馬の購入を見送った理由の一つに、馬車の存在がございます。
今後もお世話になる街道馬車 スカイリムの馬屋の傍には街道を走る馬車が常駐しております。大きな都市の間の移動は馬車を使うのが賢明。だいたい20〜50ゴールド程度で連れて行っていただけますので、なにもわざわざ個人で馬を買わずとも、大都市間の移動であれば馬車で安全に、確実に可能でございます。
 わたくしは決して、道なき道を往く大冒険を望む者ではございません。遠出の際には利用するといたしましょう。

 今は、ジャルデュル様から頼まれた援軍依頼を届けることが先決でございます。
 ホワイトランの首長殿にお会いして、ドラゴン対策のため、リバーウッドへ援軍を送っていただくこと。すっかり忘れそうでございましたが、この程度のお使いは、お世話になった恩返しに、喜んでさせていただきたく存じます。


※1:本当に読みにくくて困ります。一応、大きな都市や一部のダンジョンには、街道や山道を使って辿り着けるようになっているのですが、この看板を読むのが億劫で、ついなんとなく道を選び、気がつけば山奥ということが何度もありました。「調べる」ことができて、「ホワイトラン・北東へ」等、出ればよかったのに。
※2:名前をつけられるかというと、そんなことはなく orz ただ「馬」です。すっごい期待したのに!

 

【ホワイトラン】

 街の門は、ドラゴンの接近のため封鎖されておりました。
 兵士に止められてしまいましたが、「ヘルゲンからドラゴンについての報告がある」と「説得」することで通していただくことに成功。キャシー局長より、人とはしっかり話して「話術」(※1)は高めておくといいとうかがっておりましたので、無難に通してもらえそうな「援軍の依頼がある」ではなく、あえて説得を選んだ次第です。失敗したところで、わたくし個人の経験としては蓄積されますので、なにも損はございません。(※2)

イドラフ・バトルボーン様は帝国軍の鎧をお召しです 麗しき鍛冶の乙女でいらっしゃいます
 さて、門より中に入りますと、武具店の看板の前で、美しい女性と兵士が言い争っている様子でございます。
 そっとおうかがいしてみると……どうもこの女性は鍛冶師のようでございますね。帝国軍のために剣を作れと言われているのでしょうか。ですが、一人ではそんなに作れない、と。「エオルンド・グレイ・メーンに頼めば」と言われた帝国軍兵士は、彼は帝国軍のために武器を作らないだろう、等とおっしゃっておられました。
 ホワイトランについて、なにかうかがえることもあるかと話しかけてみましたが、エイドリアン・アヴェニッチ様からは、今の言い争いについては特に言及されることはございませんでした。
 しかしその代わり、首長である大バルグルーフ(※3)に渾身の作である剣を届けてもらえないかと頼まれました。ただし、直接届けても受け取ってはもらえないだろうから、執政をしている父に預けてほしい、と。首長へは援軍を頼みに行くところでございますし、喜んでお引き受けいたしましょう。

 さて、まっすぐに首長の館を目指しても構わないのですが、その大バルグルーフ様がどういうかたなのか、城下で少しお話が聞けないか、街を回ってみることにいたしました。
 ホワイトランに入ってすぐ右手にありましたのが、エイドリアン様の鍛冶場と、その旦那様が経営してらっしゃる武具店『戦乙女の炉』。……この名前は、きっとエイドリアン様からついたものでございましょうね。
酒場? その向かいには……『酔いどれハンツマン』という、ここは酒場でございますか? 酒場であれば情報は様々な得られることでしょう。もっとも、酒場が賑わうには少し早い時間ではございますが……。
 そう思い入ってみると、男性が二人、カウンターにいらっしゃいました。
 ナゼーム様とおっしゃるかたは、特になにを売っていらっしゃるわけでもなく。農場を経営しておられるとのことです。先ほどのベラジア農園とは別に、この近くに農園があるのならば、また後ほど探してみることにいたしましょう。
 そして、エルリンドル様は……このかたも懐かしきボズマー! ウッドエルフではございませんか!(※4)
 エルリンドル様もわたくしを見ますと、懐かしき同族に会えたことを心より喜び、歓迎してくださいました。
 このお店は小さな宿も兼ねているようですが、主に狩猟用の武具を販売しているとのこと。ちなみに店名の由来は、「ハチミツ酒に酔ったまま兄弟と狩りに出かけて、酔っ払った兄弟が獲物と間違って放った矢が尻に当たった」という事件がもとのようです。なんとまあ……おいたわしい。
 ちなみに下にご用意いたしましたのが、エルリンドル様と、その弟君のアノリアス様のポートレイトでございます。アノリアス様は市場で食料などを販売していらっしゃいました。
兄:エルリンドル様 弟:アノリアス様 傭兵:ジェナッサ様
 まったく個人的なものでございますが、『酔いどれハンツマン』は今後とも贔屓にさせていただきたく存じます。
 なお、『酔いどれハンツマン』には、ダークエルフ(ダンマー)のジェナッサ様という傭兵も待機していらっしゃいます。わたくしにはファエンダル様という用心棒がついておりますので、今は必要ございません。しかしいずれは、ファエンダル様にもご自分の生活がございましょうし、お別れしたときには考えさせていただこうかと思います。

ブレトン族のベレソア様 ホワイトランでなにかと便利なお店と言えば、わたくしが拝見いたしましたところ、やはり一番は『ベレソア一般雑貨店』でございましょう。
 市場にございますお店で、店の脇には薪割り台もあり、ちょっとしたお小遣い稼ぎも可能になっております。日のある時間帯に薪割りしておりますと、市場から聞こえる物売りの声が実になごやかでございますね。お母様とお嬢様の会話など、耳にしておりますと大変微笑ましく感じます。
 しかし、薪を専門に買い取ってくださるのがどなたなのか分からないのが難点でございます。実は未だに、発見しておりません。
 雑貨店はブレトンの男性が経営していらっしゃいます。売れるものなら妻子まで売るとおっしゃる、大変面白いかたでいらっしゃいます。
 取り扱い品は「すべて」。かなり便利なお店でございます。(※5)この街にいるかぎりには、なにかとお世話になりそうでございます。
 なお、カウンターの上にある「無類の味わい」という本が気になりましたので、立ち読みさせていただきました。(※6)
 レシピ本でございますね。大変美味しそうなレシピが2つ書かれています。ポタージュはぜひとも作ってみたいと思いますが……たしかに愛する女性から、シンプルながらも美味しい、心のこもった料理を振る舞われた男性は、泣くほど嬉しいものかもしれませんが、あいにくとわたくしにはそういったお相手はおりませんので……。はあ……。

アルカディア様はインペリアル族でしょうか? 錬金素材がほしければ、『アルカディアの大釜』がベストでございます。こちらは『ベレソア一般雑貨店』のすぐお隣、アルカディア様が経営していらっしゃいます。
 アルカディア様はシロディールからいらっしゃって、もう20年もこの街にお住まいだとか。回復魔法を使った治癒師ではないとのことですが、取り扱っていらっしゃるお薬、すなわち錬金術の腕前で、幾人もの人を助けて来られたようです。もしそれらのかたからお金をいただいていれば、豪邸に済んでいるわと豪語されていらっしゃいました。とすると、普段はさしたる代価もいただかず、一種の慈善として病や怪我に効くお薬を提供していらっしゃるのでしょう。心優しいかたでいらっしゃいます。
 店内には錬金台もございますから、薬や毒の調合もさせていただけますし、自分では使う予定のない薬は、アルカディア様にお買取りいただくこともできます。
 わたくしも、道中採取してまいりました草花などの素材を使い、無駄にならない程度にざっと薬を作製いたしました。初期投資は重要でございますから、アルカディア様が販売していらっしゃるものは購入させていただき、素材を一つずつ口にし、効果を一つ確認しておくことも忘れません。(※7)

市場とバナードメア。右に写っているのは『アルカディアの大釜』

たくさんの人が集う憩いの場

 もうだいぶ遅くなってまいりましたので、宿に泊まることにいたしました。
 『バナード・メア』というこちらの宿が酒場も兼ねているということで、さっそく入ってみますと、さすがに賑わっていらっしゃいますね! 多くの人がこの酒場に集って飲み、食い、歓談している様子でございます。
 女主人のフルダ様をはじめ、ひと通りのかたにご挨拶がてらにお声をおかけいたしましたところ、どうもこのホワイトランでは、バトル・ボーン一家とグレイ・メーン一家が対立し、半目しあっているようでございます。
 きっかけは、ウルフリック・ストームクロークの反乱。それまでは仲良くやっていたものを、と嘆かれる、バトル・ボーン家の男性・ジョン様もいらっしゃいました。
 バトル・ボーン家が帝国軍を支持し、グレイ・メーン家がストームクロークを支持しているようでございます。
 さて、これは……大変申し訳ございませんが、政争の取材としては、好都合というもの。しばしこのホワイトランに腰を据え、もういくたりかのお話をおうかがいしてみたく存じます。

 ちなみに宿の主・フルダ様は、イソルダ様という若い女性の商人に宿屋を売却したいと考えていらっしゃるとか。そのイソルダ様にお話をうかがうと、カジート・キャラバンとの取引を始めたいとお考えのようでございます。しかし、キャラバンの長に話をしたところ、【マンモスの牙】をとってくれば考えてやると答えられたそうでございます。
 ホワイトランにて商売の勉強にお忙しいイソルダ様に比べれば、わたくしは今後もいくつかの街を回る予定でおります。その道中で手に入ることもあるかもしれません。確約はできないまでも、もし見つけたら持ってくるとお約束いたしました。

フルダ様 なかなか良いお部屋です
 皆様と歓談などしておりましたら、あっという間に23時でございます。
 フルダ様にお願いし、一泊の宿をお借りすることにいたしました。10ゴールドという格安のお値段でございますが、案内していただいた部屋は二階、簡素とはいえ広いお部屋に大きなベッド。酒場を見下ろすこともできますし、そこからは、吟遊詩人ミカエル様の歌声も届いてまいります。
 ミカエル様は、軟弱な歌ばかり歌ってノルドの戦士詩人の名を貶めている、とあまり評判のよくない、まあ、女たらしでございますが、若者らしく、見栄っ張りでも可愛らしいところがおありですね。
 わたくしは、ミカエル様の歌う「赤のラグナル」を聞きながら、眠ることにいたしました。
 ところで、枕が2つ並んでいるからといって、ファエンダル様がお休みになられるのは"どこかその辺"でございますよ、ええ。

 

密告情報:
「いや……見ちゃったんだよねぇ。宿屋にさ、「不滅のウスガルド」って呼ばれる、超ケンカっ早いノルドの女戦士がいるんだけど、彼女とアルジラが拳の殴り合いするところ。話しかけて、なんとなく受け答えしてたらいつの間にかどっちが強いか殴り合ってみることになったらしいんだけど、うん、俺やっぱり、アルジラに逆らうのはよしとくわ!」

 


※1:「話術」はスキルの一つで、このスキルが高いと、戦闘やお遣いを回避してすぐに話を進めることができることがある他、店の売買の価格もよくなります。店で売買しているだけでも上がるので、気がつくと自然にそこそこ上がっています。
※2:この場合は。場合によっては、説得に失敗してしまうと敵対することもあります。レアなケースで、ごく限られたサブクエストの中でだけのことですが。
※3:ゲーム中では「偉大なるバルグルーフ」と訳されていますが、言語のgreaterは、小スキピオ、大スキピオとおなじように、世代の後先、父親か息子か、といったものを示すためのものでしかありません。なので正確には、「大バルグルーフ」です。
※4:エルフ系には、「ハイエルフ」とか「ウッドエルフ」といった呼び方とは別に、エルフ語での彼等の種族を示す「アルトマー」「ボズマー」という呼び方があります。
※5:店によって買い取ってくれるものは決まっていて、武具屋では、武器・防具などは買ってもらえても、普通の衣服に類するものや、魔術師のローブなどは買い取らなかったりします。
※6:本は「読む」の後、「取る」と出るか「盗む」と出るかです。読むだけなら問題ありませんし、スキル書はそれでも構わないので、遠慮なく読みましょう。
※7:たとえそれが【デイドラの心臓】なる不気味な素材でも、食べることで一つ目の効果だけは分かりますし、錬金術のスキルも少しですが蓄積されます。【クマの爪】だろうとなんだろうと、ええ、気にしたら負けです。

 

【成り行き任せでドラゴン退治】

 わたくし、睡眠は8時間と決めております。8時間ほど眠ることで、翌日の活動効率も上昇いたします。(※1)
今は見る影もない大樹でございますが…… 宿屋のある市場を出て更に丘を登っていくと、ギルダーグリーンの大樹がございます。
 キナレス聖堂のダニカ様にうかがうと、この木は枯れかけているとか。親木の樹液があれば蘇らせることもできるだろうとおっしゃいますが……そのために必要な道具は、ハグレイブンのいる場所にあるとか。いや……それはわたくしではなく、同胞団のかたに頼むなりされたほうがよろしいのではないかと。
 さすがにこれは、わたくしの本道、内乱の取材に関係することはございませんし、なにより、わたくしごときの手には余るというものです。大変申し訳ございませんが、もののついで、もしなんらかの弾みで手に入るようなことがあれば、という程度でご勘弁願います。
朝日とタロス像、ドラゴンズリーチ砦 ギルダーグリーンの広場のすぐ傍には、タロスの像がございます。背後に首長の館を背負う光景は実に壮観でございますが、その前で延々と演説していらっしゃるかたがお一人。
 彼の演説や、いくつかお聞きしたお話から総合し、ようやくスカイリムの内乱の、大枠のようなものが見えてまいりました。

 そもそもは、帝国がハイエルフを中心としたエルフの連合、アルドメリ自治領との戦争に負けたことが原因のようです。
 その休戦協定の際に、アルドメリは帝国に対して、タロス信仰を禁じるよう申し付けました。
 タロスは、元はタイバー・セプティムという人間の、ノルド族の男性でございます。彼が大陸の統一、英雄的な行為を成し遂げた結果、人間たちは彼を神格化し、タロスと呼び、大神の一人に加えて信仰するようになりました。
 それによって、もとは八大神であった神々が、九大神となりました。
 わたくしもウッドエルフ、エルフではございますが、記者とは極力、政治・宗教的には中立であるべきものでございますし、もともと宗教にはあまり関心がございませんので、人間の英雄が神になろうと、どうとも思いはいたしません。
 しかしアルドメリのエルフたちにとっては、そうでございますね、「たかが人間ごときの男が神を名乗るなどおこがましい」といったところなのでございましょう。タロスを神と認めるつもりはないようでございます。
 帝国は、アルドメリと友好的に休戦するためにその条件を飲みました。
 しかし、自分たちの祖先、誇らしい英雄を否定されたに等しいスカイリムのノルドの中には、それを絶対に許せないと思う者が少なくないのでしょう。
 ストームクロークの反乱は、ノルドがノルドらしく生きるため、という題目で決行されていると見受けられます。
 しかし―――こういった政治的、宗教的な闘争は、表向きの理由と、権力者の真の理由とが裏腹であるのが常。権力を掴むために、純朴な人々の愛国心を利用していることもあるでしょうし、タムリエル全土の平安のためと言いつつ己が身の利ばかりを考えていることもあります。
 さて、そのあたりの真意に近づくことは、はたしてできるのでございましょうか……。

 ともあれ、同胞団の本拠である『ジョルバスクル』という名の建物は、わたくしにはとりあえず用もございません。
 そろそろ首長・大バルグルーフ様のところへ向かうといたしましょう。そのついでに、執政であるエイドリアン様のお父上に剣を届けることも忘れてはなりますまい。
 首長の館『ドラゴンズリーチ』に入りますと、ダークエルフの女性戦士が剣を抜きこちらに向かってまいりました。ここはおとなしく待ち受けて、ヘルゲンにドラゴンが現れた件での報告に来た旨を伝えます。
左が執政、右が首長 彼女の許可を得てついにお目にかかれましたのが、首長バルグルーフ様と、執政のプロヴェンタス様でいらっしゃいます。
 プロヴェンタス様は、リバーウッドへ援軍を送ることで、ファルクリースという地を刺激することを懸念されましたが、バルグリーフ様は、自分の民が危機にさらされているのを黙って見ているつもりはないと一喝。イリレス様とおっしゃる先ほどの女性戦士に、援軍を手配するよう申し付けられました。
 わたくしはと申しますと、ついでに頼みたいことがあるから、王宮魔術師のファレンガー様と話してほしいと告げられました。
 なにやら、なしくずしに巻き込まれている気もいたしますが、とりあえずお話くらいはうかがってみるといたしましょう。
 なお、そのままプロヴェンタス様にホワイトランについてお話をおうかがいしたところ、ホワイトランの街は、同胞団の本拠であるジョルバスクルを中心に作られていったとのこと。同胞団というのは、相当に長い歴史のあるもののようでございますね。
 また、ドラゴンズリーチというこの砦は、古代ノルドの英雄オラフが、ドラゴンのヌーミネックスを倒した後、そのドラゴンを閉じ込めておくために作ったものであるとか。
 ホワイトランの街は、なかなかに面白い歴史を持っているようでございます。

お顔がはっきりしませんが…… さて、こちらは王宮魔術師のファレンガー様でございます。
 ドラゴン研究をしていらっしゃるそうで、ドラゴン対策の手助けとして、古代の石版をとってきてくれないかと頼まれてしまいました。
 あの、わたくしは記者でございまして、冒険家でも傭兵でもないので……って、その石版というのは、ブリーク・フォール墓地にある? ……ひょっともすると、これのことでございますか? 【金の爪】を取り返す過程でたまたま手にいれてしまった、よく分からない石版……。
 なんと、これがたまたま、ドラゴンの埋葬地を記したその石版だそうです!
 これでわざわざ取りに行く手間が省けましたね。
 では、これでわたくしは失礼を―――。
 と、思ったのでございますが、突然そこに、イリレス様がファレンガー様を呼ぶ鋭い声が割って入ってまいりました。

 何事かと思えば、「近くにドラゴンが現れたから来て」と。で? 何故わたくしまで「来るべき」なのですか!?
 それはもちろん、戦いに赴くイリレス様のお命にも関わることでございますから、手助け程度であれば考えもいたしますが、ヘルゲンで襲わて逃げ惑っただけのことで、「誰よりもドラゴンについて経験がある」とおっしゃられても……。
 ファレンガー様は好奇心満々で、この目で見に行きたいとおっしゃっておられます。バルグルーフ様は、イリレス様とファレンガー様と、両方を危険にさらすことはできない、街を守る方法を共に考えてくれ、と引き止めるご様子。
 ……はあ。仕方ございません。バルグルーフ様からは、エンチャントのついた兜もいただき、ホワイトランに土地を買う許可までいただいてしまいましたし、ここは手をお貸しするのが正しき行いでございましょう。

 それにしても、バルグルーフ首長はずいぶんと面白いおかたのようでございますね。
 人々の噂では、弱虫に見られたくないといった見栄で兵士を動かすような人物、といった酷評もございましたが、民を守ることを第一と考えすぐさま行動に移す実行力もさることながら、イリレス様に「これは栄光か死かという戦いではない」と、生還するよう忠告するところなど、義侠心と強い思いやりのあるおかたのようでございます。
 そのような首長をお助けするためと思えば、ここは潔く、記者だからなどと言い訳がましいことはやめにして、以前の狩人であるわたくしに立ち返るといたしましょうか。
 幸いこちらにはファエンダル様という戦力もあることでございます。
激励演説中 街の中、門の前でイリレス様が、衛兵たちに檄を飛ばします。……興奮のあまり、ということでございましょうか。おっしゃっていることが支離滅裂な気もいたしますが、これはきっと、"外の世界"で発生している間違いなのでございましょうね。(※2)

 いよいよ街の外に出ると、ドラゴンが目撃されたという西の監視塔へ向かいます。
 いつの間にか、雨が降ってまいりました。まだ正午を少し回ったところだというのに、当たりは一転して灰色に代わり、暗く陰ります。
 それに、一泊している間に、イソルダ様がおっしゃっていたカジートのキャラバンが、街の外に到着していたようでございます。……こんなタイミングでキャラバンのかたのお話をうかがうわたくしもどうかとは思いますが……。

雑貨商:リサード様 商隊長:マランドゥル様 美しき女戦士:カイラ様 

 左は店の窓口をしていらっしゃるリサード様。様々なものを取り扱っていらっしゃいます。
 右の鎧姿の女性カイラ様は、キャラバンの護衛をなさっていらっしゃるのでしょう。隠密のトレーニングを受けることもできるようでございます。それにしてもお美しいかたでいらっしゃいますね。りりしくもしなやかな、カジート族ならではの美貌ではございませんか?
 真ん中はキャラバンのリーダー・マランドゥル様でいらっしゃいます。上唇(?)から垂れる髭がなかなか貫禄のある風貌でいらっしゃいます。
 他、アタバーという女性もいらっしゃるのですが、このかたはムーンシュガーの一種中毒なのでしょうか。かなり危うい感じがいたします。お客の前で変なことを言うなと、マランドゥル様にたしなめられていらっしゃいました。マランドゥル様の奥様でいらっしゃいますか? ちなみに、別の機会にお二人のお話をうかがうと、「帝国とストームクローク両方に武器を売れ。そうすればどっちが勝っても取り入ることができる」と言うマランドゥル様に対して、「そんなことをすれば、負けた方に武器を売ったと、勝った側から咎められるに決まっている」と指摘していらっしゃいましたね。

襲撃された監視塔 さて、ずいぶんのんきなことをしてしまいましたが、そろそろイリレス様を追いかけなければなりますまい。
 西の監視塔は、たしかになにものかの襲撃を受けたような有り様になっておりました。
 散開して生存者を探せ、という号令のもと、塔に近づきますと、かろうじて一人だけ生き残った衛兵がいる様子。
 そして間もなく、空に朗々とした鳴き声が響き渡ったかと思うと、ドラゴンが……おや? ヘルゲンで見かけたドラゴンに比べると、色が淡いような……? ヘルゲンのドラゴンはもっと黒く、体表のトゲも際立っておりましたし、頭部の角もかなり特徴的でございました。
 それに比べるとこのドラゴンは、いくぶんか小型にも見えます。
 とはいえドラゴンはドラゴン。
 わたくしは監視塔に上り、その屋上から弓を射ることにいたしました。
 幸いドラゴンはわたくしを狙うことはなく、むしろ半ばまではわたくしの存在に気付いていたのかどうか。ともあれ何事もなく討伐することがかないました。
 それにしても、時々聞こえる言葉のようなものはいったいなんなのでございましょうか。それに、「ドヴァーキン、やめろ」という声が……。イリレス様のものでも、衛兵のかたのものでもなく。そもそもわたくしは監視塔の上におりましたのですから、彼等、地上で戦う者の声など、張り上げる雄叫びくらいのものしか聞こえないはずでございます。

 お二人、衛兵のかたに犠牲者は出てしまいましたが、ファエンダル様は……ああ、良かった、ご無事でいらっしゃいますね! しばしお姿が見当たりませんでしたので、万一のことでもあったのではないかと心配いたしました。
 それにしても、ドラゴンとは……しかもそれを、わたくしたちで撃退することが可能だとは驚きでございます。
突然光を発し塵と化していくドラゴンの遺骸 物珍しさに、ドラゴンの屍に近づいてみますと―――急にドラゴンの体が燃え上がり、しかし熱はなく、そこからなにか強い風のようなものが吹きつけてまいりました。
 そして……おや、なにか、……なにかを、わたくしが得たような……? ドラゴンの、魂、でございますか?
 近くにいらっしゃいました衛兵が、「おまえはドラゴンボーンだったのか」とおっしゃいます。
 ドラゴンボーン? ドラゴンを倒し、その力を得ることができる存在?
 シャウト? 鍛錬せずにドラゴンのように叫べる?
 そういえば……ブリーク・フォール墓地にて、「力の言葉」とやらを習得いたしましたか。
 試しにやってみますと、たしかに、なにやら強い風のようなものを吐き出すことができたようです。
 ―――いや、わたくし、こんなことができても生活の役立つわけでもなく……。まったくもって、ありがた迷惑としか申しようがございません。
 ともかく、バルグルーフ首長には報告に行かなければなりませんね。イリレス様はしばらくここで指揮を執るとのことですので、連絡係はお引き受けいたします。

 ホワイトランへ向かう道すがら、突然地面が……いえ、空が揺れるような妙な衝撃がございました。
 そして空の中に、なにやら響き渡る声。年経た男性の声で、ドゥ・ヴァ・キーン? と言ったように聞こえましたが……。
 ドラゴンズリーチのバルグルーフ首長のところへ報告に上がりますと、帰途に聞いた声がグレイビヤードがわたくしを呼ぶ声であり、ハイ・フロスガーという場所でこのシャウトの使い方を学んでこいと申し付けられました。更に、ホワイトランの従士に任命されてしまいました。首長が与えられる権限の中で最高のものだそうです。
 大変ありがたく、名誉なことかとは存じますが、本来の職務からどんどん離れていっているような気がいたします。
 ……とりあえず。
 せっかく土地、家を買う権利をいただいたことですし、ホワイトランにはバトル・ボーンとグレイ・メーンという、帝国、そしてストームクロークそれぞれに肩入れする名家もあるのでございますから、まずはこの地に、自宅を持つことを第一の目標といたしましょう。
 その過程で取材を続け、落ち着いたところで、他の大きな都市にも出向いて政情を探ってみるのが良いかもしれません。
 ハイ・フロスガーなる場所や、その他、住民のかたから頼まれているお仕事も、その中で果たせるものは果たし、報酬をいただいていくとして、いささか今日は疲れました。『バナード・メア』にて早く休みたいものでございます……。


※1:自宅のベッドで眠る場合と、宿などで一定時間きちんと休む場合、ステータスにボーナスがつきます。宿だとスキルの上昇率UP効果です。ちなみにこういった「付加効果」は、メニューの「魔法」の中にある「有効な効果」から確認できます。
※2:「ドラゴンに殺されろっていうの?」「そのとおり」とか、よく分からない台詞になっています。「この戦いから逃げてノルドと名乗りなさい」というのもおかしな翻訳です。意味としては、「この戦いから逃げてノルドと名乗るつもりなの?」な感じでしょうが……。