スカイリム取材記 1

 

【ヘルゲンにて】

Algila わたくしは、名をアルジラと申します。
 シロディールよりこのスカイリム(※1)へ、「キャシーのタムリエル突撃レポート★」の特派員として派遣されて参りました。
 当初の予定では、昨日の晩にはヘルゲンの宿に着き、ゆっくりと体を休めているはずが、なんの因果か、この地の内乱騒動に巻き込まれてしまった模様でございます。
 突然兵士たちに取り囲まれ、拉致され、身ぐるみ剥がされた挙げ句に護送馬車の上。なんたる不覚でございましょう。しかし、隙を見て飛ばした伝書烏は、キャシー局長からこんなメッセージを持って帰ってまいりました。
《貴重な体験なんだから、なんとか切り抜けてレポートよろしく! 大スクープのチャンスだヨ。ガンバ★》
 ……時々、局長を後ろから射殺したい衝動にかられます。しかし仮にわたくしが天下に並びなき射手であったとしても、スカイリムからシロディールまで飛ぶ矢はありますまい。ましてやわたくしは一介の記者でございます。
 そうこうしている内に手を拘束され、予定とは違った経緯で、ヘルゲンの村へ辿り着くこととなりました。

 護送中にレイロフという青年が教えてくれたところによりますと、今このスカイリムでは内乱が起こっいるとのことでございます。彼はその反乱軍、「ストームクローク」の一員のようでございますが、共に乗せられているロキールという男は、単なる馬泥棒がとばっちりで捕まっただけのよう。私のように、単なる取材で来て、何一つやましいことはしていないのに誤認逮捕されたことに比べれば、馬泥棒は立派な犯罪、自業自得ではございませんか? 彼に文句を言う権利があるならば、わたくしには一人や二人、始末する権利くらいありそうなものでございます。
 それにしても、まさか護送馬車に反乱の首謀者、ウルフリック・ストームクロークが同乗しているとは、思いもよらぬことでございました。
 しかし彼は口を布で覆われ、口がきけない様子でございます。レイロフ青年たちの話をうかがっておりますと、ウルフリック・ストームクロークは「声の力」でスカイリムの上級王を殺したとか? 「声の力」とはなにか、わたくしには分かりかねますが、言葉、あるいは声が殺傷能力を持っているということなのでございましょう。そのためにこうして、猿轡をかまされていると察せられます。無論、これでは取材などできようはずもございませんし、わたくしには一般常識というものがございます。このような状況で記者根性など発揮しても、まともな取材が進むわけもないことは明白でございましょう。

 そのようなことを考えている内に、とうとうヘルゲンに到着いたしました。
 あいにくと、「体当たりレポート★」が信条の局長のもとに勤務しておりますので、事前情報といったものはほとんど持ちあわせておりません。周りから聞こえてくる話し声、野次によると、シロディールを中心に、一応はタムリエルを統率する……厳密には「統率していた」帝国と、それに反旗を翻したストームクロークたちと、住民はそれぞれに肩入れしているようです。
 政治報道はこのアルジラの本望とするところ。なんとかこの窮地を切り抜けて、内乱に関する詳細を調べあげたいところですが……。

残酷シーンにつきご注意(←見せておいて遅い と、このようなことを書き記している以上、無事であるのは言うまでもございません。
 しかし、いっときはもう駄目かと思ったものです。
 死者の神であるアーケイへの祈りを捧げる司祭を遮り、殺すなら殺せと言わんばかりのストームクローク兵。その一人が斬首されるや否や、いきなりわたくしの順番です。
 ウルフリックというストームクロークのリーダーがそこにいるわけですし、ストームクロークの兵士も他にいるのに、いったい何故こんな理不尽な順番なのでしょうか。普通わたくしのような取るに足りぬ者は、もっと後、もののついででよろしいのではございませんか? それとも単に、これ以上別の者を処刑していると"見ているだけの者"が退屈するという"外の世界"の事情でしょうか。
 それはさておき、生首が眼前に転がる斬首台は、とても正視に耐えるものではございませんでした。
 すると、どこからか獣か鳥の鳴くような声がします。しかも、空に響き渡る朗々とした声は、聞くだけでその体躯の巨大さを思わせるものでした。
この状況下で撮影するのは我ながら良い度胸であったかと しかしそれらしき獣の姿は誰の目にも見えず、わたくしの目に映るのは斧を振り上げた処刑人の姿ばかり―――と思ったそのとき、処刑人の背後にある塔の上へと舞い降りたのは、決して、決して目の錯覚などではございません。漆黒の巨大なドラゴン、そう、ドラゴンだったのでございます。

 わたくしがこうして生きているのは、ドラゴンの襲来によって処刑どころではなくなったからなのです。
 ドラゴンなどというものは、ただのお伽話、伝説だったのではなかったでしょうか。しかしわたくしが自らの目で見たものを疑うわけにもまいりません。
 村を襲ったドラゴンから逃げ惑う人々の中、わたくしは、ストームクロークのレイロフ青年に導かれるまま、砦へと逃げ込みました。
このかたが反乱軍のリーダー、ウルフリック・ストームクローク氏でございます どさくさまぎれに逃げ出したのは、レイロフ青年はもとより、ウルフリック・ストームクローク氏も同じのようでございます。逃げ込んだ砦の中では、氏も猿轡をはずしておられました。なかなかの美男子ではないかと存じます。
 その後わたくしは、レイロフ青年といったん別れ、帝国軍の兵士であるハドバル青年と、束の間行動をともにしました。
 彼は帝国軍、わたくしを処刑せんとした軍の兵士ではありますが、リストに名のないわたくしの処遇について、上役にうかがいを立ててくれたり、また、同情と憐れみを示してくれた青年です。彼はともかくわたくしを連れ、ドラゴンの襲撃をかいくぐって逃げ道を示してくれました。
 そして最後にわたくしは、レイロフ青年とハドバル青年、どうやら知り合いであるらしい彼等に、それぞれに「ついてこい」と促され、レイロフ青年とともに行くことを選びました。ハドバル青年自身は決して悪人でもなく、冷酷でもないようですが、やはり彼は帝国兵士。わたくしを処刑台へと乗せた者には相違ございません。

鎧をいただきました レイロフ青年について入った砦で、わたくしは拘束を解かれ、死したストームクローク兵より武器と防具を拝借しました。レイロフ青年は、同志であったその遺体に「ソブンガルデでまた会おう」と語りかけました。
 寡聞なわたくしでも、ソブンガルデという名前には聞き覚えがございます。たしか、ノルド族(※2)の信仰において、この世を旅立った後に訪れるあの世のことではなかったかと存じます。
 そうこうしている内に、わたくしたちと同じく砦へ逃げこんでいた帝国兵が、別の場所からこちらに近づいてまいりました。
 ストームクローク兵の遺体から【鉄の片手斧】なるものを入手はいたしましたが、わたくしは、記者でございます。決して戦士ではございません。大変申し訳なくは思いますが、ここはレイロフ様、戦闘は貴方様にお任せいたしまして、わたくしは邪魔にならないところでそっと様子をうかがっていたいと存じます。
 幸いにしてレイロフ様は大変お強く、わたくしがただそっと見守っているだけでも、難なく帝国軍の将校と兵士を倒してしまわれました。
 とりあえずわたくしといたしましては、ストームクロークの鎧よりも僅かばかりなれど防御力の高い、帝国軍の鎧に着替えさせていただきたく存じます。

 実際のところわたくしは、無用な殺生を大変嫌っております。かつては狩人として日に何匹かの獣を獲って暮らしておりましたが、それはあくまでも暮らしに必要な分だけでございました。相手が獣であれ人であれ、戦わずに済むのであればできるだけ戦いたくはございません。
 しかし、そのようなことを申していては、この先まともに取材を続けることもできない気配。とりあえず今は、レイロフ青年が張りきって戦ってくださいますので、わたくしはそっと、見守ることにいたしたく存じます。
 それでも難なく砦から洞窟を抜け、無事にヘルゲンから脱出いたしました。
 洞窟から出た直後には、空を悠然と舞うドラゴンの姿も見えましたが、どうやら遠くに飛び去り、戻ってくる様子はないようでございます。
 レイロフ青年は「ここらで別れたほうがいいかもな」とおっしゃいますが、ついて行くと、それはそれで嬉しそうなご様子でいらっしゃいますし、リバーウッドという町に姉がいるから、会って話せば少し助けになってくれるだろうともおっしゃいます。
 わたくしとしては、荒事に関わるのは勘弁願いたい反面、このスカイリムでの取材のためには、安心のできる足がかり、旅の拠点を適宜 築いておきたいところでございます。それになにより、政治的な動乱の現場に居合わせたことは、記者としては僥倖と言えましょう。レイロフ青年を通じて、反乱軍ストームクロークとなんらかの接触が持てる可能性もござます。
 そこでわたくしは、レイロフ青年とともにリバーウッドの町へ行くことにいたしました。

 道中、大立石の中でも特に大守護石と呼ばれる守護石に詣で(※3)、戦士座の恩恵を得ることもできましたし、出てきたオオカミはやはりレイロフ青年がさらりと退治してくださり、わたくしは皮だけ剥ぎとり、頂戴いたしております。
 どうにも危険が伴うこの旅路、恩恵を得るならば戦士座であろうと考えてしまうとは、わたくしもまだまだ、記者魂が足りないのかもしれません。


※1:シロディール、スカイリムはどちらも、タムリエル大陸の「地方」の名前です。たとえるなら、北米大陸にあるUSAとカナダ、という感じです。
※2:ノルド族というのは、タムリエルに暮らす人種の一つです。金髪に白い肌が一般的で、あえて言うならば「北欧ヴァイキング」的な性格の持ち主です。
※3:調べることにより、なにか一つの恩恵を受けられます。ここにある3つき、基本のスタンスである戦士・魔術師・盗賊、どれか一つの系統のスキル上昇速度を上げるもの。他、防御力が上がるとか、全系統のスキル習得が早くなるけれど、効果は個別のものには及ばないなど、いろいろあります。調べるごとに付け替えられるので、あまり気にせずゲットしてOKです。

 

【リバーウッドの村】

 リバーウッドは、その名の示すとおり、川のすぐ傍に作られた町でございました。
 スカイリム地方はタムリエル大陸の中でも最北端。非常に厳しい気候であるとうかがっておりますが、このあたりはシロディールからもそう遠くなく、緑も豊かなようでこざいます。
 ご紹介いただたジャルデュル様というご婦人は、伴侶のホッド様ともども製材所で働いているとのこと。レイロフ様はわたくしを、「仲間ではないが友達で、命の恩人」と紹介してくださいました。……いえ、わたくしにとってこそレイロフ様が命の恩人なのであって、わたくしはなにもしていないのですが……。
 ともあれ、兄弟を助けてくれたお礼だと、ジャルデュル様は食料や飲み物をたっぷりと分けてくださいました。実用面ではあまり意味のない食料品。ですが、たとえ1ゴールドでもお金はお金ですし、気分的に、なにやら口に入れたいこともあるでしょう。ありがたく頂戴いたしました。

 ところで、ジャルデュル様には一人、フロドナー様という男のお子様がいらっしゃいます。彼は大変レイロフ青年を慕っているようで、レイロフ叔父さん、と嬉しそうに呼びかけていました。
 それは良いのですが、一人前の戦士になって戦いたいという少年と、それを焚きつけるレイロフ様、そしてなにも言わずにそれを見ておられるジャルデュル様。ノルドにとって、戦うことはそれほど栄誉なことなのでしょうか。普通の家庭であれば、我が子が戦いたがれば、母親はそれをたしなめるものではないかと思います。少なくともわたくしの父母であれば、生業として狩人になることは当然としても、戦争に出るための兵士になるなどと言えば断固として反対したに違いありません。
 ですがここはノルドの国。わたくしが口を出すことではあるまいと、黙って拝聴しておりました。

 さて、道中、兵士の死体から礼儀正しく頂戴してまいりました武具もあり、ジャルデュル様からいただいたものまで所持すると、荷物の重さに走ることができなくなってしまいました。(※1)
 どこかに店はないかと思いますが、そろそろ日も落ちる頃合い。ジャルデュル様からは家の鍵もいただいたことですし、今晩は一泊させていただいて、明日の朝にでも換金を行い、情報収集に努めるといたしましょう。
 ジャルデュル様とホッド様の自宅にお邪魔し、朝まで休ませていただくことにいたしました。
 なお、いただいて良いものはすべていただく、というのが、このタムリエルでの処世術でございます。種族に関わらず、構わないと言えば本当に構わないのがわたくしたちタムリエルの住人。ジャルデュル様の家でも、持っていかれては困るのは薬が一つだけで、それ以外のものは鍋釜のたぐいからカゴ、食料まで、すべていただくことができました。
 明日にはこれらを売却し、換金できるものとできないものを確かめるといたしましょう。(※2)

 翌朝。
 少し早めに起きだしたわたくしは、昨晩いただいておいた服に着替えて出かけることにいたしました。ジャルデュル婦人のものでしょうか。簡素なものではございますが、鎧兜で町を歩く趣味は、わたくしにはございません。
 いただいたものを売るために、良い店はないかと探しますと、町のメインストリート、といっても小さな町の小さな道でございますが、その通りに『リバーウッド・トレーダー』という雑貨屋を見つけました。
 入ってみると、なにやら店主と美しい女性(妹君のようです)とが言い争っているようです。
 聞けば、この店に泥棒が入り、【金の爪】という黄金製の装飾品を盗んでいってしまったとのこと。他にも同じくらい価値のあるものはあるのに、盗賊はそれだけを狙って盗み、ブリーク・フォール墓地へと逃げ込んだと思われるそうでございます。
 わたくしは記者でございますから。墓地に乗り込んで荒事の挙げ句、盗賊と大立回りして宝物を取り返す、といったことは本分ではございません。しかし、この地でうまくやっていくためには、多少なりとも人々の助けになり、逆に彼等からの助力も得られるようにしておくべきでしょう。
 既に何度か記しておりますとおり、わたくしはかつて故郷ヴァレンウッド(※3)にて、日々の生活として狩猟にいそしんでおりました。弓の腕であれば、多少は覚えもございます。
 【金の爪】の奪回につきましては、近日中に考慮してみることといたしましょう。

 まずは当座の生活資金、そして取材の軍資金、更に言えばこの旅の危険に備えるため、この町でいくらかのお金を稼いでいこうかと思います。
 まずは、薪割りに励むといたしましょう。幸い【木こりの斧】がそのあたりに放り出してありましたので、それをいただいて薪割り台に近づきます。そうして一頻り薪を割り、また重くて走れなくなる前に、買い取ってくれるかたを探すことにいたします。
 おそらくですが、製材所で働いているというホッド様かジャルデュル様が買い取ってくださるのではないでしょうか。
鍛冶屋のアルヴォア様 それから、鍛冶屋の男性に話しかけてみると、なにやらお手伝いできることがある様子。おうかがいすると、鍛冶職人アルヴォア様より、素材を渡すから【鉄のダガー】を作ってくれと頼まれました。
 ふむ……。わたくしはウッドエルフ。オーク(※4)ではございませんので、鍛冶をするのは初めてでございます。ですがせっかく材料も預かったことですし、一度試してみるといたしましょう。
 鍛造器具で選ぶだけで簡単に作れてしまい、こんなもので良いのかとおそるおそる見ていただきますと、やはり斬れ味が今一つとのご指摘でございました。しかし、これならば金属片と砥石で研げばいいと、これもまた素材を貸してくださいます。
 それに、ヘルゲンで失敬してきた【ロングボウ】も、薪を用いて強化ができるようです。【鉄のダガー】のついでに、せっかくですのでこちらも強化するといたしましょう。先ほど『リバーウッド・トレーダー』で、つい【狩猟弓】を買いそうになりましたが、節約を考え我慢して正解だったようでございます。
 さてさて、次は、皮をなめしてみろとおっしゃいます。この際ですので、いろいろと手ほどきをいただきたく存じます。皮なめしの棚を使い、レイロフ様が倒してくださったオオカミから剥いできた皮なども合わせて、革へと加工いたしました。
 今度は【皮の兜】でございますね。これも鍛造器具にて作成し、作業台を使用して強化、と……。せっかく革もたくさんあることですし、念のための防具として所持している軽装鎧たちも強化させていただきましょう。
 そうこうしている間に、わたくしの鍛冶スキルも少し上昇したようです。
 アルヴォア様は、その兜とダガーは持っていけばいいとおっしゃいます。わざわざ素材まで用意してくださった上に、作製したものはわたくしがいただいて構わないとは、なんと剛気なことでしょうか。お言葉に甘えまして、ありがたく頂戴いたします。(※5)

 しばらくお世話になるリバーウッドの町。見かけたかたがたにもご挨拶をと思って町を回っておりますと、ウッドエルフの男性を見かけました。懐かしさのあまり話しかけてみますと、このファエンダル様はどうやらスヴェンという吟遊詩人と、恋の鞘当て中の様子でございます。カミラという女性はたしか、『リバーウッド・トレーダー』店主の妹君のことでしたか。
 「これをスヴェンからだと偽って、カミラに渡してくれ」と偽の手紙を預かりました。
 いえ……同郷のよしみで、ある程度のことは手助けてできるならと思いますが、このような卑怯な手段で射止めたところで、間もなくボロが出るのは目に見えているのではございませんか? 偽の手紙でスヴェン氏への失望を植えつけられたとしても、貴方ご自身の評価が高まるわけでもなし。正々堂々と恋の勝負をしようというならば、同族を贔屓し手助けしたいとも思いますが、これはさて、どうしたものでございましょうか。

足元にあるのはキャベツ……昨晩失敬いたしました 散策の途中、民家の裏手にある小さな庭で、畑仕事に精を出されるご婦人をお見かけいたしました。名と素性を告げご挨拶してみると、シグリッド様とおっしゃるご婦人は、まったくもって思いもよらないことをおっしゃいました。
貴方が可愛いのは認めるわ。でも夫のアルヴォアには近づかないでね」。
 えー……わたくし、既に皆様にはポートレイトをお見せしておりますが、よく男性に間違われます。ことに人間の皆様からは、めったに女性だと気付かれないのですが……。はあ。あまりにも慮外のことを言われますと、褒め言葉をいただいてもピンとこないもののようでございます。
 ともあれ、アルヴォア様には鍛冶の手ほどきを受け、製造したものまでいただいてしまいましたが、なればこそ決して、平穏なご家庭に不和をもたらすようなことはいたしません。シグリッド様。どうかご安心を。

 次は、そうでございますね。ジャルデュル様のお宅にご厄介になる以上、宿を利用することはないかと存じますが、『スリーピング・ジャイアント』を訪ねるといたしましょう。
 酒場も兼ねることが多い宿屋は、情報の宝庫でございます。
美男子……なのでしょうか こちらが例のスヴェン様のようでございますね。……やはりわたくしといたしましては、恋の勝負は正々堂々と、競っていただきたく存じます。
 そこでスヴェン様に、このような手紙をカミラ様へ渡すようにファエンダル様に渡された旨を告げましたら、……この男どもはどっちもどっちでコソコソと!! ……失礼いたしました。スヴェン様もまた、この手紙をファエンダル様からのものと偽ってカミラ様に渡してくれと言われます。はあ……。カミラ様。少なくともこのお二人は、おやめになられるのが賢明かと存じますよ。
女将、といったところでしょうか さて、こちらはこの宿の主デルフィン様でございます。実に耳敏いかたで、既にわたくしのこともお聞きおよびのご様子。ですが、あれこれ嗅ぎまわるなどとは滅相もない。
 この宿の主はデルフィン様のようでございますが、諸事はオーグナー様とおっしゃる男性が請け負っていらっしゃるご様子。宿泊に関してのみは、デルフィン様にお声をかけなければならないようでございますが、飲食物の売買や、宿での噂話、傭兵のように請け負える仕事に関しては、オーグナー様が窓口のようでございます。
 オーグナー様に話しかけますと、ホワイトラン地区の首長から回ってきたものだと、賞金首の情報をくださいました。なにか噂話をお聞きでないかと尋ねてみますと、ウィンドヘルムのある少年が、「闇の一党」と接触しようとした、という情報を得ました。
 「闇の一党」と言えば、名の知れた暗殺者集団ですが、近年はとんと活躍を聞きません。それでも人の世はいつでも、彼等を必要とするもののようです。わたくしはできるだけ関わりたくはないものでございます。
宿屋:スリーピングジャイアント なお、こちらがこの宿、スリーピング・ジャイアントの外観でございます。
 穏やかな川辺の村に相応しい、簡素で落ち着いた佇まいかと存じます。
 ところで、「眠れる巨人」とはまた面白い名前ではございませんか? わたくしのこれまでの旅の経験から申し上げますと、時には店主が店名の由来などを語ってくださるものですが、デルフィン様もオーグナー様も、宿の名の由来については一言もおっしゃいませんでした。
 ともすると、どなたかから引き継がれたもので、由来などは聞いていらっしゃらないのかもしれません。「眠れる巨人」……なにやらいわくありげでございますね。(※6)

 ところで、不実の塊のような手紙をいつまでも持っているのも気が進みませんので、とりあえずカミラ様のいらっしゃるリバーウッド・トレーダーを訪ねることにいたしました。
 良心が咎めますもので、これが偽の手紙であるとカミラ様に打ち明けますと、おや、ファエンダル様の株が上がったのでしょうか。わたくしとしては、彼もまた同じような姑息な手段をとろうとしていたと伝えたい気持ちでいっぱいなのですが、これ以上はどうしようもない様子。仕方なく、ファエンダル様のもとに報告に向かうことにいたしました。
 ささやかながらお礼のお金をいただきはしましたが、この件の報酬は貴方様の弓の腕で返していただきたく存じます。(※7)
 そうですね、【金の爪】を取り返しに行くときには、ついてきていただくとしましょう。

 あとの時間は、日暮れまで再び薪を割って過ごすことにいたしました。
 なにせ、雑貨屋では2ゴールドの薪ですが、ホッド様は5ゴールドで買い取ってくださいます。(※8) 薪割りのポーズが勇ましすぎるなどと、ささやかな文句をこぼしている場合ではありません。
 すぐ傍の製材所で材木の加工を進めているホッド様に再び薪を買い取っていただき、もう少し町を散策してから、ジャルデュル様の家に戻るといたしましょう。

 散策の際、ファエンダル様の家を見つけましたので、立ち寄ってみることにいたしました。
 すると案の定、恋の仲立ちをしたせいか、宝箱さえ開けて良いご様子。中のアメジストだけはいただくわけにはまいらないようですが、他はお金ですらいただくことができました。―――持っていっていいものであれば、遠慮はいたしません。【狩猟弓】から【鉄の矢】【鉄の片手斧】まで、幸い、良心の呵責というものは、この件についてはあまり覚えておりませんので……。


※1:キャラクターが持ち運べる重量には限界があり、その上限値は「スタミナ」のステータスを強化したり、スキルを取得することで増えていきます。所持重量を越えると、前作オブリビオンでは一歩も動けなくなりましたが、今作スカイリムでは、ゆっくりと歩くことはできるようです。マップを使っての高速移動ができなくなるのは前作と同じですね。
※2:誰の家でもどんな場所でも、「取る」と表示されたものは、もらっても構わないものです。逆に赤文字で出てきた名前や「盗む」と表示されるものは、取得する場を他人に見られると窃盗として犯罪扱いになります。鍋釜、カゴ、ジョッキなど、様々なものを手に入れることができますが、売価が0ゴールドになるものもあります。所持重量の限界があることも考え合わせると、余計な物は持たないのが鉄則です。
※3:アルジラはウッドエルフという種族です。狩猟によって生活する森のエルフという感じ。その故郷がヴァレンウッドで、タムリエル大陸の南西に位置しています。
※4:オークはよく出てくる種族名なので分かりやすいと思います。戦闘的な種族で、鍛冶にも秀でたスキル設定になっています。実際、戦闘と鍛冶は小さな頃から学ぶそうです。
※5:つまりこれ、初めて鍛冶をしている人に話しかけたときに発生する、「鍛冶」のチュートリアルなのです。
※6:ゲーム上では一切語られませんが、メインクエストを進めていくと、「もしかして」と心当たりになるようなことは判明します。
※7:力を貸すことで、サポートキャラクターとしてついて来てくれるようになるNPCがけっこういます。
※8:薪割りは、【木こりの斧】を持っていると行えます。リバーウッドでは、製材所のすぐ傍の、作業テーブルみたいなものの上に置いてあります。時々ジャルデュルがそこに手をついてじっとしていますね。すぐ傍に薪割り台。ホッドは製材所の木材カッターのところにいるか、自宅、そのへんを歩いています。

 

【ブリーク・フォール墓地へ】

良い天気です 一夜明け、さて、ただ薪を割っているだけでは旅に出た甲斐もないことです。
 例の【金の爪】でも、探しに行くといたしましょう。幸いファエンダル様という、弱みをに……いえ、快くご助力くださるかたもいらっしゃることです。
 ゆっくりと休んで朝7時半。ジャルデュル様の家を出ますと、今日は実に良い天気で、思わず感嘆の声が漏れてしまいました。
 昨日撮影した宿の写真をご覧いただいてもお分かりかと存じますが、スカイリムはとにかく暗く、モノトーンの世界でございます。ヴァレンウッドからシロディールを経由して参りましたわたくしなどは、なんと物寂しい土地なのだろうと思うばかりでございました。
 しかし、ただこうして晴れた日がありがたく感じられるなど、故郷では決して味わえなかった感動かもしれません。藁屋根の色、木々の色。遠くにそびえる峻険なる岩山。反乱軍に間違えられて逮捕されるなどという惨憺たる始まりであったわたくしの取材旅行ではございますが、このスカイリムの魅力を皆様にお伝えすることには、いっそうの使命を感じる次第でございます。

 さて。
 ファエンダル様を探しますと、どうやら早朝から薪割りでもなさったいたのでしょうか。アルヴォア様の鍛冶場近くに薪を置いているお姿をお見かけいたしました。
 声をかけ、ついてきていただけるようにお願いいたします。
 そしていよいよ、山の上の墓地を目指すことにいたしました。
 道中、突然現れたオオカミを一射にて仕留めるところは、さすがファエンダル様。弓術のトレーニングを頼めるほどの腕前でございます。この分でございますと、わたくしはやはり戦わなくても良さそうで……。
 とも言っておれませんので、通りすがりの古びた監視塔では、山賊たちからいくばくかの戦利品を頂戴いたしました。
 戦利品取得のコツは、重量に比して売価の高いもの、でございます。売価が「重量×7」以上か、その前後であることが、わたくしの基準でございましょうか。これが帰途であれば、持てるだけのものを持てば良いのですが、これより探索に向かう以上は、ぎりぎりまで選別するべきでございます。

 それから、忘れてはならないのが、コンパニオン(仲間。この場合ファエンダル様でございますね)への武器・防具の受け渡しでございます。
 ついてきてくださるかたに話しかけることで、荷物を持っていただくことができます。ファエンダル様の場合、なんと普段着、防具は一つとして装備しておられません。いくらアーチャーでもこれではあまりにも心もとなく、ことにわたくしが決して前衛に出ないつもりであります以上は、もう少しマシな装備をしていただかないことには困ります。
 こういった場合も、防具を渡せば自動的に身につけてくださいます。選ばれるのは「中で最も売価の高いもの」と耳にしたことがございますが、定かではございません。もっとも、そのあたりの山賊から頂戴したものではどれも似たり寄ったりでございますね。それでも、ないよりは格段にマシでございましょう。

さして高い山に昇ったわけではないのですが それにしても今朝はあれほど美しく晴れておりましたのに、軽く山を登る間にこれでございます。空は曇り、雪が舞い散り、積もった粉雪は風にあおられて舞い上がります。
 南の生まれのわたくしにはかなり厳しい環境でございますが、思えばファエンダル様は、このリバーウッドにしばらくお住まいのご様子。こういった厳寒の中で狩りをして生計を立てていらっしゃったのでしょうか。女性関係に関しましてはさておき、いささかの尊敬の念も覚えます。

 ブリークフォール墓地には、どうやら、【金の爪】を盗んだ盗賊たちがたむろしているようでございいます。敵が潜んでいるのであれば、遠めの距離で隠密するのが得策。なにせこちらは弓使いが二人。いかに先制するかは重要でございます。
 墓地の入り口前にいた山賊を一掃し、いよいよ墓地の中へ。かつて獲物を追ったヴァレンウッドの森の中と、この石造りの迷宮は、似ても似つかぬ場所でございますが、なにやら心が踊るのは狩人のさがでございましょうか……。

奥に二人佇む影が 中に入りますと、男女二人の盗賊がなにやら話している様子でございます。幸いこちらにはまったく気づいておりませんので、隠密でそっと間合いを詰め、会話が聞こえる場所、そして弓が十分に効果を発揮する距離まで近づきました。
 アーヴェル、というのが山賊の首領の名でございましょうか。【金の爪】という言葉も聞き取れます。
 彼等とは別に、山賊の死体が一つ転がっておりましたところから見て、悪党にはよくある仲間割れも発生している様子。
 ともあれ、気付かれない間合いから一射。呆気無いものでございます。

蜘蛛の巣だらけの通路 それにしても、ずいぶんと蜘蛛の巣が目立つ墓所でございますね。通路いっぱいに広がった蜘蛛の巣は、この程度の密度であれば進路を塞ぐことこそございませんが、あまり気持ちのいいものではございません。
 ところどころにスキーヴァー(巨大なドブネズミでございます)の死体があるのは、山賊たちが始末したものでしょうか。それとも……スカイリムには巨大な毒蜘蛛が生息していると聞いたこともございます。その巨大蜘蛛の仕業ということも、考えに入れておかなくてはなりますまい。
 どちらにせよ、用心して進むに越したことはございません。
中身は数ゴールドであることも多いのですが 道中、見つけました埋葬壺からはしっかりと小銭をいただいてまいります。洞窟や、遺棄された神殿などにある壺、埋葬壺には副葬品としてお金や宝石が仕舞われているものです。これを頂戴することは、決して咎められる行為ではなく、タムリエルの冒険者にとっては日常のことでございます。
 それにしても、こうして獲物を追い、気付かれぬように隠密行動を心がけておりますと、故郷にて兄とともに狩りに励んでいた頃を思い出してしまいます。ファエンダル様のような軟弱も……いえいえ、女性とよろしくやることに対して積極的ではない兄でしたが、二人で獲物を追うという行為は、なにやら懐かしい心地もいたします。

 幸いにして盗賊一味は、それほど大所帯ではない様子。入り口付近の二人以外には、途中で一人 見かけただけでございました。
 墓所の外にも数人、たむろしていたのがおりましたが、これだけ大きな墓所の盗掘を行うにしては、いささか人員が少なすぎるようにも思えます。少人数で無理をして、全滅ということにならなければ良いのですが……その全滅に加担するであろうわたくしの申し上げることではございませんでしたね。

閉ざされた柵と、レバー、そして……彫刻

 ほとんど無人の墓地内部を進んでいきますと、このような場所に辿り着きました。
 ふむ……狩りとは、観察眼の勝負でもあります。
 レバーをただ引いても柵が開かないのであれば、怪しいのはこのレリーフ。脇を見れば、同じような彫刻の掘られた柱が3つ。これは回転させることができるようです。
 ……賢明なる皆様は、もうお気づきでございますね? 3対3。ですが壁の一部は崩れ落ち……。
 下に崩れ落ちている一つに気付かないと、片っ端から試すことになるのやもしれません。ですが、それにしたところで最大でも3度だけのこと。この壁に掘られているレリーフにも気付かいなのでなければ、そう大した手間ではございますまい。
 こういった仕掛けは、おそらくスカイリムの遺跡を探索するかぎり、幾度となくお目にかかることでございましょう。この墓所のものは、その中ではずいぶんと簡単なものに違いありません。
 わたくしはあくまで記者でございますし、冒険などに血道を上げるつもりは毛頭ございませんが、いざというときのため、心しておいたほうが良さそうでございます。

一巻目を読んでからにいたしましょう 柵を上げて進んだ場所にて、「盗賊」という書籍を発見いたしました。
 読むだけでスリの技能が上昇するスキル書でございますが、スリなどと。わたくしは決して行うことはございません。
 しかし、書物には大変興味がございます。少し読んでみると、この書籍は二巻目にあたるもので、一巻目の「物乞い」があるとか。「物乞い」を先に読むべしと書かれておりますので、気まぐれではございますが、そのとおりにすることにいたしましょう。
 なにより今は墓所の中。盗賊もまだ残っているとすれば、読書の時間ではございますまい。

 更に奥へと進み、狭い螺旋階段を降りたところで、壁越しに男の声がいたしました。
 どうやら彼も盗賊一人のようでございますが、切羽詰まった声でございます。わたくしたちの足音でも聞いたのか(不覚でございます)、誰かが近づいてきていることには気付いたものの、しかしそれが誰かは分からず、わたくしたちを仲間の中の誰かだと思い込んでいるようでございます。
 しかし、宝を独り占めしようとして【金の爪】を持ち逃げし、その挙げ句、「助けてくれ」と言うということは、何事か起こったのでございましょう。この蜘蛛の巣だらけの墓地を見れば、大方の予想はつきますが。
巨大な蜘蛛 切り払わなければ進めないほどみっしりと張られた蜘蛛の糸でも分かるとおり、フロスト・スパイダーがアーヴェルを絡めとってしまったようです。
 それにしても、人の背丈を越えるほど巨大な蜘蛛とは……。
 わたくしたちにも襲いかかってきます以上、蜘蛛退治に来たわけではないなどと申してもおられません。
吸われた、のでしょう 巨大蜘蛛を片付けてアーヴェルという名らしき男に近づいてみますと……えー、この干からびた死体、ロックピック(鍵開けの道具でございますね)を持っているところからして、仲間の盗賊のなれの果てでございましょうか。
 とすると、やけに山賊(盗賊)の数が少なかったのは、幾人かは既にこうなってしまったから……? 自業自得とはいえ、憐れな末路でございます。
 アーヴェルは、蜘蛛の糸を切り払って助けてやりますと、案の定、何故宝を分け合わねばならないと逃げ出しました。
 これがわたくしの道楽による探索であれば、面倒くさいので放っておいても構いませんが、【金の爪】を持ち逃げされてしまっても困ります。今回は【金の爪】を取り返しに来た以上、追うしかありません。
 しかし、行く手を阻むは魅惑の魂石(※1)や壺……いえいえ。ドラウグルたち。古代ノルドの墓にいるという、一種のゾンビでございます。
自業自得です で、天罰覿面、わたくしたちが必死に追わずとも、ドラウグルに殺されてしまったようでございますね。おとなしくわたくしたちと来れば、こうはならなかったものを……。
 遠慮なく、死体から【金の爪】を取り戻し、日記? マメな盗賊だと感心しつつ、……人様の日記を拝見するなど、たとえ相手が死者であれ趣味のいいものと思えませんが、この【金の爪】について、なんらかの情報が得られるかもしれません。リバーウッド・トレーダーの兄妹も、他にも価値があるものはあるのに何故これを、と訝っていらっしゃいました。
 読んでみますと、「これで古代のノルドの力が手に入る」、「これがブリーク・フォール墓地の鍵」、「物語の広間へ行き扉を開ける」、「試練がある」と書かれております。
 ………………。この奥に、その「物語の広間」があるということでございますね……。
 とすると彼等盗賊は、この【金の爪】と「古代ノルドの力」についてなにがしかの情報を得、リバーウッド・トレーダーより【金の爪】を盗み出し、このブリーク・フォール墓地へとやって来たということでしょうか。

 ともあれ、ここまで来てただで引き返すのも、まことに芸がないと申せましょう。試練とやらが気にはなりますが、進んでみることにいたしました。
トゲ付きスイング なお、こういった遺跡にはトラップが仕掛けられていることも少なくございません。これは、床にある、模様の丸石を踏むと、壁につけられた棘つきの柵がこちらに向かって動く仕掛けでございます。
 更に、狭い通路で揺れる斧。向こう側に鎖が見えましたので、迂回路がないかと少し探したのでございますが、いっこうに見当たらず。仕方なくダッシュで走りぬけ、……はいはい、ファエンダル様が死なないように、きちんと斧のトラップは解除いたしましょう。うっかりしておりました。わたくしがトラップを止めるまで、その場で待っていただくようお願いすれば良かったと、後になって気付いた次第です。(※2)
 ここからは、壁の棚に眠るドラウグルたちが相手のようでございます。
油が広がっています そして、これは油のトラップでございますね。無論、炎を放てば燃え上がる仕組みになっております。時には天井から油壷が吊り下げられていたりもするのですが、今回はそのような仕掛けはないようでございます。
 奥に動き出しそうなドラウグルもおりますことですし、ここは、手習いで覚えた火炎の魔法でも使って、楽をすることにいたしましょう。近づいて起こした後は、いったん退避して燃やすだけでございます。ただ、ファエンダル様が巻き込まれては困りますので、今度こそ、少し待機してくださるようにお願いすることを忘れてはなりません。
 油のために燃える通路と、ファエンダル様の援護射撃で、3体ほどやってきたドラウグルはあっさりと片付けることがかないました。

大切な錬金素材でございます まだ先があるようでございます。
 途中からは天然の洞窟につながり、壁には【光るキノコ】も見つかります。
 これはスキーヴァー(タムリエルに馴染みのないかたは既にお忘れかもしれませんが、巨大ドブネズミです)の尻尾などとともに、錬金術の素材になりますので、しっかりいただいていくといたしましょう。
 【光るキノコ】があるあたりは、洞窟が緑色に明るいのですぐにわかります。このキノコはたしか、水気の多い場所によく生えるのでしたか……。
 更に先に進みますと、いよいよ「ブリーク・フォール聖域」と呼ばれる場所に到達いたしました。ここが例の、「物語の間」などがある場所でございましょうか。


 そうして辿り着いた場所が、ここでございます。
仕掛け扉 手のひら(足の裏?)に……

 なにやらいわくありげな扉……。先刻のレリーフと同じような仕掛けでございますが、どこにもヒントらしきものは見当たりません。
 しかし、そういえば……アーヴェルの死体から拝借したおり、チラリと見た覚えがございました。
 【金の爪】が鍵になっていることは、アーヴェルの日記より分かっておりましたし、その【金の爪】をよく観察してみますと……。
 どうやら鍵を手に入れることが、開けるための暗号を手に入れることにもなるようでございます。簡単で結構とはいえ、いささか不用心な仕掛けであることも否めません。わたくしにとっては、あっさりと先に進むことができて何一つ文句はござんませんが。

これは……なにやら儀式の場のような? 更に進みました先にて発見いたしましたのが、左にある場所にございます。
 明らかに人の手が入った石組みの橋がかかり、その奥に、祭壇のようなものと石棺がしつらえられておりました。
 祭壇とおぼしき場所にほど近い壁には、謎の文字が彫り込まれたておりました。
 その壁、でございましょうか。近づくにつれ、なにやら勇ましい声のようなものが聞こえます。ファエンダル様にはなにも聞こえていないご様子。いったいなにかと思い、ぼんやりと光る壁の文字に近づきますと、―――壁より、「揺るぎなき力」という「力の言葉」を習得……? さて、なんのことでございましょうか……?
 などとのんきに考えておりましたら、石棺から「ドラウグル・オーバーロード」が蘇ってまいりました。なにかありそうだ、という直観は、いつのときも役に立つものです。あらかじめ警戒しておりましたので、難なく倒すことがかないました。
 しかもこのドラウグルは、【ドラゴン・ストーン】なるものを所持しておりました。
表 裏
 さて、これはいったいなんでございましょうか。よく分かりませんが、とりあえずいただいてまいりましょう。
 傍にございました大きな宝箱より戦利品も獲得し、重くて持ち切れないものはファエンダル様に持っていただき、では、そろそろ帰るといたしましょう。
 帰りは幸い、裏口とでも言うべき抜け道がございましたので、それを利用して外に出ることができました。
 しかし……どう見ても断崖絶壁、歩いて降りる道が見えないのは……否応なく高速移動(※3)せよということなのでございますか?

 仕方なくリバーウッドに戻り、『リバーウッド・トレーダー』にて、店主のルーカン様へ【金の爪】をお返しいたしました。すると、おお、よろしいのですか、400ゴールドもいただいてしまいまして!? なかなかの大金でございます。一瞬なりとも、「この爪を売れば50ゴールドか」と考えた我が身を恥じる次第でございます。
 しかも、この手助けによって、店内のいくつかのものさえ、わたくしがいただいても構わなくなったようです。ありがたいことでございます。

 そうこうしている内に、気がつけばもう深夜、12時を回ってしまいました。
 ジャルデュル様の家で一晩休み、さて、明日は……そろそろホワイトランへと向かうといたしましょうか。
 ファエンダル様にはこのままついて来ていただくのもよさそうでございますねぇ。


※1:魂石というのは、魔力を溜めておける不思議な石です。そこに生物の魂を封じることで、魔法の武器に魔力を充填したり、エンチャント(付呪。魔法効果などを武具につける)に利用します。
※2:コンパニオンにはそういった指示も出せます。ものを拾うといったこと以外に、鍵を開けるなども、技能の持ち主であれば実行してくれます。
※3:マップ上で使える瞬間移動。ただし時間は相応に経過します。一度訪れたことのある場所、という制限はありますが、便利です。ただし、旅の雰囲気は味わえないので、そこはお好みで。