暗殺便り Part 2

【レビューしてみる 1】

一般的オススメ度 ★★★☆☆
個人的面白度   ★★★★☆
個人的気に入り度 ★★★★★

 

 一般的オススメ度としては、ツボの在り処が少し変化球なので★3です。
 このテのゲームでの直球、つまり、「一般的にウケやすく、分かりやすい」ものは、敵と戦って経験値とお金を得て強くなるRPG的なものとか、マップを進みながら出てきた敵を片っ端から倒すことが快感のアクション的なものかと思います。
 しかし「アサシン・クリード2」はそうではなく、戦う必要のない敵とは戦わないほうがいいし、標的も、向こうが気付かない内に暗殺するのがベストです。また、その後に周囲の衛兵と戦闘になったりしますが、これとは戦わずに逃げて隠れるのが、アサシンならではのプレイになっています。
 そこらにいる敵と戦いまくることもできます。しかしそうすると、「アクション」部分はそれほど操作バリエーションがあるわけでもなく、際立った派手さもないので、いずれ単調だとかパターンと言われてしまうでしょう。
 という具合に、「楽しい」部分は、王道のアクション(A・RPG)とは異なります。そういう意味で、少し変化球思うのです。
 そのため、ゲームに斬新さや新味をあまり求めないライトゲーマーさんには、ちょっと取っ付きにくいし、プレイしてみてもなにが面白いのか、ともするとピンとこないということもあると思います。反面、なにか違うと思った部分を面白く感じたら、その人のゲーム史においてエポックメイキング的な存在になる可能性も秘めているのではないでしょうか。
 かつ言えば、同じステルス・アクションの「メタルギア・ソリッド」シリーズと比べると、けっこう大味です。簡単だとも言えます。(なお、ステルスの考え方は異なっています。MGSはとにかく遮蔽物などに身を隠したり、カモフラージュした上で動かないことでステルスしますが、アサシンクリードでは、視界に入らないことの他に、群衆に紛れ込むことで身を隠す「ソーシャルステルス」がメインです)

 

 個人的面白度は、不満がまったくない、あるいは気にするようなものはなにもない、というわけではないので、1個だけ減点して★4。
 不満点は、飛行機械で飛ぶのは一回きりしかないのか!ということとか(笑)、装備の変更が屋敷に戻らないとできないこと。お金を引き出すのは、80分で金庫が満タンになり、100分目で溢れるので、1時間半に一度くらいはヴィラに戻って(ゲーム自体も)一服しろよということだと思っておきます。
 あとは、贅沢かもしれませんが、マップが少し見づらいこともちょっと。橋の下を通る道などが、マップ上では壁にふさがれているように見えるため、入り組んだイタリアの町を急いで移動するにはちょっと大変でした。壁を無視するフリーランも、やりすぎると弓兵に見つかって追われたりするし……。
 それから、相変わらずムービーが飛ばせないのが少し面倒。一度見たものはスキップできるようにしてほしい、というのは前作からもあった要望でしたね。何故今回もしつこく飛ばせない仕様にしたのか、そこに込められた開発者の意図をうかがってみたいように思います。
 あとは……ヴィラ(叔父の領地にある屋敷)の復興がある程度進んだ終盤の入り口あたりから、お金の使い道がなくなってしまったことも残念かも。20時間程度でクリアするペースで進めたのですが、中盤くらいまでは「お金足りないから、とりあえず建物関係で定期収入増やして、あまった分で防具」とかやってたのに、急にお金が有り余るように。うーん……。もっと他の使い道もあったら良かったのになぁ。クリア後にしか買えない高級防具とか、街の外にでれば何故かいつでもそこで待っている自分の愛馬とか、いっそ伯父さんちじゃない自分の別荘とか……。
 あと、武器はカウンターキルを狙うかぎりにおいては攻撃力が全く関係ないのではないかと。いろいろ持ち替えてカウンターキルの演出を楽しむのはアリですが、単純な立ち回りではどれを持っていても大した差がなく、強いのがカウンターキルなのでどうしてもそれに頼りがちに。武器はヴィラ復興のポイント稼ぎに買いあさっただけですね。

 

 でも個人的なお気に入り度は、MAXです。
 面白いゲームでも、ものによっては数日間つわらないことがあったり、次に電源を入れるのが何故か少し億劫だったりもするのですが、アサシンクリード2はなんの引っ掛かりもなくスイッチを入れ、ぼちぼち2〜4時間遊んでました。

 

【レビューしてみる 2】

【このゲームのキモとツボ】
1.15世紀のイタリア観光
2.フリーランの快感
3.暗殺成功の快感
4.パズル&アクション
5.やりこみ要素
6.ストーリー

 

1.15世紀のイタリア観光
 現在の街と当時の資料から再現した、15世紀中〜後期のイタリアの都市を気ままに散策できるのは、世界史やイタリアの都市に興味があれば、それだけで楽しめます。円を描くように連なる建物とか、移動中にはなんでこんなややこしい……と思ったりもしますが、いざとなったらその壁も建物もフリーランで乗り越えられるので、ゆっくり迂回するか強引に直進するかはプレイヤー次第。
 現代でも観光地としては見どころの多いイタリアの各地。ゲーム上での再現とはいえ、名所史跡をきままに見て回ることができ、しかもその上に登ることさえできるという!
 ヴェネツィアではゴンドラを漕ぐこともできますし、泳ぐこともできます。

 

2.フリーランの快感
 ほんの少しの手がかりがあれば、そこを掴んでひょいひょいとどこへでも登っていく主人公。信じられないほど不安定な足場もとことこと駆けていき、屋根と屋根の合間も一っ飛びに飛び越えれば、目が眩むほどの高所から地上へのだいぶすらやってのける……。
 アクションなら人外の動きをするゲームはいくらでもありますが、移動そのものが遊びどころになっていることについては、アサシンクリードがずば抜けています。もちろん、飛び移るにも登るにも限界はあり、無制限ではありませんが、だからこそ、「あそこへはどうやって行けばいいんだ?」と試行錯誤する楽しみもあります。
 ただし、屋根の上を走るとか、壁をよじ登るなんてのは普通の人のすることではないので、人目に触れると呆れられたり怖がられたり、あるいは屋根の上の弓兵には不審者扱いされた挙げ句、敵として攻撃されたりもします。
 なので、なるべく人目につかないところから登るとか、弓兵に見つからないように進む、いっそのこと引きずり落としてしまう、見つかっても問答無用で走って隠れて振り切る―――どうするかはプレイヤー次第です。
 暗殺した後も、全員と戦うか逃げるかを選べます。逃げるというと、普通は面白くない要素なのですが、アサシンはフリーランやソーシャルステルスのおかげで、どうやって逃げ切り、どうやってやり過ごすか、そこが楽しみどころでもあります。
 重装兵や索敵兵は屋根や塀の上には来ないので高いところへ行けばいいけれど、モタモタしてると石ぶつけられて落とされたりするし。軽装兵は屋根の上にも登ってくるし足も速いので、どうやって引き離してどこに隠れるか……。
 また、常人では絶対に無理なクライミングには、若干のパズル要素もあります。隣の建物から飛び移るとか、南面で少し登ったら東面に移動するとか、あるいは壁を蹴ってのジャンプで少し高く遠いところまでいくとか。
 万一落ちても、ある程度の高さまでならダメージだけで済みますし、死亡してしまっても、少し前のセーブポイント(オートセーブですがかなりこまめにセーブが発声します)からやり直しになるだけで、特にペナルティはありません。高所恐怖症の人には、高所からの風景と、イーグルダイブ(そこから一気に地上の藁山や海・川へ飛び降りる)はかなり心臓に悪いかも。
 移動そのものが楽しむ要素になっていることは、アサシンクリードを語る上でははずせない要素です。

 

3.暗殺成功の快感
 大立ち回りの末に標的を殺害。こういう結果でも別に悪くはありません。ペナルティもありません。
 しかしアサシンとしては、見つからないように邪魔な番兵を排除しつつ、ターゲットには常人の思いもよらないような場所から一気に接近して一撃必殺! が快感です。
 その最終目的に行き付くまでのミッション(コアメモリー)でも、いかに余計な敵と戦闘せずに目的を達成するかを考え、傭兵や盗賊、娼婦といった面々を雇い入れたりしながら進めていくのが、このゲームの王道です。もちろん、正面突破でOKなこともありますが、「見つからないように」という条件がついているミッションもありますので、いつもガチンコでは進めません。
 そのためにどういうルートで進むか、どの番兵をどう誤魔化すか、そういったパズル要素も含まれてきます。
 余計な相手に見つからずターゲットをサクッとしたときの「してやったり」感は、快感です。

 

4.パズル&アクション
 正面突破ができないときには、味方をうまく使ったり、進むルートを探したりといったことが必要になります。
 また、「アサシンの墓所」というサブクエスト(サブメモリー)は特にパズル要素が大きく、ざっと見せてもらえるルートを参考に、時には時間制限内にどうやって次のエリアまで進むかを試行錯誤したりします。
 ビューポイントという、マップを表示させるために登る高所も同じで、ただ上へと進もうとしてもダメなところは、隣の建物から飛び移ってから進むとか、途中で横へ移動するとか、多少の探索を要します。
 進めるルートさえ見つければ、普通の人間には無理なことをエツィオくんは平気でやってくれるので、ひょいひょいとおサルさんのように登ったり走っていったりするのです。
 こういったパズル要素ありのフリーランは、何度か失敗してルートを見つけ出し、どう進めばいいかが分かった後には、できるだけ立ち止まらずに進む、といったチャレンジもできます。うまくいくと気持ちいいんですよ、これが。

 

5.やりこみ要素
 やらなくても先には進めるしクリアもできるけど、どうせならつい、と集めてしまうもの。
 武器、防具、絵画の収集や、町中に散らばる宝箱、マップでは見ることのできない「羽根」探し。アサシンの墓所も、1作目の主人公・アルタイルの防具がほしくないなら無視してもOKですが、高性能なのでやはりほしい! テンプル騎士団の基地もクリアしたいし、サブメモリーもこなしたい。謎のシンボルを見つけることで埋まっていく「隠された真実」も気になる……。
 やろうと思えばやることはかなり膨大で、クリアするだけなら20時間程度の私も、宝箱などは半分も開けていません。羽根なんか100枚もあるし。
 買えるものはすべて買ってしまったので、今はせっせと宝箱開けて、サブメモリーこなしつつ、ついでに羽根を見つけたら拾い集めてます。
 なお、手に入れた絵と武器防具はヴィラ(屋敷)に飾られていきます。ゲーム中では青年として、主人公エツィオの友人として出てくるダ・ヴィンチの絵もありますし、ボッテチェリもあったりします。値段は様々で、100fくらいしかしないものもあれば、10000fを超えるものも。すべて揃えた後の絵画室はちょっとした画廊の趣になりました。

 

6.ストーリー
 正直、分かりやすくはありません。
 縦軸は「父と兄、弟を殺されたエツィオの復讐物語」ですが、横軸として加わるアサシンvsテンプル騎士団の部分は、オカルトも入ればなにやら深遠な権謀術数もあって、「だからなに??」になることも……。
 でもまあ、あまり深く考えずともアクション部分そのものが楽しいので、私的にはなんとなく分かればOKで。
 プレイ中は、はっきりとは分からなくても次々と消すべき相手が出てきて、そのたびにエツィオが協力者とともに立ち向かっていく、というのが明確なので、つまらなくなることはありませんでした。
 一周クリアした後は、そのままやり込み要素へと走ってもいいのですが、セーブデータは3つまで作れるので、また最初からストーリーを見てみたい気になったのも確かです。特定のパートだけを繰り返しやることはできないので、「あのときのあのシーンをもう一度見たい」と思ったら最初からになるんですよねぇ。これも不満といえば少し不満かも、クリアデータでは特定シナリオをいつでも繰り返しプレイできたら良かったのに。