けっこんていう やくそくのこと

 きょう、あにうえが「けっこん」した。
 とってもきれいなおねえさんで、びっくりしちゃった。
 あしたはしゅうゆが「けっこん」するんだって。
 あにうえのおよめさんの、いもうとがあいてだっていってた。
 そのひともすごくきれいだっていうから、わたしもたのしみにしてるんだ

 はやくみたいなぁ……。

 でも、「けっこん」ってなんなんだろう。
 いっしょのおうちにすむっていうこと?
 よくわからないから、たいしじにきいてるんだけど、とってもこまってるの。
 でもやっと、
「結婚というのは、好きな人とずっと一緒に暮らす約束をする、ということです」
 っておしえてくれた。
 ふーん……。
 「けっこん」って、ずっといっしょってことなのか。
 ちちうえとははうえも「けっこん」してる。
 それで、ずっといっしょにいる。うん。
 あにうえも、だいきょうさんとずっといっしょにいるってやくそくしたんだね。
 しゅうゆも、あしたになったらやくそくするんだ?

 でも、やくそくって、やぶられることもあるよ……?
「この約束は決して破らない、と誓える相手とするもの、だと思います」
 へえ。
 そうなのかぁ。
 それってつまり、ずっといっしょにいたいっておもってるってことだから、うんとうんとすきだってことだよね。
「そ、そうですな、はい(///)
 あしたもあさっても、らいねんもさらいねんも、ずーっといっしょにいたいって、そうおもうひととするやくそくなんだよね。
「はい。来年も再来年も。二人ともが白髪になっても、それからもずっとということです」
 「けっこん」っていうやくそくしたら、やぶっちゃいけないんだよね。
「はい」
 つまり、「けっこん」したらずーっとずーっといっしょなんだよね、ね?
「そうです」

 じゃあ、きーめた。
「あっ、孫権様!?」
 ずーっずーっといっしょなんだ。
 ずーっといっしょにいるんだ。
「よーへー、よーへー」
「は」
「あのね」
「はい」
「けっこん!」
「結婚?」
「うん。よーへーはわたしとけっこんするんだぞ。それで、ずーっといっしょにいるんだぞ?」
「は、はあ!?」
「あにうえ、あにうえ」
「おう、どうした、権」
「きょうがあにうえで、あしたがしゅうゆの『けっこん』だから、あさってはわたしが『けっこん』していいですか?」
「だ、誰と!?」
「よーへー!」

「ぶっ」
「そ、孫権様っ」

「あ……っはははははは! そうか、権、周泰と結婚したいのか!」
「はい!」
「よしよし。だがな、結婚はもっと大きくなってからだ。明後日は無理だなぁ」
「え〜……」
「い、いや、孫策様、あの」
「いいか、権。結婚したかったら、大きくならなきゃならねぇぞ。大きくならねぇと、結婚はできねぇんだからな。でも、大きくなるには、好き嫌いとかしてたら、駄目だなぁ」

「ちゃ、ちゃんとたべます! ぴーまんも、にんじんも!」
「本当かぁ?」
「ほんとうです!!」
「よーし。だったら、いいぞ。大きくなったら、周泰と結婚、だな」
「やったぁ!! わーい!」
「孫策様……」
「いいじゃねぇか。どうせ大きくなった頃にゃ忘れてんだ。まあ、それはそれで、寂しいことかもしんねぇけどな。ま、最悪、おまえよりでかくなったら、ってことにしてやるよ。それはなかなか叶いっこねぇからな」

 おおきくなったら、よーへーとけっこんするんだ。
 ぴーまんもたべるもん。にんじんもがまんするもん。
 けんのけいこだって、ちゃんとやるもん。
 それで、ずーっとず―――っと、よーへーといっしょにいるんだもん……!
   

(おしまいv)