トゥーリアン三人についてのあれやこれです。
そもそもサレンは、いったいどこでソヴリンと遭遇したのでしょうか? サレンのほうから先にソヴリン、リーパーの存在に気付くことは、まずないような気がします。というか、そんなにあっさり見つかるような相手なら、ちっとも「強大な敵」ではないわけで。 だとすると、ソヴリンのほうからサレンに目をつけて接触し、その初期段階から「ソヴリンに協力するのが銀河を守る唯一の方法だ」と考えるように洗脳してしまったのではないでしょうか。 私はその可能性が高いように思います。
サレンはかなり計算高い人物だと思われます。 だからこそスペクターとして、残虐なことをしながらも実績を残し、地位を剥奪されることもなく立ちまわってこれたのでしょう。グレーだがブラックではない、かつ大きな成果があるから追及するより利用したほうがいい。そんな立ち位置を自覚的に守ってきたのではないでしょうか。 そういう人が、「敵と協力するのが自衛の唯一の手段」なんてことを考えるとは思えません。そしてまた、そんな約束を守ってくれる相手だなどと、敵の甘言を信じるような愚かな人では絶対にないはず。 サレンにも良心があると思うからではなく、彼は非常に頭の切れる冷徹な男だと思うから、シェパードも、あんたは既に洗脳されている、と断言しているような気がします。
あと、銀河を守る、とか考えるタイプではないようにも思います。そんなことはどうでもいい人じゃないですかね。 スペクターのくせにバイナリ・ヘリックスの大株主だというのもちょっと違和感。金銭に執着……関心くらいはないと株主になんかならないだろうし、大株主になるような投資家としての側面があるなら、平和とかいう曖昧なものに価値を見出すでしょうか。そんなもののために体張ろうと思いますかね? もちろん、平和だからこそ金儲けができるとしても、そのためには自分が安全でなければならないわけで。 そういった点を鑑みるに、彼はつまるところ、破壊の快楽、他人を支配する優越感、ほしいものを手に入れる満足感、そういったものだけを求めるタイプだったのではないかと考えられます。 むしろ、そういったものを法に触れずに行うために、スペクターという地位を得て、その範囲を超えないように振る舞うのが最もいいと判断するくらいのしたたかさを感じます。 つまりは、レネゲイドですし、それをちょっと越えた悪人でもあるだろうと。
ラストの高モラル選択だと、サレンはスペクターとしての自分を取り戻し、抵抗できないと判断して自害しますけど、好みとして好きなシーンではあっても、なんか違う気もします。 彼にそんな良心というか、銀河を守らねばならないという使命感があったのかなぁ……。 そのわりに、レックスの話では雇った傭兵を皆殺しにしたかなんだか、相当あくどいこともやってるようですし。
ともあれ、そんなサレンがソヴリンの存在を知ったとしても、リスクをおかして自分が接近するとはまず思えません。ナメてかかって洗脳されたという、ベネジアと同じだったのかもしれませんけど……。 そういった諸々の違和感とか小さな矛盾をなくすためには、ソヴリンは、サレンに自分の存在を気付かせる前に、先に彼を洗脳していた、と考えたほうがスマートです。 洗脳を開始した上で接触し、「危険だが協調できる。それが銀河を守る唯一の方法だ」と思わせて利用したわけです。サレン本人の意思では「危険なのでなんらかの手段で排除すべき。銀河はともかく、こんなものが暴れては自分の人生が台無しだ」みたいなところでいいんじゃないですか?
ラストの自害も、シェパードに感謝するとか、自分の使命を守るためとかじゃなく、抵抗ができず、言いなりにされるくらいならと、ただそれだけで自害したほうがキャラクターとしての一貫性があるように思います。貴方もスペクターだったんでしょう、とか言われてますけど、スペクター=銀河を守る使命感に満ちた人、である必要はないですし。シェパードに感謝するとしても、もっと忌々しげにというか、憎々しげに、腹立たしげに、といった感じのほうが「ハマる」かなぁ。 そしてもし、銀河を守りたいという思いを持ちながら、同時に悪辣なこともするのがサレンなら、それを一個人の人格の中にもっときちんと融合させて、それを感じさせるシーンや演出がほしかったところです。 たとえば、アンチ・ヒューマンというだけでなく、トゥーリアン至上主義であるとかね。だから、他の種族なんかどうなろうと知らないけれど、トゥーリアンだけは守りたいと思ってるとか。だったらナイラスさんは殺さずに拉致って、ソヴリンに洗脳してもらって部下にすればいいし。……そのシチュエーションは萌えるかも(ぉぃ
そういや、海外wikiでサレンの項目見てたら、彼がヒューマン嫌いなのはファーストコンタクト戦争に関わってるからだとか書いてありましたね。兄弟が人間に殺されてるとか? ……その戦争って30年も前なので、サレンはかなり年とってますね。少なくとも50や60くらいにはなってるような。平均寿命が100歳越えのようなので、老人ではないにせよ、やはり中年、壮年のベテランスペクターってわけです。
そういえば。 ノルマンディの中の会話で、プレスリー航海士がナイラスを嫌う理由としてその戦争の話を持ち出したとき、30年前の戦争に彼は関係ないだろうという選択肢が出ます。 それから察するに、ナイラスはかなり若いことになります。トゥーリアンは15歳で兵役があるので、ぎりぎり少年兵として参加したとしてもナイラスはせいぜいで45。でも参加してないだろうという発言なので、実際には30前後くらいなのかな。 これまたwikiで見てみると、16のときに父親をなくして、母親に強制されて軍に入ったけれど、典型的な軍人としては振る舞えなかったみたいです。模範的な解答ではなく、これが正しいと自分が感じたことを選択しては、周りに問題児扱いされているような。で、ナイラスの直感力は非常に鋭く、とった選択は結果的に正しいことが多いのですが、それはそれで上司に嫌われて、仲間を救い出したりしたときも、無謀だとかなんだとか難癖つけられてたみたいです。 ある日サレンと共に行動することがあって、サレンによって見出されてスペクターに推薦されたそうな。 なので、サレンとナイラスは師弟に近い関係。とはいえ、さっさとサレンの弟子としてではなく一個人として、充分な功績を上げて認められるようになった、といったところです。 ナイラスは、サレンが持っている悪意について人間に伝えることはしないけれど、それはそれ、これはこれで、人間に価値も見出す点では、サレンよもずっとフェアに、「役に立つかどうか」で物事を判断しているようです。 なんにせよ、彼等に30近い年齢差があって、しかも師弟関係にあったなら(あるいは先達、恩人としてナイラスがサレンに敬意を持っているなら)、エデン・プライムで出会ったときの台詞、ナイラスからサレンへは丁寧語のほうがふさわしいですね。「これは君のミッションじゃないだろう」じゃなくて、「これは貴方のミッションではないでしょう」ですね。「評議会がおまえを手伝ってやれと言ってきてな」「厄介ですね。ゲスとは想定外です」「心配するな。後は私が上手くやってやるよ」……師弟だと思って会話を聞くと、……これまた非常に萌えますなぁ……。 あと、評議会議員のトゥーリアンおじさんと同じ顔のペイントしてます。そうか、やっぱり同じだったか! ということは出身地が同じだということになるんですが、……評議会のおじさんも、出自は都会とかなにかの中心地ってわけじゃなかったのかな。ふむふむ。
というところで、気付いたことが一つ。 才能はあるけれど、「形の整った古い規範」を尊守する立場の人=一般的なトゥーリアンの規範からははずれがちで。 偉大な師に会って才能をいかす道を見つけて。 自分の信じる価値観や規範に従って、表向きにはどうしようもない不正や悪を排除することを使命とする。 ナイラスとギャレスって、かなり似た存在のような気がします。 ギャレスのほうがバカ……いや、うん、まあなんというか短慮ですけどね。 wikiにあるナイラスの解説を見ていると、「プレッシャーの下でも冷静で、敵の弱点を見極めてそこを攻略することに長け、サレンのように残忍ではないけれど、障害になると思えば躊躇わず排除して進む」とか書かれています。 ギャレスも、1ではなんか先走った若いアンちゃんですが、2では、優れた戦術家でスナイパー、テックエキスパートと表現され、タフかつ冷静だと評価されています。その強さは本物で、彼一人を倒すために、今まで一度も協力したことのない三大シンジケートが討伐チームをそれぞれに繰り出し、協働することにすらなっています。 で、シェパードという師に出会うことで、規則や手続きに縛られて思うように動けないC-Secを抜け出し、戦闘スキルを活かせるようになります。ナイラスの解説にも、「スペクターになり、軍の手順に縛られずに行動できるようになって云々」とか書かれてます。 ギャレスは、1でレネゲイド選択をしていくと、「もう一度スペクターを目指す」と言い出します。それがギャレスにとっていいかどうかはさておき、彼にはその可能性もあったのは確かです。
しかし、パリン長官からは「才能はあるが忍耐がない」と言われ、親父さんからは、短慮であることなどから、サレンのようになるのではないかと懸念されてスペクターを目指すことを断念させられ……。 まったくもってそのとおりすぎて、二人のおじさんの意見には賛成です。 彼はちょっと危うすぎ。 だから、判断力のある有能な上官のもとで、その相手を尊敬しながら働いていたほうが、世のため人のため、彼自身のためのように思います。 2の話ですが、テルミナス宙域に乗り込んで、無法地帯で一種の傭兵団として強引な法の執行……処刑みたいなものですけど、それを遂行していたがために、多くの敵を作ったわけです。その結果、ギャレスのチームを壊滅させたいと思う連中が現れて、チームメンバーの一人・シドニスに裏切らせて罠にかけたわけで。 言ってしまえば、子どもじみたとしか言いようがないほど単純な、強引な法執行を勝手に行なったがために、ストレートに敵意を集めて報復されたわけです。 その点に関しては、シドニスのことを恨めないくらいにギャレス自身の責任で、そういう意味では自責が甘すぎるし、シドニスへの復讐として問題を書き換えているのも問題。もちろん、そんな正義の味方ごっこに嬉々として参加していて、真っ当な危機感を持たずにいた連中も問題ですけど。 死者に尋ねれば、本当に恨んでいるのはシドニスのことではなくギャレスのことだ、という人がいてもいいように思います。 グレイメモリ、というものが、2のDLで出てきました。インプラント型の記憶装置。殺されたチームメンバーのグレイメモリが見つかって、その再生記録からそういったことが明らかになると、物語としては面白いですね。 うーむ……それでギャレスが苦悩しなおしているときに、シドニスに逆に救われるとか、ベタだけど物語にはしやすそうだなぁ。 なんにせよ、ギャレスに対するトゥーリアンのおじさん二人の評価は、非常に正しいと思ってます。 そういや、パリン長官はゲス襲撃時に死亡したのではないかと言われていますが、ギャレスの親父さんは生きてるんですかね。それとも、C-Secは引退して別の場所にいたのかな。一度こう、シェパードの前に出てきて、うちのバカ息子をよろしく頼みますとか(シェパがパラゴンのとき)、無言で睨みつけた後、どうなろうとおまえ自身の責任だ、と苦々しく言い捨てて行くとか(シェパがレネゲイド)、あっても良さそうなんだけどなー。 |