*おことわり* これはあくまでも「試作」です。 「格好つけて最低な伊達」 二人を比較するために、その設定を念頭に書いているので、伊達を心から愛している人にとっては、「こんな伊達イヤ」という以上に苦いものが残りかねません。……うまく書けていれば、の話ではありますが、 ちなみに、場所や日時、状況などはほとんど設定されていません。
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崩 落
音を立てて、壁が、柱が、天井が、崩れていく。 地鳴りの消えた静寂に立ち、富樫は自分の手を見つめた。
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+ 伊達考 + あるかたとのお話の中で、熱烈な富樫ファンは、たいてい伊達が嫌いだ、という傾向について語った。 それを、たとえば諦めることで受け入れて優しくなったのが『赤い籠』の伊達。 というように、うちにはいろんな伊達が跳梁跋扈している。 だが全て、富樫という男にはまったく関わらずに動いている。 で、作者がひたることをやめ、ただ現実的に二人の男について考えると、設定可能なポジションからして、「副将」「桃の隣」「飛燕の傍」と重なりまくる。 プライドばっかり高くて、その実、人間としての自分には全く自信がなく、だから「できること」や「あるもの」でしか自分の価値を確かめられない。 これは、そういう、人間として完璧に未成熟な伊達の試作。 伊達ファンとしては、こういうんじゃない伊達のほうが好きだが、もの書きとしては、人間のどうしようもなさとか、残酷さ、弱さ、そういうものを突きつけてやりたいという欲求もあり。 そんなわけで、一つの問いかけとしてアップしてみたのであった。 |