夢を見ると、必ず悪夢と決まっていた時があった。 そして、それは必ず正夢だと。 最早予知夢ともいえるそれを、久しぶりに見た。 青い鳥がモノトーンの世界の中を横切って、その向こうで、モノトーンの血の中、モノトーンの煮立った海へと落ちていく、飛燕の姿。
「伊達。まだ起きていたのか?」 「J……」
夢にはいつも「青」が出てくる。 青い悪夢。 やはり現実になった、 俺の目の前で。
「おまえの目は、青いな」 「? ああ、そうだが、いったい何……」 「青い目は嫌いだ」 「だからといって、この目を抉り取るわけにもいかないだろう」
青い空。 青い海。 青い月。 青い星。
「……何故?」
青い爪。 青い瓶。 青い石。 青い花。 そして。
「本気で言っているのか?」 「……冗談だ。忘れてくれ」 「驚かせるな」 「ふん。真に受けるな」 「おまえが言うとジョークに聞こえない。そんなことより、早く休んだほうがいい。連戦で疲れているだろう」 「俺がそうヤワかよ」 「かもしれんが、大事をとってくれ」 「マジな顔しやがって……。分かった。もう寝る」 眠れるかどうかは、分からないが。
青い夢。
おまえの、青い瞳―――。
(終)
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