青 い 夜

 夢を見ると、必ず悪夢と決まっていた時があった。
 そして、それは必ず正夢だと。
 最早予知夢ともいえるそれを、久しぶりに見た。
 青い鳥がモノトーンの世界の中を横切って、その向こうで、モノトーンの血の中、モノトーンの煮立った海へと落ちていく、飛燕の姿。

「伊達。まだ起きていたのか?」
「J……」

 夢にはいつも「青」が出てくる。
 青い悪夢。
 やはり現実になった、
 俺の目の前で。

「おまえの目は、青いな」
「? ああ、そうだが、いったい何……」
「青い目は嫌いだ」
「だからといって、この目を抉り取るわけにもいかないだろう」

 青い空。
 青い海。
 青い月。
 青い星。

「……何故?」

 青い爪。
 青い瓶。
 青い石。
 青い花。
 そして。

「本気で言っているのか?」
「……冗談だ。忘れてくれ」
「驚かせるな」
「ふん。真に受けるな」
「おまえが言うとジョークに聞こえない。そんなことより、早く休んだほうがいい。連戦で疲れているだろう」
「俺がそうヤワかよ」
「かもしれんが、大事をとってくれ」
「マジな顔しやがって……。分かった。もう寝る」
 眠れるかどうかは、分からないが。

 青い夢。

 おまえの、青い瞳―――。

 

(終)

2001年、引越し準備の最中に発掘された、かれこれ十数年前に描いた2Pマンガ。
それをSS化したのがこれだった。
伊達主観なのは当時のほうが私は伊達フリークだったんで無理ないとして、
この話の相方はJ以外の誰にもつとまらない。

再アップに伴い、微妙にリメイクしている。