実践トレーニング:ブースター:消費EN編

 速い機体を作りたいと思っても、ただ速さだけを求めると、すぐにEN切れになってしまったりするのがACの世界。
 今回は、「消費EN」と「推力」をからめたお話です。

 

機体の消費ENの差

 ブースターの選択は、「ほしい速度」とブースターの性能だけで決まるものではありません。
 ここに絡んでくるのがエネルギー問題です。
 「EN管理」という言葉を見かけたことはありませんか? 動画とかでもよくコメントされています。「EN管理が尋常じゃない」とか言われたりしますね。
 適当に動いてもENが切れないような機体もありますが、ENの残量を維持するのがけっこう難しい機体で、見事に動いているプレイヤーさんは「EN管理」が非常に優れているのです。
 ですが、そんなことができたら初心者ではありません。
 そこで、こんなところを覗いてしまっている皆様には、まずは「ENの大事さ」を実感していただこうと思います。

HEAD LINSTANT/H
CORE XCR-SOBRERO
ARMS ARGYROS/XA
LEGS DUSKAROR-LEGS
FCS 063AN05
GENERATOR GN-JUDITH
  
MAIN ARGYROS/M
BACK ARGYROS/B
SIDE ARGYROS/S
OVERD ARGYROS/AO
  
R BACK LETHALDOSE
L BACK LETHALDOSE

 今回の実験機はこれです。
 ……まあ、なんともキモい機体です。愛機の投稿で「キモさ」がチャームポイントの素敵な機体をいただきましたが、キモさでは劣っていない自負があります、この機体。……むしろもう「ヒドい」なと思います。
 ちなみに腕は武器腕のコジマ樽です。

 このキモカワイイ機体で、テストモードへ行きましょう。
 作れない人は、とにかく「消費EN」の大きいパーツばかり組み込んでください。その後で、ENアラートが出ないぎりぎりのジェネレーターを積み込みましょう。
 私の機体の場合はJUDITHのジェネレーターになりました。
 作った機体で、適当にQBしたりして走りまわってみてください。
 なんともひどい話ですが、ブースト移動しているとENはほとんど回復しません。ほんの少〜しは回復しますけどね、ホントにほんの少しずつです。
 次に、QBしまくってENをからっぽにしたら、動くのをやめて停止し、ENの回復する速度にじっと注目してください。
 ちなみに私が適当にストップウォッチではかってみたところ、約6秒でフル回復しました。
 これが、ENアラートこそ出ないものの、限界ぎりぎりの消費ENを有する機体です。

HEAD KIRITSUMI
CORE C01-TELLUS
ARMS XAM-SOBRERO
LEGS SAUBEES-LEGS
FCS EKHAZAR-FCS
GENERATOR GN-JUDITH
  
MAIN CB-JUDITH
BACK BB11-LATONA
SIDE AB-HOLOFERNES
OVERD KB-JUDITH
 お次はこちら。
 言うまでもなく、逆の機体です。
 とにかく「消費EN」の小さいパーツでのみ構成し、武器も持ちません。
 ただし、ジェネレーターだけは上の機体と同じものを使います。ENの量と回復力を同じにするためです。
 この機体で同じように暴れてみましょう。
 ものすごく暴れられますね。QBの向きを変える一瞬のブランクタイムにすら、ENは回復しようとします
 ENからっぽにして回復までの時間を計測……って、からっぽにするのがちょっと大変なくらいです。仕方ないのでOBも駆使してからっぽにし、フル回復までの時間をはかってみましたが、4秒弱というところです。

 ENの足りない機体で暴れるのがどれくらいキツいか、お分かりいただけたでしょうか。
 ENが十分にある機体だと、どれだけテキトーにQBしまくれるか、お分かりいただけたでしょうか。
 こんなアホみたいな機体で戦うことはまずありませんが、どういう理由からであれENに余裕のない機体は、続けざまにQBして動きまわるような戦い方はとりづらくなりますし、いったん消費したENはなかなか回復せず、非常に扱いが難しいのです。

 

ジェネレーターの差

 さて。
 上で使用した特化機体2種。
 今度は、ジェネレーターだけをそれぞれ、大型のものに交換してみましょう。
 皆様が機体を作ったとき、どんなものができあがったかは分かりませんが、私の場合は、容量・出力ともに微妙な「GN-JUDITH」が選択されました。
 そこで、ジェネレーターを大出力・大容量の名品「S08-MAXWELL」に交換してみるとしましょう。更に、チューニングで「EN容量」と「EN出力」をできるだけ底上げしてください。MAXにできれば言うことなしです。
 そして同じように、テストモードで暴れてみてください。

 まず、省エネで作った下のほうの機体は、QBを連発してENをなくそうにも、ちとょっと連続QBミスっただけで回復されます。それならOBでENをカラに、と思っても、OBしていてもENが回復する始末です。
 これはこれでヒドい機体です。

 次に、EN消費の多いパーツで作った上の機体も、同じようにチューンを施した「S08-MAXWELL」に交換してみましょう。
 すると……?
 QBで大きくENを消費しますが、ブースト移動中でもじりじりと回復します
 それに、元々のEN容量が大きいため、以前のものよりはQBを連発しやすくなっています。
 こんなキモい機体でも(注:キモさは関係ありません)なんとか持ちこたえてしまう大型ジェネレーター、すごいですね!

 EN問題を語るなら、消費するほうだけでなく、ENを生み出し、溜めておくほうも考えなければなりません。
 ジェネレーターです。
 単純に考えると「大型のジェネレーターを積んでおけば安心」です。私は、初心者さんは、まずはそれでいいと思います。つまり、その機体に積み込める重量範囲で、できるだけ大型の、容量・出力の高いジェネレーターを積むのです。

 ただし。
 省エネ本体でMAXWELLジェネレーターを積んだ機体って、無駄なのも確かです。
 だって、あれだけ大暴れして、ENをなくそうとしたってなくせない、そこまで有り余るENって、無駄じゃありませんか?
 大型ジェネレーターは、相応の重量を持ちます。
 ジェネレーターの重量差は、実はバカになりません。腕やコアの重量差とほとんど変わらないくらい、重いものと軽いものでは大きく違うのです。
 そして、機体の重量は、スピードを左右します。
 スピードのある機体を作りたいときには、重量のことも考えないとならないのです。
 だとしたら、「ENがたくさんほしいから、MAXWELLで」というのは、ちょっと安直すぎます。
 有り余るほどのENがあるなら、もう少しジェネレーターを小型にして、「必要十分」なものを選んだほうがいいのです。
 もっとも、「軽い機体は速すぎて扱いづらいから、重くてスローなほうが練習しやすいんだ」というなら、ドンと大型ジェネレーターを積んで、ENのことなんて気にせずに戦うのが一番ですけどね。

 

推力と消費EN

 三番目のお題は、推力と移動時消費ENのことです。
 ここで使う機体はどんなものでも構いませんが、中量クラスでややENには余裕のない機体のほうが、確かめやすいと思います。代表的なフレームはHOGIRE、047ANやWGでしょうか。
 どんな機体を使うにせよ、ブースターだけを以下のように交換してください。

MAIN S04-VIRTUE
BACK 03-AALIYAH/B
SIDE AB-LAHIRE
OVERD KB-JUDITH
 まずこれは、とにかく「クイック推力の高いブースター」だけを集めたものです。(オーバードブースターは負荷低減のため、一番負担の少ないものにしてあります)
 この構成で、やっぱりテストモードで適当に暴れてみてください。
 QBを連発してシャゲシャゲ動いていると、かなりENに余裕のある機体でないかぎり、ENは目に見えて減っていきます。
 ちなみに私は、HOGIREフレームにスナライとライフル、ミサイルとレーダー、というかなりスタンダードな構成の機体で試しましたが、連続QBしてるとまもなくENが尽きます。
 その代わり、決して軽い機体ではないのに、なかなかの速度で走り回れます。

MAIN GAN01-SS-ML.CG
BACK GAN02-NSS-B.CG
SIDE GAN02-NSS-S.CG
OVERD KB-JUDITH
 次はこちらの構成。「クイック推力の低いブースター」だけを集めたものです。
 これでも同じようにシャゲシャゲしてみましょう。
 言うまでもない気もしますが、こちらは、動きが少しスローだったり、あるいは小さくなる分、ENはかなり余裕があって、まず不足しません。
 私の機体の場合だと、ENをカラにするのはなかなか大変でした。連続QB苦手ですしねっ。

 さて。
 今回、ブースターを選んだ基準は移動時の消費ENではなくて、「クイック推力」だったはずです。
 それでこの結果。
 ということは、「推力の高いブースター」=「消費ENの大きいブースター」であることが多い、ということになります。
 で、だからなんなの? については、まとめにて。

 ちょっとここで、まとめに入る前に一つだけ。
 皆様の中にどなたか、「このブースター選択、違ってるんじゃないの?」と思ったかたはいらっしゃいますか? 特に「推力の低いブースター」のほうです。
 実は、「クイック推力の数値順」に並べると、すべて別のブースターが出てきます。メインは「CB-JUDITH」、サイドは「AB-HOLOFERNES」、そしてバックは「BB103-SCHEAT」。これが、「クイック推力の数値が最も低いブースターです。
 にも関わらず、私はすべてクーガー製を選択しました。
 何故か?
 実は、推力も移動時の消費ENも、実際に使う場合には、数値そのままの性能ではないのです。「クイック噴射時間」というステータスも絡んでくるのです。そのため、実際のQB移動力は、ここに挙げたクーガー製品が最も低いのです。
 そのことは、次の項目にてご説明いたしましょう。

 というところで、いよいよ、まとめに入らせていただきます。

 

推力とENの問題、まとめなど

 ACは、ENがないと満足に動けません。
 そのENは、ジェネレーターの出力が高かったり、容量が大きかったりすると豊富にあって、消費の大きな機体でも、なんとか支えることができます。
 そこで、初心者さんは基本的に、「積める範囲で、重くてもいいから大きいジェネレーター」を積むのがベストです。
 その上で、実際に動かしてみたときENが有り余るようなら、もう少し小さいジェネレーターにして、軽量化してみてもいいでしょう。
 初心者の内は、この程度の認識で大丈夫。むしろ、「積載量に余裕があるんだったら、どうせスピードありすぎたらきちんと扱えないんだしさぁ、重くていいじゃん? それできちんと動かしたほうがいいよ」くらいのものです。

 ですが、誰もがいつまでも初心者レベルなわけではなく、人によっては、もっと上達したり、あるいはチャレンジしたくなって、軽い機体がほしくなることでしょう。
 軽量機体による「近距離機動戦」を考えたとき、ブースター選びのジレンマが生まれます。
 それが、「推力・大≒EN消費・大」です。
 軽い機体で、スピーディに激しく動く。QBなども頻繁に駆使して敵の攻撃をかわし、あるいは敵に肉迫する。そのために推力が高いブースターを使おうとすると、消費ENの高いブースターを使って、頻繁にQBすることになります。つまり、ENの消耗が非常に激しくなるのです。
 じゃあジェネレーターを大型にものにすればいいのかというと、それもまた問題です。まず、ジェネレーター自体が重いこともありますし、軽量機体……軽量脚には、あまり重い体と武器は積み込めません。そのため、大型ジェネレーターを積む余裕がないこともあるのです。
 そこで、機体のフレームを省エネにしてENの回復速度を高めるとか、3つの主要ブースターの内、どれかは妥協するとか、あるいはチューニングを利用してフォローする、といった調整が必要になってきます。
 私にとっては、ブースター選びは機体調整時にけっこう時間のかかる部分です。前項で説明した、丁度いい移動力・スピードというのも考えると、ますます厄介です。
 でも、この微妙な調整が熱いのも事実です。

<ここからはちょっと余談>

 私は自分の愛機として複数の軽量機を持っています。
 もちろん、それを使って「かっこよく、強く戦えるか」と言ったら、それは話が別で、シミュレーターとかミッションの重量機をいじめて楽しんでいるくらいです。うん、がんばって中量機。軽量機は、ついていけません!!
 そんな私でも、それならそれで、「重量機が相手でいいから、自分で思ったように動ける機体を作ろう」と考え、そして、作っています。
 そういうときは、機体の重量と、ブースターの推力、そこで消費するENを繰り返し繰り返し、実際に動かしては吟味し、調整しています。
 理論上で、「このブースターなら……」とか考えて組み込みますが、それで実際どんな感じになるかは、動かして確かめます。
 そして、「ちょ、これじゃ回りすぎるって!」とか「これはちょっとスローだなぁ」とか思って、そのたびに、「じゃあ、サイドブースターをこれに変えて、推力足りない分はチューンしたらどうだろう?」とか、「MAXWELLの必要はないから、AALIYAHで足りるかな?」とか、いじり倒します。
 その結果、とりあえず自分がCPUの重量級ネクストと戦うときは、これくらいのEN、スピードでイケる、という機体になります。

 もちろん、そのときにはブースターやジェネレーターだけでなく、旋回力を司る脚や安定性に関わるパーツ、消費ENに大きく影響するフレームなど、いろんなところをチェックしますが、私の場合、外見は譲れないことが多いので(笑)、たいがい、内燃機関の調整と、いくつかのパーツ候補の中でのフレーム変更にとどまります。
 今回つらつらと語り、そして、できれば実際に試してほしいと思っているこれらの内容が、そういった調整の根底にあります。
 私の書き記したものが、皆様のアセンブルの一助になれば幸いです。