アセンブル:狙撃機体

 ネクストが相手の場合、近距離と遠距離、どっちの間合いで戦うほうが簡単かと言ったら、断然、遠距離です。
 何故なら、近距離では敵を見失いやすいから。
 試しに、オーダーマッチなどで軽量機体を相手に、距離を100〜200くらいに詰めてみてください。視界(画面)の中から逃げないように追いかけるのが非常に大変なはずです。しかし、同じ相手でも距離を800〜1000くらいにすると、飛び回ったところで視界から消えることはほとんどありません。
 よって、距離を保って戦ったほうがネクスト戦はラクだということになります。
 そんなわけで、初心者さんでも使いやすい遠距離狙撃機体をアセンブルしてみましょう。

 

狙撃機に必要な能力・不要な能力

 ACでは、真の万能機、つまり「すべての能力が非常に高い機体」は作れません。大きな欠点がなく、おおよそのステータスで水準以上、というくらいがせいぜいです。
 すべてのステータスが高い機体は作れないとしたら、どうしても必要になる性能にはこだわり、特に高くなくてもいい性能は妥協せざるをえません。
 では、狙撃機に必須の性能はなにか?
 ものすごく大雑把に言うと、正確さと、距離をカバーすること、です。
 そして逆に必要とされないのは、機体の速度と言えます。
 この点について、少し詳しく説明してみます。

 

狙撃機に必要な能力

 まず、遠くから攻撃するのですから、「遠距離まで届く武器」は必要です。当たり前すぎますね。これは銃器の「射程距離」を見ます。(注:ミサイルも遠距離攻撃ができますが、今回は銃器のみで考えてください)
 距離という点でもう一つ気にしておきたいのは、「弾速」。機体の動きは遅くても構わない狙撃機ですが、弾の飛ぶ速度だけは譲れません。何故なら、撃ってから相手に届くまで、距離がある以上どうしても時間がかかるからです。のろのろと飛んでいたのでは届くまでに移動されてしまいます。
 「射程距離」と「弾速」については、スナイパーライフルやレールガンなど、狙撃用の武器を選択すれば、まず問題ありません。

今回は緑色の線を見てください それから、射撃の正確さも重要です。
 左の図の緑色のラインは、正面の敵を狙ったけれど、少しだけ左に照準がズレてしまった場合を示しています。
 距離が近ければ少しくらい狙いが狂っても当たりますが、1000mも先になると、たった1度の狂いでも、まったく見当違いのところに着弾してしまいます。
 そのために必要なステータスが、銃器の「射撃精度」と、腕部の「照準精度」です。
 ただし、銃器は普通、それが持つ射程ぎりぎりからでも当たる精度を持って作られているものです。初心者の場合、射程をきちんと確保したら、精度にまでこだわる必要はありません。
 腕については、1000程度の距離で戦うなら、チューン込みで70程度の照準精度があればいいでしょう。それより長射程になると、047AN03など、使用できる腕は限られてきます。(精度についての詳細は「精度と腕部」をご覧ください)
 
 他に必要な能力というと、遠くの敵を見つけてロックする能力。これは頭部の「カメラ性能」と、FCSの「ロック距離」とで決まります。
 いくら遠くまで届く武器と、正確さを持っていても、見つけられない、見つけてもロックできないのでは意味がありません。
 特に、近距離ならある程度無視できる二次ロックは、遠距離では必須と思ったほうがいいでしょう。相手がほんの少し移動しただけで、「元いた場所」を狙ったのでは当たらなくなっているからです。(一次ロック、二次ロックについては「ロックマーカーの見方」を覧ください)
 なので、相手が1000の距離にいても、しっかり二次ロックできるように、カメラ性能+ロック距離を選ばないとなりません。(カメラ性能とロック距離については、「ロック性能とカメラ性能」をご覧ください)

 更にもう一つだけ付け加えるなら、FCSの「レーダー距離」も大事かもしれません。
 狙撃用の機体は、敵がこちらに接近する前にできるだけ早く発見して、自分の得意間合いに敵がいる内に攻撃開始するのが理想です。そのために、敵の動きがいち早く分かるよう、広いレーダー範囲が必要になることもあります。
 ただしこのステータスは、背部レーダーを使うことで拡大ができます。FCSのレーダー距離に不安がある場合には、補助としてレーダーを背負うことも考えましょう。

 

狙撃機に不要な能力

 では、狙撃機の場合に妥協すべきステータスはなんでしょうか。
 狙撃する以上、相手とは距離があることが前提です。自分の近くをちょこまかと動く相手を追いかけるわけではありませんから、動きの機敏さみたいなものは特に高くなくても大丈夫です。
 まず、銃口(腕)を動かす速度も高くなくてもOK。相手が大きく動いたとしても、距離が遠ければ、自分の腕(銃口)はほんの少し動かすだけで済みます。むしろ、その「ほんの少し」を正確に動かすことが重要なのです。(詳細は「運動性能と腕部」。あるいは、上の図のピンク色の線と、自機に書き加えられている腕を見てください)
 ともすると、機体の移動速度、旋回力などもそれほど高くなくても問題ないでしょう。
 この点から、腕部の「運動性能」、機体重量、脚部の「旋回性能」などはある程度妥協できます。
 それから、FCSの「ロック速度」もあまり必要ありません。遠くにいる敵は、多少動いたとしても自分の視界の中にます。ロックを振り切られてしまうことがなく、少し時間をかけて二次ロックしても問題ないのです。

 

狙撃機体のバリエーション

 さて、これでどのステータスを重視してパーツを選べばいいかは明確になりました。
 銃器はスナイパーライフルやレールガン。BFFのレーザーライフルも1000くらいの射程を持ちますね。
 スナイパーライフルを持つなら、腕は047AN03などの精度が高い腕。
 FCSはロック距離を重視し、頭部のカメラ性能と合わせて、銃器の射程をカバーできるもの。
 狙撃して敵に弾を当てることができる機体、でいいなら、これだけです。

 しかし、実際にはこれだけで機体をアセンブルするわけではありません。
 狙撃機体といっても、そこにはバリエーションがあるからです。
 狙撃性能にあまり関わらないコアや脚部によって、あるいはブースターやジェネレーターの選択によって、いろんなバリエーションがあります。
 たとえばどんな機体があるのか、例をいくつか並べながら、狙撃に直接関わらないパーツをどうやって選ぶのか、そして狙撃に関わるパーツをどう考えるのか、検討してみましょう。

 以下、サンプルとして並べるパーツリストは、「その機体の性能に必要な項目」だけを載せることにします。
 また、アセンブル時のポイントかなと思ったところは、文字を強調してみました。

【中量機、汎用タイプ】
HEAD 063AN02
CORE CR-HOGIRE
ARMS 047AN03
LEGS LG-HOGIRE
FCS 047AN05
  
R ARM 047ANSR
L ARM

047ANSR

R BACK GAN01-SS-GC
 ごくごくスタンダードな、「狙撃機体」と言われて出てくるような機体です。あえて047ANそのままというのはやめて、コアと脚は総合的な防御能力の高さからHOGIREを入れてみました。
 機体の重量は並。選ぶブースター次第で、多少の滞空も機動戦も可能です。
 フレームのEN消費はやや大きい機体ですが、武器がすべて実弾なので、特にENのことで不自由することはないかと思います。ジェネレーターをMAXWELLなど大型のものにし、消費ENの低いブースター類を使えば滞空も容易です。
 この機体は、サンプルとして背中にガトリングキャノンを背負わせています。こんなふうに、中距離で使える武器を持たせれば、極端な近距離機動戦でなければだいたいのことがこなせます。腕のスナイパーライフルを片方、通常ライフルにしてもいい感じでしょうか。
 武器の持ち替えでどういったシチュエーションにも対応できる汎用性の高さが魅力。しかしその反面、突出した強さがないので、器用貧乏になりがちなのもこのタイプです。

【軽量機、近づかせない】
HEAD H11-LATONA
CORE SOLUH-CORE
ARMS EKHAZAR-ARMS
LEGS LG-JUDITH
FCS YELLOWSTONE03
GENERATOR GN-SOBRERO
  
MAIN MB-LATONA
BACK GAN01-SS-B.CG
SIDE AB-JUDITH
OVERD KB-JUDITH
  
R ARM 047ANSR
L ARM

047ANSR

R BACK 047ANR
 スナイパーライフルは近接適性が低く、素早く振り回すことはできません。そのため、軽量機に接近されて周囲を飛び回られると、ろくに応戦すらできなくなる可能性もあります。
 それに、自分の得意レンジである遠距離を維持したほうが強いのが道理というもの。
 敵との距離をとりやすくするために、高速での移動を可能にした機体にスナイパーライフルを持たせるというのも一興です。
 左のサンプル機は、軽量かつ省エネ、というコンセプトで作られています。
 頭部をまず、省エネで重量の軽いものという基準で探しました。その結果、幸いカメラ性能がプラスの頭部になってラッキー。そのおかげでFCSの選択肢が広がり、重量・消費ENとロック距離、ロック速度から黄石3が選ばれています。
 腕も、チューンによって必要な精度(70)を確保できるものの中から、できるだけ省エネ・軽量のものを選んでいます。EKHAZAR腕は、普通に「狙撃機」と言われたらあまり選択肢に入らない腕ではないでしょうか。
 脚部とコアも軽量で、できるだけ消費ENの低いものを選びましょう。軽量脚は積載量も厳しいので、機体構成によっては、武器はスナイパーライフルしか持てない、なんてことにもなるかもしれません。
 実弾武器しか持たず、消費ENも抑えた機体なので、ジェネレーターは大型でなくてもOK。そこで、軽量でEN出力だけが非常に高いSOBREROを入れています。(いったんSOBREROを入れてから、実際に使って問題がないかを確かめた後、決定しています)
 ブースターは、ある程度でいいので推力が高いものを選んでいます。(機体が軽いため、極端な推力がなくてもスピード・移動距離を確保できます)
 メインブースターは背を向けて逃げるときに必要になるので、推力はやや重視。
 サイドブースターを使って頻繁に動くとか、逃げるといったことはしないので、ここは省エネ・軽量を重視。
 しかし、バックブースターだけは、重量が多少かさんでも水平推力重視で選択しました。これでバックして相手との距離を保ちながら攻撃することを「引き撃ち」といったりしますね。ただ、いくらなんでもARGYROSはやり過ぎだろうという気がしたので、私は中量のクーガー製にしました。
 引ききれないときには、潔く背中を向けて脱兎のごとく逃げましょう。OBを使う可能性もありますが、機体が軽ければ推力は低めでもスピードは出ます。定番の低負荷ブースターで充分です。EN効率がいいのでOB中にQBもかけられます。
 レーダーを背負わせているのは、少しでも遠くにいる内に敵の配置を確認し、そもそも近づけさせないためです。
 あとは、チューンでEN・KP関係や運動性能、射撃安定、ブースターの推力といったところを補えば完成です。
 スピードを利用して距離をとり、一方的に狙撃する。それがこの機体ですが、弱点は防御力。相手がミサイル機で、ミサイル回避が苦手だったりしたらアウトかも。

【重量機、砲台型】
HEAD HILBERT-G7H
CORE GAN01-SS-C
ARMS HILBERT-G7A
LEGS KIRITSUMI-L
FCS LAURA
GENERATOR GN-SOBRERO
  
SIDE AB-HOLOFERNES
OVERD KB-JUDITH
  
R ARM 047ANSR
L ARM

047ANSR

R BACK GAN01-SS-GC
L BACK 047ANR
R HANGAR GAN02-NSS-WR
L HANGAR SAMPAGUITA
 いちいち逃げ回らず、相手の攻撃に耐えつつ力でねじ伏せる。そういう機体もあるにはあります。
 その場合、狙撃に必要なパーツもできるだけ防御力を考慮して選択し、コアと脚は防御優先で選びましょう。
 ただし、こういう機体は近づかれてしまったら、もう一度距離をとるのが困難でもあります。なにせ重いためスピードがなく、相手が軽量機だったりしたらあっさり追いつかれるオチ。
 そのため、このサンプルは「タンクの中でも旋回力の高い脚を選び、中距離で使える武器を持たせる」ということを念頭にアセンブル開始しました。
 頭と腕は総合防御力に非常に優れたHILBERT。この腕は射撃精度も充分に高いのが魅力です。
 コアはAPが豊富で実弾防御の高いGAコア。
 脚は、タンクの中で最も旋回性能が高いKIRITSUMI。
 背中武器はいろいろと選べると思いますので、あくまでもサンプルということで適当にガトリングキャノン。レーダーを背負わせているのは、やはり、近づかれる前に極力落としてしまいたいからです。
 格納には弾数の多いNSSライフルと、重ショットガンを入れてみました。
 さて、中〜近距離に接近されたときにも対応できるように、と考えたとき必要になったのが、まずはロック速度です。これが低いと中〜やや近距離が厳しくなります。幸いにして、頭部はカメラ性能がプラス補正のHILBERTです。そこで、FCSはロック距離を少し捨ててロック速度を上げ、頭部のカメラ性能で距離を補うことができました。
 それから、近い距離で飛び回る相手を追うための運動性能も必須。HILBERT腕は精度・防御面は問題ありませんが、腕自体が重いため運動性能は数値どおりに発揮されていません。そこはチューンで補います。
 更に、チューンで旋回性能やブースターを補えばOKです。

【滞空機、空から】
HEAD 047AN02
CORE SOLUH-CORE
ARMS 047AN03
LEGS EKHAZAR-LEGS
FCS YELLOWSTONE03
GENERATOR S08-MAXWELL
  
MAIN CB-JUDITH
BACK 03-AALIYAH/B
  
R ARM 047ANSR
L ARM

047ANSR

 地上には障害物が多くても、空から見下ろせばそれほどでもないこともあります。それに、地上から攻撃すると地面の隆起も邪魔。こういうときには、空から撃ち下ろすのも手です。また、クレイドル21のように、長時間飛行せざるをえないケースもあります。
 この場合、必要なのは滞空・飛行できるだけのEN効率。できるなら大型のジェネレーターを積みたいところです。
 コアや脚も、消費ENを見て選ぶことになります。ブースターも、高速移動する必要はないのですから、推力よりも消費EN重視で選択します。
 左のサンプルは、実は私の持っている滞空狙撃機のコピーです。
 頭部、腕部、スナイパーライフルはごくスタンダードに047シリーズで選択しています。
 コアは重量と消費EN、安定性で選び、脚は積載もあってEKHAZARの中量逆脚になっています。ここはある程度趣味的なものもありますから、「選んだ兵装を装備できて、消費ENが低い」ものであればいいでしょう。
 ジェネレーターはドンとMAXWELLで、EN管理が多少苦手だろうとラクに飛び続けられるようにしています。
 メインブースターは垂直消費ENが最も少ない、滞空機の定番ですね。
 バックブースターはやはり「引く」ことを想定して選んでいます。滞空している以上、推力だけを見るわけにはいきません。消費ENのことも考えましょう。その上で、AALIYAHか、HOGIREくらいの水平推力はほしいかなぁと、こうなりました。
 なお、この機体は、すぐ上にある「軽量・省エネ」とコンセプトを複合させることもできます。単純に狙撃向きの性能で選んでいる頭部・腕部を、狙撃機体に組み込めるパーツの候補の中からもっと軽量で省エネのものに換え、それに合わせて脚部も軽量化できます。(積載がもう少し低くてもよくなるからです)
 逆に、上のJUDITH脚の軽量機を、滞空できるようにジェネレーターやブースターで調整していくこともできます。

【スナイパーキャノン搭載機】

HEAD EKHAZAR-HEAD
CORE EKHAZAR-CORE
LEGS HILBERT-G7L
  
R BACK 061ANSC

 狙撃武器というと、真っ先に出てくるのは手軽なスナイパーライフル。
 その背武器版であるスナイパーキャノンを使った狙撃機を作る場合、なにに気をつければいいのでしょうか?
 一口に言えば、「安定性能」です。
 一番いいのは、タンクか四脚で使用すること。これらは、ステータスとしての安定性能も非常に高いパーツですが、形状の持つ特殊性も発揮されるようになっています。
 しかし二脚や逆関節脚にスナイパーキャノンを背負わせるなら、機体の安定性能は更に重要になります。安定性能が足りないと、地上ブースト中に撃てば撃つたびに移動が止まり、空中で撃っても反動で少しノックバックしたように硬直する始末。安定性が確保されるほどに、ブースト中に撃ってもまったく支障がなくなったり、空中で撃っても反動が小さくなったりしていきます。
 私が実験したところ、レギュレーション1.00では、最高の安定性能を持つ二脚のHILBERTを、EKHAZARの頭とコアで補強し、安定性能を三ヵ所フルチューンしても、061ANSCの空中反動はゼロにできませんでした。しかし、050ANSCならば無反動で撃てます。……むしろ061の反動の強さにびっくりです。
 なお、二脚・逆脚が、地上・停止状態で実弾キャノンを使おうとすると、最初の攻撃ボタンでまず射撃体勢をとり、それ以後の攻撃ボタンで射撃する、という特殊な仕様になります。

 

総括

 いくつかの機体サンプルを紹介してみました。その中には、狙撃能力以外のステータスのために、他のパーツと合わせて調整する場面が含まれています。
 ロック速度もほしいから、とか、防御力がほしいから、とか、省エネにしたいから、とか。
 「狙撃能力を持った機体」を作るだけなら簡単です。しかし、その能力でどう戦うか、どんな相手と、あるいはどんなシチュエーションで戦うかによって、他に必要な能力は様々あります。
 狙撃機をアセンブルする醍醐味はその調整にある!と私は思っています。
 今回は、四脚を利用した狙撃機を作成・紹介しておりませんが、そこはぜひ皆様がご自分の機体として、一度アセンブルしていただきたいと思います。四脚の特長、それをいかす戦い方、そして実際のパーツ選択。しかも、四脚と一言で言っても、DUSKARORとGAENとでは大きく個性が違います。さて、どんな機体ができあがるでしょうか。

 なお、ミサイルを搭載した機体も遠距離からの攻撃ができますが、これはちょっと毛色が違うので割愛します。あと、私がミサイルをうまく使いこなせないのも理由です。ゴメンナサイ。