烏の足跡



2015年3月5日(木)

 去年からちょこちょことアガサ・クリスティを読み返しています。
 ザレゴトで書いたような書かなかったような記憶がかなり曖昧ですが、……この仁木ソフトで検索かけるとなにも出てこないから書いてないのかな。
 ともあれ、「アクロイド殺し」「ひらいたトランプ」「ゼロ時間へ」「火曜クラブ」と来て、現在「五匹の子豚」。
 クイーンものと記憶がごっちゃになってたりしますが、あれだ、路面電車の中での殺人は「Xの悲劇」だよなたしか……くらいにたまに混乱しますが、それはさておき。

 クリスティものは「そして誰もいなくなった」とか「ABC殺人事件」あたりを、中学生くらいのときに読んだのが最初だった気がします。王道ですね。
 でも実は「オリエンタル急行」はまだ一度も読んだことがなかったり。
 基本的に、メロドラマすぎて胸焼けしてくるんですよ、クリスティの長編は。
 ですがこってりした甘いものも、たまに食べると美味しいし、クイーンのようなドライな感覚もそれが心地良いときもあれば疲れることもある。
 という具合に、気分次第で節操はありません。

 「アクロイド殺し」は推理小説のルールだとかいうこやかましいものを持ち出せば非難されるべきものですが、小説としては抜群。このトリックをこの完成度できっちり一本の作品にした最初の最高傑作、とは言えると今でも思います。
 トリックは覚えてるけど細部は忘れてた今回の読み直しでは、「ああ、たしかこれが……」とかいろいろと別の楽しみ方もできました。
 たしかに、「意図的に隠す」という点ではアンフェアかもしれませんが、完全にアンフェアかと言われれば、読者としては、「え? なんですぐじゃないの?」とか、ちょっとした疑問を持てる程度のヒントはちゃんと提示されています。
 やはりこの作品は好きだぁ。

 「ひらいたトランプ」はこれが初。四人の探偵、四人の犯罪者(完全犯罪を成し遂げたことがある、と言われる人)、そして一人の死者。
 で、読んでる最中は面白かったのですが、読み終わってしばらくしたら、もう忘れました。「えーっと……誰だったんだっけ犯人??」ってなってます今。
 いくつかのシーン思い出すことで思い出しましたけど、つまり私にとっては今ひとつかな、これ。
 ただ、ここで登場したバトル警視という探偵サイドの人が、「ゼロ時間へ」では主役になってます。

 「ゼロ時間へ」は、評価の高さで選んで、これも初。
 なんか……「ゼロ時間へ」というタイトルの意味が分かったときがどうの、と絶賛する人も多くて、その言葉そのものを先に見てしまったせいか、私には、予想通りすぎて拍子抜け。たぶん、レビューを一切読まずに読めば……。
 いや、冒頭でわざわざ「推理小説はとっとと殺人が起こって、そこからドラマが展開していくようだけど、それはおかしい。殺人事件の発生するそのときがゼロ時間であって、ドラマはそこへ向かって進んでいく」と書かれているので、これだけで予想はつくよな普通。
 バレにあたるので一応伏せておこうっと。
 ああ、作者はたいていの小説では冒頭とか序盤、せいぜい中盤に存在する「ゼロ時間」を、クライマックスにするんだな、って。
 そうなった途端に、ものの見方が、「殺人は起こったけどこれは本筋じゃない。これを利用することで起こる殺人こそがメインディッシュ」となって……まあ、読めちゃったかなと。

 もちろん、だとしても最後まで読むくらいには普通に面白いものでした。

 で、ミス・マープルの出てくる「火曜クラブ」。実はこれもマープルものの中では読んだことがなかったという落とし穴。入門編だろうっつーに。
 六人が集まって、それぞれ「自分だけが解答を知っている未解決事件」を話し、他の人が推理する、という趣向が、二度分+αの短篇集です。
 こちらは徹底した検証なんかしない、推理の面では穴だらけの娯楽探偵小説。誰の直感と視点がたまたま当たったか、というだけで、そうでしかありえない可能性を徹底して突き詰める本格ものとはまるで趣向違いです。
 マープルものは、この主人公のおばあちゃんを作者が気に入っていて、また読者もそこに魅力されるようですが、あいにくやっぱり私好みじゃないですね(笑)。マープルさんかわいいっ★ってなる人にとってはたまらないことは分かりますけど。
 あとはまあ、現代ほどあれこれ複雑化してしまうと、「○○というものは××だ」と、人間をいくつかのテンプレに分けてしまい、それが外れることのない流れに違和感を覚えるのかもしれません。それをホームズみたいに頭のおかしげふんげふん偏狭な人がやるのであればそれはもう一種のコメディですけど、人のいいおばあちゃんがやったらマジすぎて笑えないというか。
 やっぱあんま合わないなぁ。
 と思いつつ、ストーリー自体は良かったですね。しかし13話めは要らなかったな。この本としては、12話めで終わったほうが美しかったと思います。

 それ言えば「ゼロ時間へ」も、あのハッピーエンドは蛇足にしか思えません。
 安直すぎる。そうなる下地がほぼない。ストーリー上からそうなる必然性もないし自然な流れでもない。
 「実はバルト警視は」ということを書き加えたかったとしても、あんな茶番の中に入れる必要はなく、甥っ子に指摘させることもできるはず。
 そのシーンがなければ「なかなか満足」で★4だけど、そのせいで★3にしたくなるくらい私には艶消しの蛇足でした。あれで救われた気持ちになって読後感がいい、という見方もあるので、好きな人はほんっとハッピーエンド好きなんだなと思います。



2015年3月17日(火)

 うむぅ。ザレゴト久しぶりですね。
 ついったでついつい零してしまうせいもあります。
 しかしそこで呟いたことを、いずれまとめてこっちで再検討しようかとも思っていたり。

 12月から2月は完全にDAI大フィーバーでしたが、3月に入ってがくっとペースダウンしました。
 理由はいろいろありますが、やっぱ400時間もやってりゃ満足するってことと、ついったでできたドリ仲間とドリドリ妄想吐き出してるのが楽しいからって事実も(笑
 その一方で、一日に1冊強の勢いでクリスティ読んでました。

 
 「オリエント急行」。
 これはもう、今ならともかく当時としてはあっと驚く意外な犯人ではなかったかと。
 無理やり感とご都合主義は否めませんけど、話のテンポも見え隠れする謎も心地好く、やはり「面白い」と思って読める逸品。
 でも、もしそもそもの前提が可能なら、可能なかぎり犯人にとって都合のいい現場にできるわけですから、アリではないかと。ただ、その「前提」が普通は難しい。
 ネタバレを封印するとなにも書けなくなるのが残念です。

 「カーテン」。
 これはポアロ最後の物語。
 クリスティはマープルのほうがお気に入りで、ポアロは「人気があるから仕方なく。作者としてはあまり好きじゃない」という感があるのですが、だからこそ、ですかねぇ。ポアロファンの中には受け付けがたい人もいるように思います。
 私からすると、ヘイスティングスが鬱陶しい(笑
 なんかもうあからさまで、だからこそ、「あ、こいつか犯人」って分かっちゃう。
 ヘイスティングスは、ホームズにとってのワトスン同様に「探偵の引き立て役」であり、「探偵に欠けている素朴な人間味」なのですけど、ヘイスティングスはワトスンより自己主張強いからね。
 でも、彼がワトスンと同タイプだったら、出す意味ないと思うのです。つまりヘイスティングスは、ワトスンよりはるかに我が強いから面白い。鬱陶しいくらいで丁度いいというか。ポアロの変人ぶりはホームズほどでもないし。

 「ポアロのクリスマス」。
 これはなかなか。
 章=一日で、時間進行がはっきりしてるのも私好みだし、ミスリードにしてやられた!!
 あからさまだなぁと思って、でも「だからってこいつじゃないような?」と思って読んでたら。
 くそ、お見事!
 騙されてなんぼのミステリの楽しさを味わえましたな。

 「メソポタミヤの殺人」は再読。
 トリックは覚えてたし、初読のときからトリックはすぐに分かったので、実はイマイチ。再読で新しい魅力でも発見できるかと期待したけど、うーむ。
 クリスティ作品はトリックがどうのとかだけじゃなく、ドラマとしても面白いのがポイントなんだけど、これは、被害者である夫人のキャラクターが、説明されてもちっともピンと来ないというか。
 ポアロは「被害者の人間性が分かれば」と言って、事細かに彼女がどんな人かを説明するんだけど、「ああなるほど」って思える具体的なシーンがないんだよね。

 「死者のあやまち」。
 今回ぶっ通しで読んだ中では一番微妙だった。
 おかげでどんな話だったか、今ここ書いてても思い出せない始末。ひどい(笑
 えーっと……オリヴァ夫人に「なんか起こりそうだからあんたも来るのよ!!」的に巻き込まれ、お祭りの余興の犯人あてゲームの被害者役が、本当に殺される、と……。
 で? 犯人誰だったっけ?
 こんな始末です orz

 「葬儀を終えて」。
 これは今回初めて読んだ。
 なかなか面白い……でもなにを描き出したかったかの、ピントが2箇所あってフォーカスされきってない感じ……というか?
 たぶん、動機が咬み合わないのかな。もちろんありうる動機なんだけど、もっと内面的などろっとしてもののほうがフィットしたような。
 なんかこう、のめり込む前に流されて終わった感、というか。

 「ナイルに死す」。
 これは再読。面白いものは二度目に呼んでも面白い、と思う作品。
 あくまで個人的な好みと感覚だけど、登場人物が多くてあれこれ怪しいこととかミスリードとか散りばめられてても、まとまっててぐいぐい引っ張ってく勢いを感じる。
 単純だけど「そう来たか!!」っとていうトリックとかね。
 恋愛もの苦手なのに、恋愛関係が前面に押し出されている話を面白いと思って読める、というのが、この作品に対する私の個人的な最大の賛辞。

 「ABC殺人事件」。
 これは三度目のはず。
 それだけに新鮮味はないけど……それを差し引いても、何度読んでも面白いっていうのじゃない感じ。
 と言ったところで三度目ちゃんと読んでる奴が言うことだから(笑)。都度忘れてるところもあって普通に読めてしまう。
 けど、「次の犯行が起これば」って、それを防ぐ努力はするとしても、殺人待ちみたいな台詞はちょっとな。
 あと、あからさまなABC氏が絶対に犯人じゃないことは分かるので、ミスリードにもなりゃしない。
 これは、ミステリずれする前に読んだほうがいい気がする。それ以外にあんま見どころない気がするし。

 「三幕の殺人」。
 犯人は読めたけど、サタースウェイトおじちゃんがなかなかいい味出してたし、面白かった。
 あと最初の犯行の動機はなかなかあるものじゃないけど、ありえないとは言えずなるほどなと。
 ただ、行方不明の執事の時点で犯人割れるよね、これ? もちろんミステリ慣れしていればの話だけど。

 「ポケットにライ麦を」
 ここでポアロものではなくマープルものへ。
 これはタイトルだけ知ってたけど読んだことなかったもの。
 こういう童謡とか使った見立て殺人に慣れるほどミステリ読んでると、「何故その童謡に見立てる必要があったのか」から、トリックに見当がつくようになる。
 しかしマープルものはポアロものほど読んだことがなかったのでなかなか新鮮。
 しかし……洗濯バサミで鼻つまんで、鳥がつつくことの見立てってちょっと無理ないか? まあ、その洗濯バサミが死者の尊厳を傷つけるような真似だとマープルおばさんが怒って乗り込んでくるわけなんだけど。
 でも逆に言えば、そうじゃなかったら「あらまあ可哀想にねぇ」でスルーだったわけ?とか余計なこと考えてしまった。

 「カリブ海の秘密」。
 評価高いので期待して読んだ。ラフィールという臨時相棒が良いと評判なので期待してたけど、協力するようになるのが半分に差し掛かるあたりだし、実のところほとんど組みもせず、何度か会話するだけ。
 ストーリーはいいけど犯人は冒頭で「はいはい」と分かるパターン。推理とかじゃなくて、ミステリの定石から読めるパターンね。ただ、マープルものは論理的な推理で本格的にどうってものじゃないと思ってるのでまあいい。
 あと、マープルさんがネメシスって……うーむ、私の読みが浅いというか、感性が磨かれてないからのようにも思うけど、そこでぐっと来るような説得力はないなぁ。「え? なにおばあちゃん急に名乗ってんの?」ってなっちゃったよ。
 むしろラフィール爺さんは良い味出してた。
 ここまでにいくつも、遺産巡っての殺人とか読んできてて、「そんなことすっから殺されるんじゃん」って思ってたから尚更、「自分が生きていたほうが得なようにする。死んで得する奴は事業上のライバルくらい」にしてるラフィールさんが素敵でね。そらそうだよ。この爺ちゃん生きてれば高給もらえて、死んだら遺産は全部福祉とか国とかでしょ。だったら殺さず少しでも長生きしてもらえるようにお世話しますわ。しかも、一年ごとに給料25%上乗せですよ!? しかもしかも、たしかに口汚かったり癇癪持ちだったりはしても、根はそんなに悪い人じゃないんですよ。雇ってもらえるだけの能力あったら私、ずっとラフィール爺さんの秘書とか世話係やりたい。
 と、つい語りが長くなるくらいには気に入った次第(笑

 というわけでその続編にあたる「復讐の女神」も、マープルさんの"冷酷さ"については、頭で考えるだけしか分かりませんでした。
 これまた犯人というか、起こったことはもうあっさり分かる。よくあるパターン。
 そのパターンていうのは、誰でもこのパターン使うだろってくらいに普遍化したものだから。そのパターンにいかに気付かせないか、が腕の見せどころかなと思うくらいに。
 だからパターンは責めない。ただ、それを差し引いてどれだけ面白いかがマープルもの。
 カリブには劣るな……。
 でもマープルものは、安楽椅子探偵である彼女がほとんど出てこないものもあるので、全編に渡ってうろうろしてるカリブとか女神はそれだけで好きです。
 ただ、これは翻訳が微妙だった。特に冒頭が明らかに読みづらい。
 あと、カリブ時にはけっこうしゃっきりしてたマープルさんが、すっごいよぼっててつらい……。

 「鏡は横にひび割れて」。
 これもマープルもので初。
 評価極端みたいなんだけど、私はけっこう面白かったな。
 動機はすぐに分かる。こまかいとこまではともかく。
 このあたりまで読んでくると、単に小説としてだけでなく、人間観、人生観としてなるほどと思える言葉が出てくるのが美味しくなってくる。
 この話の被害者は、「親切だけど思いやりはない」と評される。つまり、自分がそうしたいから親切しているだけで、それが本当に相手の求めるものか、思いやることをしない独り善がり。
 でも本人にはまったく悪意も悪気もないから、自分が他人を苛立たせていたり、傷つけたりしてるって自覚がない。
 ただ、それがこの殺人と密接に関係しているかって言ったら、それはさすがにちょっと。たしかに、自分の欲求だけでそうせず、周囲のこと考えたほうが良かったのかもしれない。けど、自分のその行動がそこまで深刻な問題を引き起こすかもしれない、と考えられるとしたら、少し被害妄想気味じゃないかと。
 でもまあ「これくらいいいでしょ」と思ったことが、他人にとってはそうじゃないかもしれない、という教訓にはなるかな……。

 「クリスマス・プディングの冒険」。
 そしてポアロものの短編に戻って来ました。
 最初の2編が面白く、その後はそれなり、かな。
 「ポアロは長編がいい」って言われるけど、ポアロ=できるだけ本格推理、なんてそもそも思ってないので、推理に穴あったって無理やりだったって気にしない。ていうか、そういう理詰めの本格もの好きならクリスティ求めるのが間違いじゃないかなとさえ。クリスティはなにより先にまずストーリーテイラーだと思ってるから。
 ただ、短編の困るところは、一冊の間に出てくる人物が多すぎて、誰が誰だったかごっちゃになるってこと。
 しかもクリスティの場合、ファーストネーム、ファミリーネーム(特に女性の場合○○夫人)、通称が入り乱れるので……。
 長編だと、読んでいく内に自然と誰が誰か分かるようになっててさすがだと思うんだけど、短編はもう記憶力勝負な気がする。

 「ヘラクレスの冒険」。
 12話入りなので短編の中でも短いもの詰め合わせ。
 ヘラクレスの難業に合わせた話なんだけど……どうも一気に読みできなかったのは、短編ならではの誰が誰やら感と、やっぱり今一つぐっと来ない話が多かったせいか。
 リアリティなんてそれほど求めちゃいけないけど、一冊というコンパクトな中でポアロがあっちこっちの国・場所に出現してると、ますます「単なる趣向」感が強まってしまうのもな。

 「愛の探偵たち」。
 これまた短編集で、ポアロものメイン。
 ただ、一話目、「この人ポアロの変装だろ?」と思ってケツまで読んで、これだけシリーズものじゃないことに最後の最後で「あ、そうなの」と思った(笑
 面白いんだけど、青年が必死になってた理由がなんなのか、結局明かされてなくね?? てっきりヒロインが○○で青年が××だと思ってたのにな。
 全体的にすらすら読めて、ヘラクレスよりは良かったけど、逆に言えばこれぞというものもなかった感。
 ただ、最後の一本がクィン氏もの。
 今まで読んだことがなかったので……。

 「謎のクイン氏」。
 というわけで、クィン氏ものに突入。彼はこの短篇集と、愛の探偵の1本、「マン島の黄金」なる短篇集で1本しか出てないらしい。
 ここまで読んできた中で、「もう行っかいもうかな」と思った短篇集はこれだけ。つまり面白かった!
 ただ、第一話から最終話まで、クィン氏なる人物がだんだん超常現象になってくあたりで好みは分かれそう。
 私は別にこれでもいいけど、「正体不明で神出鬼没だけど人間は人間」でも良かったなと思う。
 あと、第一話の「クィン氏ならではの技巧」も、彼が現実味を失うにつれて薄れていくのも残念。
 第一話のクィン氏はあれですよ。「適切な答えは、適切な問いかけによって生まれる」みたいな感じ。自分があれこれ語ることはなく、「それって……?」と相手に問いかけたりすることで、「え? いやつまりそれはね」と相手に思い出させ、「そういえばあのとき」と、埋もれていた記憶を掘り起こしたりする。
 その結果、真相が導き出される。
 三幕の殺人にも出てる名脇役・サタースウェイト氏がレギュラーなんだけど、彼の役どころも微妙に変化。クィン氏に促されて事実に思い当たり、実質上の探偵を務めるのかと思いきや、彼以外の人物たちの会話だけで進んでしまったり。
 まあでも、クィン氏―――若いと書かれてるところもあるけど、それはたぶんサタ氏が62〜69歳なので彼から見ての話で、どんなに若くても30後半から40前後くらいだと思われるけど、自分より年下のクィン氏なのに、会えるとものすごくうれしそうなサタじいちゃんが妙に可愛らしかったり。一箇所、犬みたいっていう表現もあった気が。

 ―――という具合に、一日に一冊強のペースでがんがん読んでたわけでした。



2015年3月18日(水)

 エクスペンダブルズ3!!
 本日到着!!
 劇場で二度見てますが、EX版もあるしね、吹き替えもあるしね。
 つまりあと2回は必ず見る計算。

 でもまずはEX版からな。
 追加シーンって全体的にはすごい短い? さすがに劇場が半年くらい前なのでこまかいところはうろ覚えです。
 なんかすごい地味に削られてたというか追加されてるというか。

 劇場で見たときから繰り返し思ってるし書いてるけど、作戦台無しにしたのに偉そうなバーニーと一言も責めない仲間たちな。
 あと、病院のシーンでのシュワちゃんが本人に見えないのは私だけ……?
 そしてスマイリー(ケラン・ラッツ)の群を抜いたイケメンぶり。
 でも不貞腐れて撃ちまくってるときのガンナーのブルーアイズの美しさな。
 そしてヤングたちの作戦内容、バーニー理解してないように見えるし。
 片道切符でも道がないよりいいって台詞やっぱり好き。
 そしてガルゴトークをちゃんと聞いてたバーニーがな。あの林のシーンもいいですね。

 あんだけ戦車砲撃ってビルに仕掛けたC4が爆発しないのが謎
 でも戦闘シーンもちまちま追加されててうっひょー♪ クリスマスが銃撃でもスタイリッシュにキメてくれますけど、やっぱナイフ格闘ですね。イサムさんかっけー!
 ガルゴ=バンデラスのありえない撃ち方。この映画でそのへんのリアリティなんか優先度下位です。ミリタリーとしてのリアルなんかクソで結構。
 ドク=スナイプスはせっかくだからブレイドアクションしてほしかったかな。もっと長い刃物使ってさ。……あ、またブレイド見たくなってきた……。
 このあたりはもう、「この御大ならぜひともこれを!!」ってのがあるからね。
 それ考えるとリンチェには格闘をとかも思うけど、このとき体調悪かったとか? 屋上で少しくらいは格闘すればいいとこでも銃撃ってるので、やっぱ見せるに値する動きができなかったのかなぁとか。
 ヤングの中ではルナたんはやっぱ組んでからの格闘がすごいなー。マーズはあんま格闘家らしいとこなかった感。
 ラッツくんは格闘家じゃないしアクション俳優って枠でもないからな……。イケメンゆえに出番は多めだしバイクアクションもあるけど、あれはスタントでしょ?
 そしてマッドマックス(笑)。いやーいろいろと発言には問題ある人ですけど、やっぱり俳優としてはすごいなと思わざるをえません。佇まいとかメヂカラとかね。見入りますもの。
 クリスマスとドラマーの「何語で喋ってんだ」ネタも好き。コックニー(倫敦下町なまり)が強すぎて聞き取りづらいってことですが、それ言ったらトレンチのオーストラリアなまりだって相当なもんじゃないかと。

 まあなんだ。
 おっさんたちと若者がどすこい暴れるのといちゃこらしてるのを楽しむ映画としては文句ないですね!
 もうちょっとマーズとトールにも活躍してほしかったなとか、ソーン登ってるだけじゃん!!とか(ホテルのときと爆弾止めるのに活躍してるからいいけどさ)、シーザーが序盤でリタイアしたのは、テレビ撮影との兼ね合いで3日しかスケジュール取れなかったからだとか。
 でもこれだけの人数いてがっちり見せ場作って、最後のビル内でのアクションになるとかなり長いのに退屈せず楽しんでしまえるというこの。
 残酷描写がなくなってるのは、私個人的には、1と2の「そこまでやる必要ある?」というのが疑問だったので(全員で一人を撃ちまくるとか)、3も不満ではありません。
 が、血も飛び散らないのはちょっとなと思うので、間をとってほしいところ。

 で、特典ディスクー!!
 「スライについて」でイサムさんが褒めまくった挙げ句、「これ以上褒めたら恋人だと思われる」とか言っててウケる(笑
 スライのインタビューでは、4はコンパクトにし、残酷描写はこれまでのものより強くする、と言ってるのがな……。誰が切られるんだっていう不安まで追加されるわけで。
 しかしこういうインタビューって、本気でそう思って答えてる人もいるけど、当然、つまらんけど仕事だからこなしたというだけのこともあって、だとしても金もらって宣伝してるからにはそういうことは言えないわけでな。
 ハリソンとか、けっこう後になってから「実はあの映画は」ってダメ出ししたりしてるからな。メルギブ見てるとあんま本心じゃないように感じられるし。
 どう隠そうとしたところで、インタビューとかに本人の性質は覗くもの。喋りたがる人もいれば他の人に喋らせようとする人もいるし、サービス精神旺盛な人もいればビジネスライクな人もいるし。「その質問に何故そう答えるのか」が、内容以前のスタンスの時点で醸し出すものがあったり。軽んじてなければそういうこと言わないよね?みたいなね。
 とはいえ、スターも人間なら完璧であることなんて求めないし、そこに覗いたものだけがその人のわけもないし。
 問題発言のメルギブも、その発言=思考だけで彼のすべてが決まるのかっつーたらそうでないと思うくらいで。
 だいたい、一緒に仕事するわけでもないし関わることなんてない鑑賞者なら、俳優の人格なんぞより演技力とか映画そのものの良し悪しだけ見てりゃいい気もします。

 ともあれ、吹き替え版は明日だ!!



2015年3月19日(木)

 エクスペのEX版ったって追加はたった5分なのですが、……だったら削らなくてもいいだろうが!! って言いたいのはさておいて。
 囚人輸送列車襲撃のトイレ兵はたしかに要らないけど、ストーンバンクスがシーザー撃つシーン、劇場版ではケツ撃ってるようにしか見えなかったんですよね。これはもう最初に見たときから「ケツかよ」って思ったので覚えてます。
 でもEX版だと、そこから胸のあたりに照準移動させるほんの1秒足らずの追加があって、むしろなんでそれを削ったのかが分からないっていう。

 最後の廃墟戦闘はやっぱけっこう追加されてるなぁと吹き替え見て認識。クリスマスのパートかな。敵副官との戦闘はナイフ突き立てるシーンがカットされてるし。しかもどれもすごい格好良いシーンばかりなのにぃぃぃぃ。
 で、吹き替えのガルゴも良い! ドラマーもこれまた格好良い!! 本来のハリソンは声にもかなり年齢出てますが、吹き替えだともう少し若くて渋い感じでこれがまぁ。
 字幕では英語以外のため翻訳されてない部分も吹き替えだとちゃんと日本語。冒頭の列車乗組員もそうだし、最後にガルゴ・トレンチで「あんた誰よ?」「おまえらの救世主★」の後にわめくのとか。でもあそこは突然スペイン語でわめいて「なんだありゃ?」って感じのトレンチもいいわけで。
 つまり字幕も吹き替えもどっちも最高に美味しかったデス。
 なんなんだろな、この眼福映画はもう。

 それだけに、もっとこうだったらという贅沢も言いたくなるわけで。
 プロモの時点では秘密にしておいてほしかったなってのが、ストーンバンクスが元エクスペメンバーだってこと。
 がんがん宣伝されてたからハナっからそのつもりで見てしまったけど、若手軍団連れて向かう途中に、スマイリーから「なんでそこまでして奴を追うんだ」って言われて、CIAの資料渡すじゃない?
 ホントはあそこでタトゥー出てきて、「元メンバーか!!」って、そこ、驚くとこだよね? そういう演出だよね?
 なのに最初から告知されちゃってるから、観客は全然驚かないし、だからタトゥーの写真が出てくるシーンの意味が大激減しちゃってるのね。

 「エクスペ軍団の弱点を知り尽くした最強の敵が」とか謳われてるけど、弱点ついていやらしい攻め方もしてこないしさ。
 もっとバーニーの弱点突いてきてほしかったし。人質見捨てられないだろってだけじゃ地味すぎる。こういうことするとおまえ必ずそういう反応するよな、みたいなんで罠に追い込んでいくみたいなのが良かったな。
 しかもエクスペの弱点知ってるったって、ストバンいた時代のメンバーなんてバーニーとドクだけで、ガンなーたちも後入りなわけでしょ? だからぶっちゃけ、「弱点を知り尽くした敵」って設定が全然生きてないのも否めない。

 正直言って、メルギブが悪役だってだけで話題性十分なんだから、「元メンバー」なんて煽ることによる期待値なんて入れなくて良かったと思うわけ。
 宣伝時には、"エクスペ史上最強最悪の敵"ってだけにしておいて出自伏せて、発覚シーンで「マジか!」って思わせたほうが面白かったろ。
 何故最強の敵なのかってあたりに、バーニーの弱点とかクセ知り尽くしてるって設定が生きれば、正体発覚時も含めてもっと盛り上がったはずなんだけどな。
 で、「おまえらみたいな古臭い連中のすることは知り尽くしてる」みたいな形でこさんメンバーも有効とは言えないってこと匂わせておけば、新参メンバーの必然性、有用性も上がるし。
 でもそうすると、ストバン自身をちゃんと次世代に適応させ必要は出てくるね。ソーンみたいなタイプの部下も抱えてて、対応できるはずだし。
 そうした上で、最後の最後になってやっぱ自分で決着つけようとしちゃうとこで、「おまえも俺たちと同じ過去の遺物だろ」みたいなさー。

 とか言いつつがっつり楽しんでます。
 プレデター見たくなったな。「ヘリに乗れ!!」はコマンドーのほうだっけか?? 元ネタがあるのは分かるけどそのあたり曖昧なものもけっこう。

 あと、4で規模縮小するとしても、切り捨てるメンバーを間違ってはほしくないなと思ってます。
 エクスペの売りというかコアは、「アクションスターの超豪華共演」。ありえない超メンバー。たしかにそれは映画としては表層かもしれないけど、エクスペファンが見たいのがそれなのは間違いないはず。
 なので、スケジュール合わなくてどうしてもガンナーが出られない、とかで、3のシーザーみたいにたまたまその回だけほとんど出番がないとかなら仕方ないけど、そういう理由じゃなしは古参メンバーとかスナイプス、バンデラス級のメンバーをカットして、「アクション……の人だっけこの人?」とか「たしかに人気あるけどアクションスターとしての重みは足りないだろ」みたいな俳優入れたりはしてほしくないなと。
 ぶっちゃけ、若手メンバーも好きですけど、彼等残して古参切って作ったりはしないでほしいなと。
 でも、エクスペというシリーズの中で、古参が引いて若手が加わってくる、ってのは……映画としては、アリだとは思う……思うけど……やっぱ我等が見たいのは、超豪華アクションスターの共演ゆえな……?
 既存メンバーから誰か切るしかないなら、あくまでも本業格闘家だったりするトールとか、若手ならマーズやルナだろうと思います。いやトール大好きだけどさ。強いけどどっか普通人っぽくて貴重な癒し系だし。



2015年3月22日(日)

 ナイトミュージアム3見てきました!
 これは去年亡くなった我が愛するロビン=ウィリアムスの最後の作品ゆえ、なにがなんでも劇場で見たかったのだな。1と2も好きでBD持ってるしな。
 面白かった!!
 こまかい粗なんてあり放題ですけど、そもそもこの映画はファミリームービーで、だからエロなし、グロなし。内容も単純でベタ。あれこれ難しいこと考えて見るもんじゃなし!

 はっきりとしたバレはありませんが、内容には触れているのでご注意。

 見るなら、1作めだけは見てからのほうがいいですね。懐かしい人たちも出てきますし、冒頭の彼が実は彼だったのかよ!!とか、これは1作め見てなかったら意味ないもん。
 2作めとの関連はほとんどないし、登場人物も1作めの人ばかり。もともと2作めはスミソニアンに出張してるから仕方ない。
 今回は大英博物館。
 輝きを失った石版のせいで魔法の力が弱まり、このままではみんな動けなくなってしまう……。アクメンラーの父なら石版のことを知っているというので、ラリーはアクメンラー……アックと呼んでますな(笑)。彼とともにロンドンへ。
 石版が持ち込まれたため動き出す現地の展示物たちなんだけど、動けるようになったのが初めてなのでなんかぎこちない。
 エジプトの展示室へ向かわないと行けないのに、困ったことに、トリケラトプスの骨格が道を塞ぎ、どたばたしてる間にジェドたちミニ二人とはぐれてしまいます。
 現地では円卓騎士ランスロットが仲間になるんだけど、彼は、頼れるイケメン……かと思いきや?

 ジェドたちの「わ゛―――ッ!!」→カメラが引くと(しーん……)「わ゛―――ッ!!」(しーん……)は今作でも健在でした。
 そういう定番の笑いを得るためにも、1作めは鑑賞必須かと。

 公開数日後にこれ以上は書きませんが、ラスト付近はうるっと来ました。
 デクスターが……おさるちゃんが……。がわいい……。1作めも2作めもこんちくしょうな子でしたけど、3作めはおとなしくなったなぁ。
 テディは相変わらずラリーを支えてくれるし。

 ベン・スティラーは今回一人二役。
 最初は「え? この役要らんだろ?」と思っていたのですが、最後になる頃には、これはこれでアリかなという気になりました(笑
 それから、ご本人役でちょこっと出ているとある有名俳優さん。大物って呼び方は不適当ですけど、ヒーロー役の渋めのイケメンさん。
 んー……映画中のネタ使って、無理やりヒント出すと、強引に和訳したら「大悪男」になる、かな(笑
 ベン・スティラーってイケメンって認識はなかったのですが、最後にテディと話してるとこで、「この人かなりのイケメンやないか」って思った私。目が潤んでるのがまたたまらん……。

 ともかく、ラリーと展示物たちの間に育まれた友情が素晴らしい作品だと思います。
 1作めの出会い、2作めは一部のキャラ以外お留守番でメインはアメリアになってるけど、それも経て3作めでは信頼と友情、絆がしっかりと存在していてな。
 1作めではなかなか協力してくれなくてみんな勝手だったのが、今では互いに助け合うこと、それはもう当たり前になってる。かけがえのない仲間になってるのが、シリーズ通して見てきた者としてはもうそれだけで感無量。
 そして最後に一つだけな。
 はっきりとは書かないけど、これは一応伏せ色で。

 入ればええやん。それはあんたのためじゃなく、みんなのためだよ。みんながそれを望んでるんだよ。絶対待ってるよ。どんなに思ってると思うのよ。
 見終わって帰り道、そのこと考えてたら一番切なくなりました。
 だから、いないね、来ないね、知らないのかな、じゃあこっちから行こうぜって町に繰り出して、またドタバタ騒ぎが起こるんじゃないかな(笑
 みんなにとってラリーは、秘密の夜には絶対に欠かせない、大切な仲間なんだからさ。




Made with Shibayan Diary