烏の足跡



2002年1月17日(木)

「裏表陰日向」

 新しいバイト先に入って、丁度一ヶ月が経過した。
 ぼちぼちと人と当たり障りない話をするようにくらいは当然なってるんだが、なんというか、・・・まあ、どこにでも、誰との間でもあることなんで、あらためて取り上げることもないんだが、裏へ回ると愚痴の連発。
 今のところ、私のいる位置というのは、誰の味方でも敵でもない、というところだから、巻き込まれずに外から見ている感じ。  できるなら、これを保ちたいと思う。

 深入りして、強く関われば、好きな相手も嫌いな相手も生まれる。
 ニンゲンカンケーなんてものは、その奥で成立するのかもしれないし、そんなことは分かってるんだが、今のポジションが、心地よいのである。
 一線をキープしていたほうが、冷静でいられるし、公平にもものを見られる。
 「あの人はああでこうで」とあちこちから情報という名の愚痴を聞かされるが、今は、「そうとられる行動をその人はするようだが、なにをどう思い、考えて、そうしているのかまでは、誰も分かることじゃないしな」と客観的に見ていられる。

 で、ちょっくら外側で見ていると、分かる(ような気がする)こともある。
 パートのおばちゃんたちにせよ、高校生のアルバイトたちにせよ、(私と同年代は社員で数人くらいか?)それぞれに、自負があり、こうと信じるものがあり、それに依ってものごとを見ている。
 主婦やってきて、そのK店のパートで働きはじめて○年、というおばちゃんは、他の店のやりよう・手法というものを知らないから、K店で身につけたことしか知らないし、それが一番正しいと思いがち。
 高校生くらいの子は、やっぱりまだ、ものの考えようの中心が自分にしかない時が多くて、嫌なお客さんとかを「まあ、そういう人もいるやね」と流せなかったり、感情のみでパートさんたちといがみあったり。
 また、どちらも管理側の苦労とかを身近で知らないし、考えた(考えさせられた)ことがないのか、シフトの組み方や休みの数とか、とにかく裏で文句を言うだけ。

 私にしてもまだまだ考えの至らないことは多いが、少なくとも、一つだけ彼らと違うところがあって、それを利点にできる気がする。
 それは、いろんなバイトをしてきたこと。
 一つのところに5年、6年といて得られる何かがあるとすれば、それは持っていない代わりに、いろんな店、経営者のやりようというものを知ってる。
 それぞれの店にそれぞれの正解があり、そこで出会ってきた人たちから、少しずつ、いろんな知恵をもらってきている。
 長くいて初めて分かるようなことは、長くいる人に任せて、私は、あちこちでつまみ食いしてきた知識なんかを、プラスにいかしていきたいなと思わんでもない。

 深入りしなければ、ぶつかるこもない。
 誰に肩入れもしなければ、常に平地に立てる。
 言葉がきついとか、偉そうなものの言い様するとか言われている人のことは、嫌いになる前なら、「あ、この人は絶対これで損してきてるな。それに、言い方がきついだけで、腹の中は誰も大差ないかもな」とでも思っていられる。
 あらさがしばっかりする、と言われている人も、その人がちゃんと仕事してて人の怠慢をチェックしてるなら、あれこれ文句言えることじゃない。

 前の日記にちらっと書いた気がするが、腹のうち、というヤツを知ってみれば、そうだったのか、と理解・許容できることもある。
 人がなにを考えて「そう」しているか、知りもしないで、自分の利害(金銭・感情など全てにわたっての)だけを考えて発想しても、ろくなことはない。
 ま、なにより、気の持ちよう一つで嫌いなものが減るなら、それに越したことはない。
 腹を立てられるのも嫌われるのもイヤなもんだが、怒ったり「あいつ嫌い」とか思ってるのだって、愉快じゃないしネ。

 やや支離滅裂だが、久々にマジメなことを語ってみたり、したのであった。



2002年1月29日(火)

「ニンゲンカンサツニッキ」

 「話題」。
 前回からの続きというか、今回のテーマはこれ。

 前回、共通の話題がどうの、と少しだけ触れた。
 人と話している場合の話題というと、当り障りない天候だのなんだのから、同じ趣味嗜好の持ち主とのディープなものまで、いろいろある。
 なんにせよ、同じだけ言い合える、あるいは聞いていて理解できる話題でなければ、会話は続かない。
 ここ数年、私の周囲は文筆関係、絵画関係、ゲーム関係の「話題」で満ちていた。
 しかし今。
 ……そんな話のできる相手はイマセン(T_T) ネットも毎日つなげるわけでもないしな…………。

 いや、私のことはどうでもいいんだが、今のバイト先での話題について、ちょっと「おいおい」なことが。
 話題=愚痴なんですが、あの場所(汗
 私が誰かと話す場合でも、休憩室で誰かと誰かの話を耳にしている場合でも、仕事に関わらない話題を聞いたことがほとんどといっていいほどなく、たった一度だけ耳にした、「映画(ビデオ)」の話が鮮烈くらいである。
 これはなかなか凄まじかろう?

 どんな場所でも、人数が増えれば「派閥」みたいなものができあがるのは無理ないとして、その派閥の間で、あるいは八方美人に、「あの人はああだこうだ」と愚痴と告げ口しか話題ないんですかアナタガタ?
 さもなくば、家庭のこととかに対する愚痴で、一つにまとまるらしい。

 何処にいたって何をしたって、愚痴が話題になることはあるし、私も、私が今までに見て来た場所でも、それは大差ない。
 仕事の場では、その場所そのものが同僚との「共通項」だから、それを話題にすればお互いにいろいろ話せるのは確かだ。
 しかし、何故にこうも、個人的な趣味とか、娯楽の話題がないんデスカ、ここ?

 建前も外面も、そんなもんでいちいち驚いたり呆れたりするほど純な己ではないが、ここまでありとあらゆる愚痴だらけだと、さすがに「俺は喋らんぞ」と思ってしまう。この喋りたがり屋の喧しい阿呆烏が、だ。
 人のことをあれこれとあげつらってこきおろすのを、こうも毎度見ていると、これの同類にはなりたくないな、などと、我が身を戒める気にすらなる。
 それで、この日記をただの批判に終わらせないためには、少しはこの状況を分析してみる必要がありそうだ。

 ともすると。
 どの愚痴も、誰から誰への言葉も、大して意味なんかないのかもしれない。
 なんというか、本当にもう我慢ならずぶちまけている愚痴というのではない気がするのだな。
 非常に腹立たしいことがあって、けれどそれを面と向かって言うには、立場とか利害とか、あるいは自分の落ち度とかがあって、でもどうしても吐き出したくて、……と酒の席で零すような切羽詰った愚痴とか心情吐露ではない。
 あくまでも、コミュニケーションツール。
 共通の「敵」を攻めることで連帯感を持つに似た、その場かぎりの話題作りの道具。
 だから、馬が合わない、普段は愚痴の「対象」にしている人とでも、何かあれば、別の誰かを肴にして話す。
 深刻でないから、「肴」した人のことを本当に嫌っているのかというと、実は「好きじゃない。どうでもいい」程度だったり。

 こうも日常的に蔓延し、あちらからこちらから聞こえてくると、そう分析してしまうんだが……。
 どんなもんなんだろう。
 言うだけ言って、そのことにお互い、それほどの重みは見出さない。
 しかし、重くないから構わんなんてこともない。
 その場のノリとか勢い、話題作りのためだけに、誰かのことを悪く言うってのは、みっともいいもんじゃない。ハタから見ていると、その人の狭量さというか、浅はかさというか、とにかくなんか、小ささを暴露しているようだ。
 「実」が少ない話題のための愚痴だからといって、そんなものを次から次へと出していくのは、情けない。 重みもない上、それで自分がどう見られるかも考えていない、名付けるなら「軽率な愚痴」。
 ……己にも覚えがあるだけに、自分で書いといてやたらずっしりと重いんだが……かなり本気でな……(汗

 愚痴。
 たまにはいい。
 愚痴一つ言わずに過ごせるほど人間できてたら怖いし。
 けど、「軽率な愚痴」は、慎んだほうがいい。いや、別にいいも悪いもない。単に、私は「慎まんといかんな」と思った、というだけのことだ。
 それこそ、たまに軽く零す程度なら聞き流し読み流して終わるだろうが、それが頻出するようなら問題だネ。



2002年1月30日(水)

「ニンゲカンサツニッキ」

 1/29は棚卸だった。
 この日だけは全員出勤、同一時間割で集団行動である。 そのため、昼休みには同時に全員が食事休憩をとることになり、それぞれに仲のいい人と連れ立って食事に出かけるのだが、それが事前情報によると、派閥を知るのにいいという。
 そんなわけで、共にいる人たちを観察。
 結果、なんとなく思いついたこと。
 思いついただけであって、確かな裏付けなんかはない、烏流の辛口・ダーク・皮肉・デタラメ分析である。
 さて、アナタの所属する集団には、こんな傾向アリマセンカ?(なにを訊いてるか己)

 グループ1……「被害者意識の強い人たちと宥め役」
 おっとりしたタイプの人たちで、バリバリ仕事をこなすというタイプではないだけに、手際がいい(と自分で信じている)人たちからは、お荷物扱いされることも多い。あくまで自分たちのことはは「不当に虐げられている弱者」にしておきたいので、人のことをあれこれと攻撃(悪く言う)しない代わりに、自分たちの傷を互いに舐めあう言動が目立つ。口癖は「そんなこと言ったってしょうがない」。
 そういう人たちを慰めるために、温和、あるいは明るく人当たりの良いタイプが一人か二人混じる。愚痴というか、泣き言などを「うん、そうだね」と聞いてあげたり、「大丈夫だよ、気にしないほうがいいよ」と明るく励ましてあげるため、グループ内の被害者サンたちからはありがたがられる。ただし、それが本心からの善良さよるものか、そうやって頼られるのが心地好いためのポーズかは不明。

 グループ2……「自意識の強い自信家チーム」
 てきぱきと仕事をこなし、それなりに重要な仕事や役割を任せられることが多いタイプの集まり。要領の悪い人についてあれこれと文句をつけたり、それぞれ別の分野での自分の役割について語り合う時には意気投合するが、同じ役を割り振られて衝突すると手におえず、昨日の友は今日の敵。ちなみに、仕事の相談、などと称した話の場合、自分の処理能力を自慢し合うだけになることも多々ある。ちなみにレンアイ相談だと、ただのノロケか、いかに相手が悪いかを語り、同意してもらうためのものである。
 人の間で立ち回る上で敵を作ることは損だと理解しているため、とりあえず全ての方面に「いい顔」はして見せる。その裏で腹の探り合いは日常、他人が自分のことをどう言っているのかについて神経質。しかし度量の大きいところを見せようとポーズをとるので、そういったものは表に出すまいとする。こめかみに青筋が浮いていても、笑う顔をしたりする。

 グループ3……「天上天下唯我独尊とその下僕」
 他人のことなんて知ったこっちゃない、と我が道を行く人たちの集まり。他人にどう言われているかも気にしないのが、グループ2との違い。それは、自分が間違っていることなど絶対にないと信じているため、他人の反応でそれを確かめる必要がないからである。私について何か文句を言うほうが間違っている、勘違いしている、と鉄仮面なみのツラの皮で、人の言葉など跳ね返してしまうが、その「正しい自分」が何故か認められなかったり、反感をかっているのが許せず、たいてい渋面をして過ごす。
 そんな人が何故ツルむのかと言えば、「この私が一人でいるのはおかしい」からである。また、それほどに厚顔無恥でも孤独を感じるのは嫌いらしく、時にはやたらにやさしい言動を見せ、配下を作ろうとする。ただしそれはあくまでも自分の意見に何一つ逆らわない下僕でなければならない。

 グループ4……「喧伝スピーカー組」
 闊達で陽性の大雑把な人たちが集まると、虚実を混ぜた、勢いだけの大騒ぎが展開され、盛り上がる。それはそこそこ楽しいので、以後そのメンバーが固定すると、このグループに。話の内容が事実・真実かなどは関係ないため、一の噂が十になるのは、ここで話題にされたときである。もちろん、ありもしなかったことがあるようになるのもここ。
 基本的に愛想が良く社交的なため、他のグループにも日々接触し、どこまでが本当か誰にも分からなくなった噂などが伝達される。ちなみに、盛り上がっていくうちにどれが最初の話、事実だったかは忘れ去られているので、問いただすだけ無駄である。場を楽しむためにあらゆるものを利用するだけなので、言葉に重み(責任感)はほぼないと見ていい。よって、何事か問題が起こった場合には、「私は悪くない」と当たり前のように責任転嫁しまくる傾向あり。

 グループ5……「大切なのはただ一つマイ・ワールド系」
 他人とのコミュニケーションより、自分の世界を守ることを第一とし、単に「はみ出し者」でいるのが落ち着かないから集まった寄せ集め。趣味嗜好に何か共通点があれば、顔を合わせるたびにそのことについてしか話さなくなる。共通点のない者は、単に「集団に所属しているため」だけにそこにいるに等しい。当り障りのない話くらいすればまだしも、ひどいときには、喫茶店などで、全員がそれぞれに雑誌を読んでいる、ということもある。
 自分のことにしか興味がないので、自分から他人に関わろうとはしないが、他人から干渉されると、自分の領域を守るために様々に行動する。共通領域を持つ同志がいる場合、共同戦線を張るのが一般的。領土侵犯を受けた際には、目には目をどころか、一発殴られたら後ろ回し蹴りからハイキック、さらに踵落としのコンボを食らわすような報復を行うか、鎖国する。

 グループ6……「面倒なことは回避が一番派」
 自分の感情や心理に関わることより、目で見て、耳で聞いて確認できるような「事実」を話題にすることが多いのがこのグループ。深く突っ込んで付き合って煩わしい思いをするより、表面だけ撫でておくほうが楽でいいと逃げ腰で接している。たまには家庭についてや趣味についてなど、話題としてお互いに語りだすが、そのことについて意見したりはしないし、してもらいたいとも思っていない。嫌いなことは「藪をついて蛇を出す」。
 彼等にとっては、人といることにはほとんど意味がなく、かといって一人でいて熱中することもない。漠然と、漫然と過ごしていく日常になんの疑問も不満も感じないか、不満を感じていてもそれについて考えようとしないのが常である。であるから、迂闊に派手な言動をとってグループ内の静寂と平穏をかき乱すと、全員から煙たがられることになる。基本的思考姿勢は、「まあ、別にどうでもいいんけどさ」。

 ……敵作ったかね……?
 ま、まあ、極端に、かつ偏見に満ちて言えば、ということだヨ。
 自分が何処に入りそうか、考えてみるのも良いかもネ。
 どこか一つのグループにしか属さない人というのは少なくて、たいていは二ヶ所か三ヶ所、兼ねているんでないかと思う。で、時と場合によって、あっちいったりこっちいったり、混じったり。

 これは、派閥というグループに分かれたところをちらと見て、似たタイプが集まってるなー、と思ったところに、これまでに付き合ってきた、あるいは眺めてきたグループたちを思い出しつつ、作ってみたグループ表。
 あんまり本気にせんでくれぃ!




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