ANUBIS 〜 Zone Of The Enders 〜

 アクションゲームを開始した、たいていの初心者さんは必死に戦います。はっきり言いましょう。これがダメなのです。これぞいつまでも下手な理由なのです。
 こんな状態で闇雲に暴れ続けても、操作に慣れるために少しだけ上達して気がするだけで、実は少しも上手くなってはいないのです。
 少しでもいいから上手くなりたい、クリアできる程度でいいから上達したい。そう思うなら、強くなるにはいくらかの論理や、適した練習方法というものがあるということを肝に銘じてください。
 以下に記すのは、ANUBISという枠にとらわれず、アクションゲーム全般に言える、「練習する時の心構え」です。

【STEP 1】
「最良の罠とは、かかった獲物にすらその存在を気付かせない罠である」

 私が真っ先にオススメするのは、「負けてもいいと投げ出す」ということです。
 幸いANUBISはマメにセーブができ、ミッションを何度でもプレイできますね? それを利用しない手はないのです。

 ゲームをスタートしたら、勝とうとするのはやめ、敵なんか無視して一番基本的な操作をいろいろと試してください。移動、ダッシュ、ブレード、ショット、ホーミングレーザー。こういったことから、カメラ修正、連続ダッシュ、連続斬り、バーストショット、バースト斬り。
 チュートリアルモードではできることが限られてしまっているので、実戦の中がいいでしょう。「んもぅ、邪魔しないでよっ」ってな感じで、攻撃されても気にすることはありません。どれだけダメージを受けても構いません。

 さて、EASYモードくらいだと、けっこうあっちもおっとりしているでしょう。「ね〜ぇ、しゃちょ〜。ボーッとしてどーしたの〜? あー、無視するなんてひどーい。らぷちゃんゆるさないんだからぁ」くらいにしか攻撃してきません。
 これがVERY HARDくらいになれば、うかうかしている内に「おまえなにボーッとしとんねん。返事くらいしたらんかい、あ? まだ無視しよんねんか。ええ度胸しとんなぁ。おまえ、おのれの立場っちゅーもん分かっとんのか?」と言わんばかりにどつき回されますが、EASYではかなりのんびりお付き合いしてもらえます。
 斬られながら、あるいは撃たれながら、さあ、いよいよ勝利への一歩に移りましょう。

 ラプターさん(敵)をよく観察してください
 どれくらいのスピード(間隔)で斬ってきますか? EASYなら、たてつづけってことはありません。つまり、こっちが大慌てして暴れなくても、けっこう余裕があるということです。
 敵も案外ぼんやりしている、ということに気付くこと。これが貴方のファーストステップ、明日への第一歩です。

 勝とうとして必死に大暴れすれば、なんとか勝てるでしょう。けれどそれは適当に手に入れた、なんの実力もなくても手に入る勝利のカスみたいなもの。貴方がこれから手にするのは、そんなものであってはいけません。
 しかし「アクションゲームは苦手」って人は、哀しいくらいこのパターンなのです。勝利のカスばっかり手に入れて、ちょっと敵が強くなったりすると、途端に勝てなくなって投げ出してしまうのです。そして「苦手」と思い込んでしまいます。
 なんと巧妙な罠でしょう。本人はすっかり罠にかかり、しかも自分が罠にかかったことにすら気付いていません。本当はもう少しくらい上手くなれるのに、「私は下手なんだ、これ以上やったって無駄なんだ」で片付けてしまうのです。
 残念ながらANUBISは、適当に戦って勝ち続けられるほどヌルくはありません。(ネイキッド・ジェフティでも使えば別ですが)
 さあ、貴方はこのゲームを制するために歩み始めましょう。

【STEP 2】
「慌てる乞食はもらいが少ない」

 昔の人はなんて素晴らしい格言をくださったものでしょう。時代の最先端(?)、コンピューターゲームにさえ適用されることがあるとは、この格言の創造主も思いもよらないことだったかもしれません。
 私が幾多のアクションゲームの中で悟ったことは、
「素早く的確に動くというのは、慌てることでも焦ることでもない。速さや確実さというものは、慣れたがためにほとんど意識せずともできるようになった結果に過ぎない」
 ということです。どうです、感動のあまりちょっと呆気にとられたでしょう。これは人生にすら通用する真理です。(←放置方向でお願いします)
 アクションゲームにおいても、天才的に動体視力や反射神経、集中力に優れているのでないなら、これは本当に本当のことなのです。慌てる・焦るということと、素早くこなすということは、完璧に別物なのです。

 最初は、「あ。マミーが光ってる」→「なにかするのかな?」→「レーザー?」→「えーっと、じゃあ避けなきゃ」→「それなら右へ」→「たしか、ダッシュはR2だったよね」、と、これくらいの思考手続きを踏まないと、動けないかもしれません。
 しかしやがて、「あ。マミーが光ってる」→「レーザーだ」→「避けよう」→「右へダッシュだ」、と少し短くなります。
 更に慣れてくると、「あ」→「ダッシュ」。これだけになります。
 慣れた結果、いちいち考えなくてもよくなった分、早く動けるようになるのです。

 ですから、素早さと的確さを身につけるまでには、繰り返し訓練しし、慣れる必要があるのです。貴方にはまず、その訓練の時間が必要なのです。

【STEP 3】
「ゲームは遊戯、苦行にあらず」

 世の中には「三日坊主」という言葉があります。つまり、継続できないで、志半ばで断念するのですね。
 何故なのでしょうか? 何故、続けられないのでしょうか。
 理由はいろいろあります。面白くない。苦痛だ。面倒だ。疲れる。そして、思ったとおりの結果が得られずに悔しい思いをする、というのも、あるでしょう。
 ならば、続けるために最も必要なことはなんでしょうか。
 それは、のんきに気楽に楽しむということだと思います。

 人は、求めるものが手に入らないから、失望します。腹を立てます。嫌になります。ムカムカします。
 たとえば、「Nintendo DSがほしい、ほしい、ほしい!!」と思っていれば、お店にないとがっかりします。それどころか、「なんで入れとかねえんだよ」と腹さえ立てるかもしれません。
 ですが、最初っから「今は品薄だからあったら超ラッキー」くらいに思っていれば、なくて当たり前、あれば、ものすごくラッキーで嬉しいことになりますね。

 それと同じです。
 楽しく遊ぶには、勝ちにこだわりすぎないことです。「負けてもいいや」、そんな気楽な気持ちで、ジェフティを自由に飛ばせてあげてください。斬られたって投げられたって気にしません。「コート〜の中では、平気、だもん♪」です。(←コートってどこですか)
 ジェフティをあれこれ動かすことをまず楽しんでください。そして、ほんの少しでもできること・上手くいくことが増えるのを待ちます。
 やがてレベルが上がれば、それほど上手くはなっていなくても、先へも進めるようになります。そうしてまた先のステージでも、ゆっくりと未確認浮遊快感を堪能すればいいのです。

【STEP 4】
「戦闘の結果は事前に得た情報の質量によって七割まで決定する」

 さあ、いよいよ「戦う」ことに重点をおいた講義に移りましょう。
 貴方はもう、偶然手に入る勝利っぽいものではなく、たとえ小さくとも、貴方が望む時に確実に掴み取れる勝利への道を歩み始めています。

 そのためにできる最初のことは、「敵を知る」ということです。
 攻略本なんかじゃいけません。(というか、今は手に入りません。絶版になっています) 貴方が実際に目にする情報の質量に比べれば、攻略本や攻略サイトの情報など、ほんの一握りです。たしかに急所をおさえてはいますが、それは基礎を確立していることを前提とした攻略だったりするのです。
 貴方にはその基礎がないのですから、いきなりあんな大雑把な情報で強くなれるわけもありません。少しは効率的に戦えても、載っていない情況になった途端、めちゃくちゃになってしまいます。
 それでは、偶然手に入るまぐれ勝利の域をいつまでたっても出ないのです。

 まずは敵を観察しましょう。
 攻撃されても構いません。というより、むしろ攻撃されてください。攻撃されながら、あるいはあまりにものんきに攻撃しながら、私ならばこんなふうなことを発見するのです。
「なんだこいつ? こっちがボーッとしてるとこいつもじっとしてるんだな」
「斬ろうとすると……ガードしないか。あ、でも今度はガードした。さすがに正面からだと少しくらいはガードするんだな。じゃあ、横に回り込もうとしたら? うぉ、ダッシュ斬りンなっちまったけど、これはあっさり喰らうな。もう一回やっても喰らうかな?」
「投げられ……るか。イヤイヤもしないなぁ。でものこのこ近付くと斬ってくるんだよなぁ。ダッシュで一気に接近していきなり掴むってのはどうだろう?」
「こいつ、こっちが逃げるとどうするんだろ?」
「ホーミングレーザーには……当たってるな」
「げ、こいつはこっちのブレードガードすっと掴んでくんのかよ」
 などなど。
 それぞれの敵に、いろんなことをしてみて、どう反応するかを確かめるのです。喰らってくれるのか、避けられるのか、ガードされるのか。闇雲に暴れずに、「私がこれをすると、どうするか」を意識しながら、相手の反応を観察するのです。

 これが本物の攻略というものです。
 こうして試している間には、当然こちらもダメージを喰らいます。けれど負けてもいいのです。そのかわり、こちらは情報を手に入れます。こうしたらこうする確率が高いみたいだぞ、とか、案外こういうことはしてこないんだな、とか。
 この情報さえ集まれば、あとは使うだけです。
 「ラプターは近付くとけっこう積極的に斬ってくるけど、距離が中間くらいだと人型のまま近寄ってこようとするだけだから、安全にいくなら逃げ回りながらのホーミングレーザーでいいな」、とか。「近距離戦を挑むなら、正面からだとさすがにガードされるけど、ダッシュ斬りはまんまと喰らう率高いぞ」、とか。
 これが少し発展すると、私のお遊び攻略のように、普通ならやらなくてもいいような、おかしな戦いかた探しになります。

 これはもう発想力の勝負で、「一回斬ってからすぐ掴もうとしたら掴めるかな? 確実かな?」とか、「どんなサブウェポンが有効かな? 全部試してみようか」とか。
 ただでたらめに戦ってともかく勝つのではなく、落ち着いてあれこれと試しながら、通用する戦いかたを模索し、用いること。なかなか勝てない敵を自力で見極め、打ち負かすこと。
これこそがアクションゲームの醍醐味、アクションゲームというものをもっとも面白くする遊び方なのだと、私は考えています。


 さあ、これで貴方の心構えはできました。
 これできっと(たぶんもしかしてあるいはひょっともするとことよっては)、実技トレーニングの成果もぐんと上がるでしょう!