さあ、いよいよ「戦う」ことに重点をおいた講義に移りましょう。
貴方はもう、偶然手に入る勝利っぽいものではなく、たとえ小さくとも、貴方が望む時に確実に掴み取れる勝利への道を歩み始めています。
そのためにできる最初のことは、「敵を知る」ということです。
攻略本なんかじゃいけません。(というか、今は手に入りません。絶版になっています) 貴方が実際に目にする情報の質量に比べれば、攻略本や攻略サイトの情報など、ほんの一握りです。たしかに急所をおさえてはいますが、それは基礎を確立していることを前提とした攻略だったりするのです。
貴方にはその基礎がないのですから、いきなりあんな大雑把な情報で強くなれるわけもありません。少しは効率的に戦えても、載っていない情況になった途端、めちゃくちゃになってしまいます。
それでは、偶然手に入るまぐれ勝利の域をいつまでたっても出ないのです。
まずは敵を観察しましょう。
攻撃されても構いません。というより、むしろ攻撃されてください。攻撃されながら、あるいはあまりにものんきに攻撃しながら、私ならばこんなふうなことを発見するのです。
「なんだこいつ? こっちがボーッとしてるとこいつもじっとしてるんだな」
「斬ろうとすると……ガードしないか。あ、でも今度はガードした。さすがに正面からだと少しくらいはガードするんだな。じゃあ、横に回り込もうとしたら? うぉ、ダッシュ斬りンなっちまったけど、これはあっさり喰らうな。もう一回やっても喰らうかな?」
「投げられ……るか。イヤイヤもしないなぁ。でものこのこ近付くと斬ってくるんだよなぁ。ダッシュで一気に接近していきなり掴むってのはどうだろう?」
「こいつ、こっちが逃げるとどうするんだろ?」
「ホーミングレーザーには……当たってるな」
「げ、こいつはこっちのブレードガードすっと掴んでくんのかよ」
などなど。
それぞれの敵に、いろんなことをしてみて、どう反応するかを確かめるのです。喰らってくれるのか、避けられるのか、ガードされるのか。闇雲に暴れずに、「私がこれをすると、どうするか」を意識しながら、相手の反応を観察するのです。
これが本物の攻略というものです。
こうして試している間には、当然こちらもダメージを喰らいます。けれど負けてもいいのです。そのかわり、こちらは情報を手に入れます。こうしたらこうする確率が高いみたいだぞ、とか、案外こういうことはしてこないんだな、とか。
この情報さえ集まれば、あとは使うだけです。
「ラプターは近付くとけっこう積極的に斬ってくるけど、距離が中間くらいだと人型のまま近寄ってこようとするだけだから、安全にいくなら逃げ回りながらのホーミングレーザーでいいな」、とか。「近距離戦を挑むなら、正面からだとさすがにガードされるけど、ダッシュ斬りはまんまと喰らう率高いぞ」、とか。
これが少し発展すると、私のお遊び攻略のように、普通ならやらなくてもいいような、おかしな戦いかた探しになります。
これはもう発想力の勝負で、「一回斬ってからすぐ掴もうとしたら掴めるかな? 確実かな?」とか、「どんなサブウェポンが有効かな? 全部試してみようか」とか。
ただでたらめに戦ってともかく勝つのではなく、落ち着いてあれこれと試しながら、通用する戦いかたを模索し、用いること。なかなか勝てない敵を自力で見極め、打ち負かすこと。これこそがアクションゲームの醍醐味、アクションゲームというものをもっとも面白くする遊び方なのだと、私は考えています。