21.花 |
俺には似合わんが、きれいだとは思う。贈りたいと思うこともあるが、俺が摘むことを考えるとどうもな。だが、ホワイトデーイベントには、イベントだからって参加した。そういう理由でもないかぎり、俺が花に触るなんてことはなかっただろうな。 |
22.思い出 |
たくさんあるぞ。 振り返ってみると、いい思い出のほうが強いな。思い出したくもないこともあるが、たとえそういうことがあった人生でも、その同じ人生の中に、思い出すとつくづく嬉しいこと、ありがたいこと、幸せなこともある。だから、それでいいと思う。……すまん、俺もなに言ってるかよく分からなくなってきた。 |
23.笑顔 |
当たり前にあるから、たぶん気付かない。 笑顔のない人の群れを見ると、それがいかに異常で、どんな退屈な世の中にも案外笑顔ってあるんだと痛感すると思う。 |
24.戦争 |
―――仕方ないのかな、本当に。 |
25.遊園地 |
楽しそうだな。今度Gを連れて行ってみたいが……そんな子供っぽいところは嫌だ、で終わりか。 |
26.幽霊 |
いるのかな。俺は見たことがないが。 幽霊とか、怨霊とか……恨みを残して死んだ人間、か。 だとしたら、幽霊なんていないんじゃないか? そういう人間は山ほどいるだろうに、俺が見たことないなんて。 それとも、アンドロイドには見えないものなのかもしれないな。 |
27.お酒・煙草 |
……いや、俺は、やらない。自制心が緩むのは、ちょっと怖い。 |
28.神 |
神、か。 何故か、空にいるイメージがある。 だが、それが俺たちになにかをしてくれると思ったことはないし、だから祈ったことはない。 与えるとしたら、試練と苦難だけだろう。少なくとも、俺が見てきた限りでは。 |
29.空 |
偽物の空も、本物と少しも違いがなかった。 期待してたんだ。本物の空は、偽物の映像とはきっと違うだろうって。けど実際見てみれば、なにも違わない。 偽物の精巧さに感心する一方で、都合良く夢を見すぎていた自分に呆れたよ。 |
30.時間 |
たぶん、俺に残された時間は少ない。そう遠くない内に機能停止すると思う。それを考えると怖いような気分にはなるが、考えても仕方ないからな。 満喫するだけだよ、残ってる時間をできるだけ。 |
31.憎悪 |
俺には理解できない感情の一つだ。そういう強い負の感情は持たないようにプログラムされているんだろう。 常軌を逸した激情は、支離滅裂で、だからこそ危険を感じる。解きほぐしようがないと感じるから、なおさらなんだろう。 |
32.忘れがたい悲しみ |
悲しいことはたくさんあったが、特別に一つってほど強いものはない。冷たいのかもしれんが、俺はあまり、昔の嫌なことは思い出さないタイプらしい。 |
33.最高の喜び |
こんな俺のことを大事に思ってくれる誰かがいるってこと。それがなんらかの形で分かったとき、俺はまだなにかをやらなきゃいけないと思う。その人たちのために、その人たちの生きていく世界のために。……って、これは格好つけすぎか。 |
34.後悔 |
悔やむことはあるが、それに縛られるのは御免だ。悔やむからこそ、同じ過ちは二度とおかさない。 どうしようもなくもう一度繰り返さなきゃいけないことなら、覚悟を決めて背負うしかない。 |
35.宝物 |
俺の記憶構造は特殊だが、それだけに、その中に残ってるいい思い出は、どれも大切なものだ。 俺は物にはほとんど執着しないから、そういうものが宝物ってことになるのかな。 |
36.子供時代 |
俺に子供時代ってのはない。 子供時代の真っただ中にいるマンの子供を見ると、これからどういう大人になっていくのか、今このときも、その分岐点や積み重ねの真っ最中なんだなと思う。 |
37.愛 |
その一言で言われるとどうもピンとこないが、誰かを大事だと感じたり、心配したりする気持ちなら分かる。なんにせよ、あたたかいものだよな。 |
38.死 |
こっちは冷たい。たとえ火に焼かれて死んだとしても、熱いのはその火が燃えている間だけだ。死んでしまったものは、俺が知るかぎり、例外なく冷たいよ。 |
39.ヒーロー |
いたらいいなとは思う。完璧な答えを出して、誰もが望む結末を作ってくれる。 けど実際にはいない。 救星の英雄だって、実際に会えばただの人間で、悩んだりも間違ったりもしてるんだろう。 |
40.愛用品 |
特にはないな。俺の求めるレベルでしっかりと実用できるなら、交換されたりしても特には気にしないし。 |